【三次創作】ホロライブ ビルドライバーズ 外伝 ~ホロライトシティの日常~ 作:お覇王
みしろ「ああっ!」
普段の力を発揮できず、氷護が無残にも倒されて負けた。対照的にレグルシュの使うグスタフ・カールは無傷だ。
レグ「どうしたのみしろ先輩・・・こんなんじゃない筈だよ!みしろ先輩は強い・・・誰にも負けない位に強い筈だよ!?なのに訳の分からない相手に負けて・・・本当の強さを取り戻してよ!さあもう一度だよ!」
みしろ「簡単に・・・言わないでよ・・・」
もうみしろの心はズタボロだ。力を振るえず、真価を発揮できないのか切っても凍傷を与える事も出来ない上に、ただの
みしろ「みしろは・・・どうしたら良いの? 誰か教えてよ・・・」
レグ「・・・時に答えは他人に頼らず、自分で見つけなければならない時がある……ボクが悩んでいた時、そう教えてくれましたよね?」
みしろ「……今がその時だって言うの?」
レグ「うん……何度負けたって良いんです。勝てなくても良いんです……大事なのは、自分を乗り越える事です・・・今のボクに出来る事は、それだけですから・・・」
みしろ「レグちゃん・・・」
レグ「泣いたって良いんです・・・今、聞こえているのはボクだけですしモニターを開いてないから見えません。いくらでも泣いたって良いんです・・・だから、立ち上がって下さい。みしろ先輩」
みしろ「……うん。分かった・・・頑張る・・・」
いつもの敬語口調ではなく、幼い子供が発するような喋り方をするみしろ・・・倒されても、倒されても、何度でも立ち上がれたのはレグの支えがあるからだ。
何試合目か分からないデュエル・・・それでも少しずつ、少しずつではあるが勘を取り戻していた。そして同時に、自分を殺すが如く
―ヒュ……ガキィン―
レグ「良い感じだけど・・・殺意が足りないよ。それでボクを―」
みしろ「どうでも良いよ……今のみしろ、もうやけだもん・・・臆病でよわっちぃんだもん・・・」
覇気のない声で語るみしろ。やけくそのようにしているようだが、太刀筋は型に嵌っていて美しく、それでいて殺意どころか、攻撃を振るう感覚すら読めない……獣人だから分かる。今のみしろは
レグ(太刀筋が読めないし、殺気を感じない……そればかりか気配も・・・!やけと言っているけど違う・・・無意識の内に無我に至り、明鏡止水の境地に入ろうとしているんだ!)
そう考えていると姿を消し、後ろと思ったら上から飛んできた。
ドスン!
みしろ「・・・たおされてよ。たおれないと、みしろ・・・もたないよぉ・・・」
そのままゆらりと近付いて切り裂こうとする・・・だが獣人としての本能をフル回転し、漸く避けれるレベルだった。
レグ(どんなに頑張っても機械的な動きしか出来ないのに・・・神速と言わんばかりの速さで斬ってきている!間違いない……後は心さえどうにか出来れば完全にモノにできる筈!)
だからこそ・・・此処で打ち倒し、説得しなければいけなかった……真の強さを得る為にも、心を取り戻す為にも・・・
レグ「そこだぁ!」
ヒュ…ヒュ…ヒュ…と消える様に移動する氷護の動きを見切り、ビームライフルで撃ち抜いた。
みしろ「あーあ、またまけちゃった「みしろ先輩聞いて!」・・・なに?」
どうでも良さそうに振り向くみしろ、今のみしろの目は虚ろになっていた・・・だがそれでも引かず、筐体から引きずり出して説得に入った。
レグ「みしろ先輩聞いて・・・みしろ先輩は強いよ、自覚がないだけで強いんだよ?」
みしろ「……まんしんして、まけちゃうほどなさけないのに? そんなやつに、まもるとか、つよいとかありえないもん・・・」
鬱陶しそうな表情をするが、レグルシュは続ける。
レグ「違う。確かに慢心したかもしれないけど、みしろ先輩は誰よりも強い。世界一強い。だってみしろ先輩の強さは
みしろ「まもる・・・?」
その言葉に、レイラから機体に込められた思いを思い出す。
レイラ『皆さん、よく聞いてください。僕の前世で最も尊敬する人物の言葉があります。
『強い想いを込めて作ったガンプラには、その人の想いが宿る』
僕は貴方達の機体にそれぞれ想いを込めました。
『未来を明るく、暖かく、優しく照らしてほしい』という想い。
『主と大切な仲間たちを護ってほしい』という想い。
『何度倒れても立ち上がって友を助けてほしい』という想い。
『悪夢を討ち払い、理想郷を守護り続けてほしい』という想い。
そして、
『憎しみや怒り、独占欲ではなく、純粋に楽しんでこの機体を使ってほしい』という想い!』
そうだ・・・自分に氷護を与えてくれたのは『主と大切な仲間たちを護ってほしい』という想いと、『憎しみや怒り、独占欲ではなく、純粋に楽しんでこの機体を使ってほしい』という思いから渡してくれたのだ・・・その機体をくれたのならば、自分に出来る事は何なのか?
