私は陰実の世界で生き延びたい!   作:ちんすこー

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私の覚悟

薄暗い森の中、えずく声が響く。

 

すでに、何度も吐いているというのに胃の不快感はなかなか消えない。

鼻には吐しゃ物の酸っぱい臭いだけでなく、錆びた鉄の臭いも染み込む。

 

血の匂いだ。

 

自分は一つの命を消してしまったのだ・・・

 

背中から誰かの手の温もりを感じる。

恐らく彼なのだろう。

 

恐る恐る後ろを覗いてみると、そこには心配そうにしているはずなのに、何処までも冷たい目が見える。

彼の眼は何を見ているのだろうか?

もしかして、()に失望したのだろうか?

 

そう思うと震えが止まらなくなった。

私は彼の役に立たななくてはいけないという、義務感を感じる。

 

それが、打算から来るものなのか、自分の本心なのかはわからない。

 

だけど、これだけは解かる。

 

私はまだ死にたくない・・・

 

 

 

 

―――――――――――――――――

 

 

 

 

 

カゲノー家は魔剣士を輩出する貴族です。

そのため、カゲノー家では6歳になると魔剣士としての訓練が始まります。

 

なので、私も訓練しているわけですね。

 

「「ふぇぇ、おねえちゃんつよいよ~」」

 

これを、言うたびに思うのですが、とても胡散臭いですね。

 

でも、クレアお姉さまはこれが一番気に入っているようです。

それに、()()()()()()()()でもこれにすると決めているので変えたくはありません。

私は一人だけ別の事をするのが嫌いですから。

 

え、どうしたの?だって

 

そうなんですよ。実は私、意を決してシドに前世のこと言ったのですよ。

 

3歳の時に

 

そしたら、『ふ~ン、そうなんだ。じゃあ、今世もよろしく』って、思った何倍も軽くあしらわれました。

 

少し、悲しかったです。

 

え、違うって?その喋り方は何?だって

 

これはですね。

私も4歳になるまではシドの真似という免罪符をかがげて前世のような口調で話していたのですが、その時期になると私のお母さまに矯正されるようになったんですよね。

お父さまはハゲですが、お母さまは鬼なのでとても怖かったです。

 

ちなみに、私の外見は普通にかわいい幼女です。

肩までかかるぐらいのセミロングの髪にシドと同じ少し赤みかかった茶色の瞳、気にしていることと言えばクレアお姉さまやシドと違って、私の目がたれ目ということでしょうか。

 

それはさておき、先程言ったように私は、魔剣士になるための訓練をしています。

今は、はg・・・ゲフンゲフン、お父さまとのマンツーマンの指導が終わり、シドと二人がかりでクレアお姉さまとチャンバラごっこしている途中です。

 

シドはもちろん手を抜いていますが、私は普通にやってボコボコにされています。

二度転生しても私に武術のセンスが芽生えてくることはなかったようです。ここまできたらこれは運命かそれに近い何かかもしれませんね。

 

「ちょっと、軽く当てただけじゃない。情けない声出すんじゃないの!シド、貴方、ちゃんと練習しているの!」

 

「ちゃんと練習してるよ。お姉ちゃんが強すぎるんだよぉ」

 

「まぁ、そういうことにしてあげる。そして、エミは・・・もう疲れたでしょ、家に帰ってママから作法の勉強してもらいなさい」

 

「は~い、わかりました」

 

御覧のとおり、ブラコンでこの世界ではシスコンでもあるクレアお姉さまにすら諦められるほどに私の剣術は絶望的なのです。

 

初めて素振りした時は剣が手を離れ吹っ飛んでいきましたし。

チャンバラごっこする時も適当にウロチョロするだけで最後にはシドと一緒に吹っ飛ばされます。

 

他にも、剣をしっかり構えられず剣の腹で切りかかる。勢いをつけて切りかかるもどけられて地面とディープキス。

と、散々です。

 

前、お母さまとお父さまの話し合いを目撃した時なんて、私に剣を教え続ける教えないかで議論していました。

まぁ、お母さまが教えない派なので十中八九、私の剣術訓練もそろそろ終わるでしょう。

 

「ほら、シド貴方の根性を鍛えるために特別訓練をしてあげる」

 

「と、特別訓練って?」

 

「ほら、ハゲが言っていたでしょ。最近、森にスカーフェイス盗賊団が住み着いたって。それを倒しに行くのよ」

 

「そんな、無茶だよぉ~」

 

