【三次創作】ホロライブ ビルドライバーズ 外伝 ~ホロライトシティの日常~ 作:お覇王
「ハァ・・・」
花畑チャイカのバーにて、グレーの髪色が特徴の女性『綺沙良』はため息をついていた。考える相手は一人、仕事仲間であり
綺沙良(助けられて以降、拓哉の事で頭が一杯・・・ただの同業者な筈やったんだけどね・・・)
チャイカ「えらく悩んでいるじゃん、どうしたん?」
綺沙良「チャイカさん・・・まぁちょっと、
チャイカ「うん。何かあったの?」
グラスを拭きつつも綺沙良の悩みを聞くチャイカ。彼もバーでの接客をしている関係上、客からよく相談される事があるがその相手が同業の人間である事も珍しくない。彼自身も新生アイドルで活動して長い方という事もあり何度も相談され、後輩の面倒を見る事も珍しくなかった。
そんな中でにじさんじの女性タレントが悩みを抱え、相談する内容の主な一つが男関連・・・厳密に言えば玲二や拓哉関連だが、今回は拓哉絡みと認識して話を聞く。
綺沙良「前にね、仕事でホロライブさんとの共同企画で番組に出る事になったんよね」
チャイカ「うん」
綺沙良「その時にちょっと・・・助けてくれたんよね」
チャイカ「助けてくれた?」
頷く綺沙良。聞く所によると以前・・・厳密に言えば神羅ソラ達穏健派との大戦から少し経ったある日、にじさんじとホロライブによる共同番組があり、その際にMCを務める拓哉と共演した。収録を終えて落ち着き、スタジオから出る際に階段で滑って転げ落ちそうになった事が起きた。その際に助けられたのが拓哉だ。
綺沙良「まぁその時は準備なりなんなりで色々としてて寝不足だったし、収録を終えて『あー終わったー』って安心してたのもあったんだけどね。それで不注意で転げ落ちそうになって、拓哉に助けられた訳」
チャイカ「それで惚れたって事?」
綺沙良「そう。今まではね、頼りがいがあって甘えさせてあげたい所があるなぁ~程度には思ってたけど、正直それ位だったんよ。にじさんじでデビューする前から知ってたけど、実際に会ってみたらイメージより頼りがいがあって気遣い出来る良い男とは思ってたけどさ・・・」
チャイカ「まぁ付き合うなら玲二よりも、拓哉の方が良いとは言ってたしね。にじの女性陣の大半は玲二に惚れこんでいるけど、中には拓哉が好みという娘もいると知ってたけど」
綺沙良「でしょ? 玲二さんは頼りがいがあって頼もしいし、優しい・・・けど、『男として理想的過ぎる』んだよね。だからそこまでときめかないけど……拓哉は丁度良いのよ。何というか・・・凄い安心するし、助けられた時がまさにそうだった」
チャイカ「・・・それで惚れこんだ訳?」
綺沙良「そう。だって良くない? スペック高めで気遣い出来て優しいけど、何より一番は『母性本能をくすぐる所がある』のが一番良いんよ。何というか・・・甘えさせてあげたい、そう思わせる所がね・・・」
チャイカ「あー・・・分かる気がする。とこ達も似たような事を言ってたし。でも、中々進展はしてないんでしょ?」
綺沙良「そうなんよ・・・下の名前を呼ぶようにはなったけど、そこから先が・・・ね」
ハァ・・・とため息をつく綺沙良。ガードの固さから進展せず、どうしたら良いのか悩んでいる所・・・来店客が来た。
チリンチリン
拓哉「こんにちはチャイカさん。今日は栄ちゃんと二人で来たよ」
チャイカ「ああいらっしゃい拓哉、栄ちゃん。席はどうする?」
栄「そうね・・・綺沙良さんの席の近くで良いかしら?」
チャイカ「綺沙良の? まぁ良いけど・・・どうぞ」
咳を案内し、綺沙良の近くに座る拓哉と栄。
栄「・・・ねぇ綺沙良さん。綺沙良さんはたっくんのどういう所が好きなの?」
綺沙良「拓哉の?」
栄「ええ。助けられたことがきっかけで惚れたみたいだけれど・・・それはあくまで決め手であり、それ以前から何か好きになる要素はあったの?」
綺沙良「それは・・・ある」
「そう」と栄は短く答え、注文したウイスキーをオン・ザ・ロックを一息で飲む。飲んだグラスをタンッと置き、少し時間をおいて質問してきた。
