男たちの声が聞こえてくる。
不快な声だ。
私は先程まで名も、顔も知らない商人の馬車に揺られていた。
私の体はもう、人の形を保っていない。
私は悪魔憑きだ。
つい最近までは、明日は明るいと無邪気に信じていた子供だった。
それが薄氷の上に築かれた夢物語でしかないとも知らずに。
悪魔憑きとなった私を両親は気味悪がった。姉は庇おうとしたらしいが結局戻ってくることはなかったが。
私は教会に売られ、私を運んでいた商人が盗賊に襲われた。
今の私の身はその盗賊たちの物となっている。
抵抗したくてもできない。
体は思うように動かず。目もすでに見えなくなっている。
これでどうしろと言うのだ?
私が今まで鍛えてきた剣も、蓄えてきた知識も何もかも意味がない。
ここまで、虚無感を感じたのは生まれてきて初めてそして恐らく最後だろう。
暫く寝ていよう……
「……ゲル、トぅゾくはただの盗賊だ!逃げない盗賊は訓練された盗賊だ!」
そうな声と剣のぶつかり合う音で目が覚める。
そして、あたり一帯に響くのは男たちの命乞いと断末魔。
そこには、さっきの盗賊の宴会でも聞こえた声があった。恐らく切られているのは盗賊たちなのだろう。
盗賊たちの言葉と切っていると思われる人物の声から推測するに、そいつは自分と同じ位の男の子のようだ。
ざまぁみろと思った。もっとやれと思った。誰だかわからないが感謝した。
溜まりにたまったストレスで盗賊たちに対して八つ当たりをする。
けど、それもすぐに終わった。
最後の盗賊が倒れる音がする。
もう終わってしまったようだ。
盗賊を切っていた男の子が誰かを呼ぶ。
エミという名前のようだ。
声からして私と同じくらいの女の子。
なんでも、女の子に人を切らせるようだ。
なぜかはわからない。
暫くして、足音が聞こえてきた。
先程の男の子のようだ。
男の子は私の入った檻にかぶせられた布から覗いてきた。
この醜い姿を見られたくない一心で檻の端に移動しようとする。
「悪魔憑きか……」
ああ、見られた。
また、持ち主が変わった。
できれば、ここで私を無視して置いて行ってほしい。
教会で処刑されるよりここで野垂れ死んた方が、その方が私にはいいと思えた。
フフフ
笑い声が聞こえる。
この世は無慈悲だ。
私はこの世界を憎しみながら、その男の子の脇に抱えられて行った。
そんなことを思っていたのも1か月も前の話、今では彼にこの身を捧げるほどの感謝を感じている。
「今日から君はアルファだ」
あの、悪魔憑きを治してもらって意識を取り戻したあと、もう帰っていい、だとか、君は自由だ、と言われたときは絶望したが。
今では幸せの絶頂にいる。
「分かったわ」
頬が紅潮しそうになる。だが目の前には彼が、しかも私は裸だ。今ははばかられるだろう。
「そして、君の仕事は……、魔人ディアボロスの復活を陰ながら阻止することだ」
「魔人……ディアボロス?」
意味が分からなかった。
だってそれはおとぎ話じゃないの?
私は彼の頭を疑った、だがすぐにその自分を恥じることになる。
「君も知っているだろう。遥か昔、魔人ディアボロスによって世界は滅亡の危機に瀕していた。しかし、三人の勇者がそれを倒し世界は救われた、誰もが知っている話だ」
「知ってるわ。でも、あれってお伽話じゃない?」
「いいや、本当にあったことさ。まぁ、現実は物語よりずっと複雑だが……」
いよいよ彼の言っていることが分からなくなってきた。
彼は頭の病気にでも罹っているのだろうか?
「勇者に倒された魔人ディアボロスは、死の間際に、三人の勇者に呪いをかけた。それが〈ディアボロスの呪い〉」
「〈ディアボロスの呪い〉?そんな話聞いたことがないわ」
自慢ではないが、私はかなり優秀なほうだと自覚している。
どんなことだろうと同じことをやったらその人の上を行く、それが私だ。
だから楽しかった。鍛えることが、知ることが。
そんな自分でも知らないことを言い出したのだ。疑って当然だ。
「〈ディアボロスの呪い〉は存在する。悪魔憑き……君の体を蝕んでいた病だ」
「え、そんな……」
私は驚愕した。
だったら、なぜ私はこんな目に合わなくてはいけなかったのか?
私の中で憎悪が渦巻く。
「魔人ディアボロスを倒した英雄の子孫たちは、この病に長く苦しめられた。しかし、昔は〈ディアボロスの呪い〉は治せるものだった。君のようにね。だから、悪魔憑きは英雄の子孫の証明だった。そして世界を救った者の子たちとして大切に保護され、感謝され、称えられた」
「今は……感謝どころか……」
「何者かが歴史を捻じ曲げたのだ。英雄の証明であることを隠し、呪いの治療法も隠し、それどころか悪魔憑きなどと蔑まれる存在に」
「ッ!いったい誰が!」
「それこそが魔人ディアボロスの復活を目論む者たちだ。〈ディアボロスの呪い〉に蝕まれる者は、例外なく魔力が高く英雄の血を色濃く受け継いでいる。つまりは彼らにしたら邪魔な存在だ」
「だから悪魔憑きと称して始末している……」
「そうだ。君は悪魔憑きなどと蔑まれ、故郷も家族も失った。憎くはないのか」
「憎いわ。憎くないはずがないでしょう」
彼はそれを聞いて大きく頷いた。
「ディアボロス教団。それが僕らの敵だ。彼らは決して表舞台に出てくることはない。だから僕らも陰に潜むんだ。陰に潜み、陰を狩るんだ」
表舞台に出ずにそれほどの影響力を持っているということは多くの協力者がいて組織の規模も世界規模のはずだ。
だけどそれは、奴らを諦める理由にはならない。
私は奴らに何としても死の制裁を与える!
「我らは『シャドウガーデン』陰に潜み、陰を狩る物……」
「『シャドウガーデン』。いい名ね」
「あ、そうそう。君に紹介したい人がいるんだ。エミこっち来て」
その日、私たちは一晩中、言葉で剣(エミは除く)で語り合った。
シャドウガーデンがついに結成!
あと
今まで
シャドウガーデンをシャドーガーデンと間違えていました。
直ぐに修正します。
カゲマスのオリジナルストーリー、つまりは陰実の本編では絵描かれていないゲームのストーリーの分も書く?書かない?。※作者はカゲマスをやっていません。
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やれ、これは命令だ。(困る)
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やんなくてもいいよー(うれしい)
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お任せ