シドがクレアお姉さまに引きずられて森の方に連れていかれました。

たしか、スカーフェイス盗賊団は構成員が全員魔剣士でクレアお姉さまは倒されて連れていかれそうになりますが、シドがオバードライブという技で窮地を脱するはずです。

私も着いて行きたいですが、恐らく足手まといになってしまうし、帰ったらお母さまにげんこつを食らうことになるのでここは大人しく家に帰ることにしましょう。

 

 

その後、ボロボロになったクレアとシドはお父さまに見つけてもらって帰ってきました。案の定、滅茶苦茶、お母さまに怒られていましたね。

 

 

 

 

 

それから、凡そ4年。この間、私とシドは一緒に語り合ったり前世の知識を共有していました。

基本的にはシドが一方的に陰の実力者について語り、私が知識を伝えたり、シドの語る知識に補足や修正を入れる感じでした。

そのおかげで、この世界線のシドは魔力ありきの戦い方に惑わされることなく、原作よりも早くから本格的に自分の技を磨くようになりました。

これで、私の生存確率がまた上がりましたね。

 

他には、シドが一人で盗賊狩りをしていたり、一緒になってスライムボディースーツの研究をしたり、シドが私の知る核兵器の知識にありえない程の反応を示したり。と非常に唯意義な時間でした。

 

そして、今日もシドは盗賊狩りに行くそうです。スライムボディースーツの実践も兼ねて・・・

 

そう、つまり今日はシドとアルファが初対面する日です。

着いて行くしかないでしょう、これは。

 

私の事を非戦闘員で陰の知識要員にしたいシドを何とか押し切り着いて行くことができました。

 

やったー!です。

 

 

「おらおらおらおらああぁぁぁーーーー!」

 

「くッ!強いぞこのチビ!」

 

「おい!やめろ!やめてくれー!」

 

「逃げる盗賊はただの盗賊だ!逃げない盗賊は訓練された盗賊だ!」

 

シドが逃げ回る盗賊たちを切りつけていきます。

私はそれを見て気持ち悪くなってしまいました。

 

私は茂みの中で隠れています。

シドに『エミは戦うの苦手だからね』と言われ詰め込めれました。

 

アルファに会える。それだけの理由で来たのがいけなかったのでしょうか?

シドの盗賊狩りに着いて行くということは人の死を見に行くのと同じだということになぜあの時の私は気づかなかったのでしょうか。

わかりません。

 

この戦い・・・戦いと言っていいのでしょうか?

この蹂躙を見て確信しました。やっぱり私は、僕はこういうのは無理なんだな、と。

 

胃の中の物が逆流しそうになり咄嗟に手で口を押えます。

いくら、茂みの中にいても吐いてしまったら音やら臭いやらでわかってしまいますからね。

 

そうやって、私が吐き気と戦っている間にも盗賊は次々に倒れていきます。

 

そして、最後のそこそこ強い人も倒れました。

終わったようですね。

 

「おーい、エミ~」

 

呼ばれたので茂みからでてシドの元に駆け付けます。

 

「これ、たしかエミは殺したことないよね。一回くらいは経験した方が良いと思ってさ」

 

善意100%の笑みで差し出されたのは、横っ腹に深い切り傷がついた盗賊でした。

一目でわかりました、彼は致命傷を負っています。もう、先は長くないでしょう。

 

さっさと、終わらせてあげよう。そう思いました。

スライムを剣の形に成形します。

それを、かれの左胸に軽く押し当てた時、手が震えました。

これから、私は自分の手で人を殺すのだと。

 

「ぃ、いてぇ、ょ」

 

小さな声でした。

でも、確かに聞こえました。

 

胸に軽く押し当てられた剣をもう一押し。

彼の命は簡単に消えてしまったのです。

 

 

その後のことはよく覚えていません。

気が付いたら。自分のベットの上でした。

 

きっとシドが戻してくれたのでしょう。

 

私は陰の実力者の知識担当です。

だから、光にうもれてその陰を隠す。

これからも私は何事もなかったように過ごすでしょう。

 

しかし、私は感じました。

自分の命が重くなっているように。

 

 

だから、私は・・・僕はまだ、終わりたくない!




陰実2期が今日に放送!

やったーーーーーーーーーーーーーー!

カゲマスのオリジナルストーリー、つまりは陰実の本編では絵描かれていないゲームのストーリーの分も書く?書かない?。※作者はカゲマスをやっていません。

  • やれ、これは命令だ。(困る)
  • やんなくてもいいよー(うれしい)
  • お任せ
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