栄「……世間では、一夫多妻や一妻多夫に対する風当たりは未だに強いわ。まして既に籍入れした相手に結婚を前提にお付き合いするなんて・・・面の皮が厚くなければ出来ない事だと思っているわ」
綺沙良「……」
栄「その上で聞くけれど・・・どういう所が好きになったの?」
綺沙良も言うべき事を考え、ゆっくりと口にする。
綺沙良「……拓哉の細かい気遣いが出来る所、他者を思いやりつつも甘えてあげたくなるような子供みたいな所、そして愛してあげたくなるような雰囲気や優しさ、頼もしさ・・・そういう所が好き。誰に対しても優しく接し、平等に接する所が好き。そして何より・・・助けてあげたくなるような、守ってあげたくなるような所が好き」
栄「そう・・・」
綺沙良「元よりそういう所はあったし、実際に会って細かな気遣いできる所が安心を覚えた。初めて外部とコラボする際も、拓哉は気遣ってくれたしそれが嬉しかった。何となく『良いな、この人』程度に思ってたけど・・・助けられた事がきっかけで本気で好きになった」
栄「だからあれ以降を諦めていないと?」
頷く綺沙良。
栄「……個人的には奥さん何ていくらいても良いと思っているわ。けどそれはあくまで、
綺沙良「それはあれ? 神羅族として生きていく覚悟があるのか・・・という事?」
栄「ええ。それが一番大事だし、本気なら人である事を捨てる覚悟を持たないとダメ。だからこそ・・・簡単に認める訳にはいかないわ」
綺沙良「……」
拓哉「・・・正直言うと、他の娘が甘えだして擦り寄ってきたらキリがないという事や、本気で愛してくれるのか分からないが故にまだ素直に応じる事は出来ない。気持ちは嬉しいし、好きなのは何となくわかる。けどゴメン……俺自身が普通の人間じゃなく、神羅族なだけに軽々しく約束する事は出来ない。何より俺自身も・・・自分の我儘で、綺沙良さんを巻き込んで良いのか分からない所があるしな・・・」
綺沙良「……じゃあ、
拓哉「ああ。
綺沙良も酒を飲み、少しして語りだす。
綺沙良「……時間を設けて良いのなら、設けさせて。私もその間に人を捨てる覚悟を決めるし、同時並行で認めさせてみせる。だから・・・一緒になる事を考えて……いや、一緒にさせて」
拓哉「……分かった。俺はいつまでも待つ、綺沙良が納得のいく答えを出す事を」
栄「私達も同じ気持ちよ。一緒になるにしろ、諦めるにしろ、後悔のない選択をしてね」
会計をし、退店する拓哉と栄。取り残された綺沙良に対してチャイカも声をかける。
チャイカ「……こういう事に関しては私から言える事はあまりないけれど、一つだけ言わして。自分の正直な気持ちは何なのか、自分はどうしたいのか……自分自身を振り返り、考え、その上で答えを出した方が良い。何をするにしても、どういう結末になるとしても、
綺沙良「・・・そうする」
綺沙良もそう言い。考える為に退店した。
それから2年の月日が経った・・・バレンタインチョコを送る等のアピールを繰り返し、時には神代家にお邪魔して親睦を深め、自分なりの考えを纏めていく。そして・・・
綺沙良「栄ちゃん達。私、答えを見つけたよ」
栄「そう。答えは?」
綺沙良は立ち上がり、拓哉達に対して向き合う。
綺沙良「私綺沙良は……神代拓哉さんと婚約し、本当の意味で人生を共に歩んでいきます。例え世界が滅ぶ時が来ても、例え生命の理から外れる事になったとしても、例え転生する事が出来なくなるとしても……私は、拓哉さんと一緒になります。なので……私と結婚してください」
深々と頭を下げる綺沙良。栄は黙って周囲を見回し、拓哉と嫁たちが頷いた事を確認する。
栄「……分かったわ。私達は認めるし、たっくんも認めるみたい。なのでたっくん・・・一言お願いね」
拓哉も立ち上がり、綺沙良に対して一礼する。
拓哉「……こんな自分ですが、よろしくお願いします。綺沙良」
綺沙良「…………はい・・・よろしくお願いします・・・」
こうして正式に綺沙良と婚約し、晴れて神代家の一員となった。後に綺沙良は子供達のよき母となり、新たなる命を宿す事になるのだが……それはまた、別のお話。
今回も難産でした・・・