『護る事』だ。
外敵を。
家族を仇なす者から。
神羅族の共通の敵から。
だから・・・自分は乗り越えなければいけない……そう考えた時、彼女の中でのトラウマが砕かれた。
ツー……
レグ「みしろ先輩・・・?」
涙を流した後、みしろは思いっきり自分の頬を叩いた。
―パチン!―
みしろ「……ごめんなさいレグちゃん。後一試合だけ、付き合ってください。後少しで、掴めそうなのです」
レグ「・・・はい!お供します!」
こうしてみしろは再び立ち上がった。今のみしろの迷いはなく、澄んだ目をしているからだ。
たまき「・・・みしろ、大丈夫かな・・・?」
レイン「こればかりは信じるしかないよたまき君。それに・・・パタちの予感だけど、みしろちゃんなら乗り越えられる気がするんだ」
たまき「どうして?」
レイン「根拠は無いんだけど、レグちゃんが来てから風向きが変わった……なんかこう・・・パチンコや競艇で言う所の『ツキが回って来た』的な? そんな感覚がするんだ」
たまき「そうなの?」
レイン「うん。乗り越えられるよ・・・完璧な清楚なメイドさんなんだから」
「そういって頂きありがとうございます、レインさん」
後ろから声を掛けられ、振り向くとみしろが真後ろに居た。
レイン「うわぁ!どうやって来たのみしろちゃん? まさか玲二くんみたいに瞬間移動したとか?」
たまき「そうだよ!扉はあそこしかないのに、そこから出てくる気配がなかったよ!?」
みしろ「普通に近付いただけですよ? 気配を消して・・・ね」
気付いたらたまきの真正面にいた。移動する気配すら感じさせることもなく・・・
玲二「俺も驚いたよ・・・正直神羅族の力を使った気配もないし、完全にみしろの力でどうにかしたと思う」
みしろ「『日常生活で人の背後に立っても、自分が話すまで気付かれない』・・・それが全ての従者が最終的に会得すべきとされているスキルですからね。ご主人様すら気付かせないようなら・・・いえ、此処で満足してはいけませんね。邪心なく、静かな水の如く、清らかで静かな澄みきった心境に至ったとはいえ、まだまだ完璧とは言えません。より洗練し、安定して使える様にならなければ・・・ね」
パチンと念力でカップを動かし、ポッドを作動させてティータイムの準備をするみしろ。
玲二「凄いな・・・此処まで神羅の力を使えるようになったとは・・・」
みしろ「それでもまだまだです。純粋に覚醒出来たわけじゃないですし、洗練していかないと駄目でしょう。人の力を使わなければなりませんし」
そう言いつつ手早く準備する。それはトラウマを抱える前と・・・前以上に洗練された動きだ。
みしろ「レグちゃん、ご主人様、たまきちゃん、レインちゃん、御心配かけて申し訳ございません……みしろはもう、大丈夫です」
玲二「……克服したんだな?」
みしろ「はい」
玲二「そっか・・・良かったな」
そういって優しく頭を撫でる玲二。今のみしろは、今まで以上に嬉しそうな顔をしていた。
―オマケ―
みしろ「レインちゃん。あれから考えたのですが・・・再びトラウマにならないように、みしろを鍛えてくれませんか?」
レイン「日課の筋トレだけじゃなく、精神的に鍛える為に?」
みしろ「はい。レインちゃんみたいに心身共に強くなればきっと、心が折れてトラウマになる事も減る筈・・・だから、お願いします」
レイン「分かった。なら一緒にお兄さんの地獄の修行を受けてもらうようにする?」
みしろ「ええ。二度と不覚を取らないように、慢心を捨て去る為にも浩一さんに鍛えてもらいます!もう・・・挫けません」
たまき(みしろがとんでもない事になっちゃう~……)
心身共に強くなってほしい反面、華奢な感じを維持してほしいと願ってしまって複雑なたまきであった。
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