ニュージェネレーションな出来事がいっぺんに押し寄せてくる世界のお話   作:ムジョー555

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降りしきる雨の中、私は何もできず、ただ地に這いつくばっていた。

頬をつたう液体が、いわゆる涙なのか、ただの雨なのか、それさえも分からない。

悲しみさえ感じる余裕がないほど、ただただ眼の前の現実を受け入れられずにいた。

 

「……可哀想に」

 

そんな声が聞こえた気がして、私はボンヤリとした視線を声のほうに向けた。

すると、一人の青年が静かに歩み寄ってくるのが分かった。

 

左右に二分、半分黒、半分白の、奇妙な服を来た青年。

絶え間なく降りしきる雨の中だというのに、青年は何故か全く濡れていなかった。

彼の上だけ、雨が降っていない。

まるで雨のほうが彼を避けているかのように、青年の姿を豪雨の中にクッキリと浮かび上がらせていた。

 

「君が望むなら、私はそれを与えよう。どうする……?」

 

青年はそう語りかけながら、私に手を差し伸べた。

それは天使のように優しく、悪魔のように恐ろしくも、魅力的な提案だった。

 

そして、私は黙って、青年の差し伸べる手を掴んだ。

その瞬間、私の背後で崩れ去っていた『全て』が確かに直っていくのを感じた。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

―TPU日本支部 統合基地―

 

普段はGUTS-SELECTの面々が使用するオペレート室で議論を交わすものたちがいた。

 

「ウルトラ・フレアと同質なエネルギー。これを悪用した宇宙人がいるということでは?」

 

イチジョウジトモヤはそう問いかける。

 

「発生源は衛星軌道上だしね。大方ヴィランギルドの連中辺りが送り込んできたんじゃない?」

 

オオタユカも、自身が観測したエネルギーの解析結果を見ながら、そう語る。

 

「でも、それじゃあ位相のズレはどう考えますか?」

 

オオゾラダイチは、モニターに映る波形を見ながら首を傾げる。

 

「前提が違うのかもしれない……発生源がひとつとは限らないのか?」

 

ヒジリアキトはそう呟くと、キーボードを激しく叩き出す。

 

「うむ。私もアキトと同意見だ。スパークドールズを悪用する者が単独犯や一枚岩な組織とは限らないだろう。マモルとルイもその線で解析してみてくれ」

 

「はい!」

「ガッテンテン!!」

 

ファントン星人グルマンの発言を受け、ミカヅキマモル、タカダルイもキーボードを激しく操作し始める。

 

「全く、お前らホントにスゲェな。とても地球人とは思えないぜ……」

 

メトロン星人マルゥルは、科学班の皆の働きを見つめると、どこか感心したような、半ば呆れたような声を上げる。

 

「あれ?」

「みんな揃ってどうしたの?」

 

そこにやって来たのは、シズマユナとヤマセアスナ。

GUTS-SELECTの2人の女性隊員が格闘訓練を終え、談笑しながら戻ってきた。

 

「この間のパンドン戦で観測された謎のエネルギー、宇宙人の関与が考えられるから俺の意見も聞きたいって、科学班のみんなが来たんだよ。そしたら……」

 

そう言ってマルゥルが指し示したのは、モニターに喰らいつき、激論を交わす科学班の面々。

 

「「あぁ……なるほど」」

 

ユナとアスナも、先ほどのマルゥル同様、感心と呆れを交えて頷いた。

 

「出た! やっぱり別の発生源だ!!」

 

アキトが叫ぶと、モニターに先日の戦闘エリアの地図が表示される。

つまり、発信源は『地球上』

スパークドールズの実体化に使われたエネルギーの発生源は衛星軌道上であったが、戦闘中に妖しげに輝き、戦闘力を増大させたエネルギーは、地球で発生したものだったということになる。

 

「なるほど。我々は宇宙にばかり目を向けすぎていたというわけか」

 

「タツミ隊長!? いつからそこに?」

 

音も無く、いつの間にか会話を聞いていた隊長に驚く一同。

 

「それより、直近で同種のエネルギーが発生した痕跡はあるか?」

 

「今やってます……出た!」

 

ダイチの解析結果が示したのは……

 

「……降星町」

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

暖かく柔らかな日差しが注ぎ込む食卓に、私は彼と2人きりで、微笑みながら向かい合う。

 

テーブルの上には、2人分のカレーライスと、今朝生けたばかりの花が花瓶に1輪。

 

「君のカレーライスはいつ食べても最高だね」

 

彼のその言葉を聞いた途端、確かに私の頬に涙が流れるのを感じた。

 

「……ありがとう」

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

―降星町―

喉かな自然が残る地方都市だが、昨年、怪獣や宇宙人が関与した多数の怪事件が発生した地でもある。

 

オオゾラダイチたち科学班が特定した直近の痕跡は、降星町の山中だった。

 

降星町で発生した事件の背景には、スパークドールズを実体化させる能力をもった闇の巨人『ダークルギエル』が関与したとされている。

そんな土地から、今回また謎のエネルギーの発生痕跡が確認されたとなれば、無視することは出来ない。

 

GUTS-SELECTのアスナ、そして土地感のある科学班のトモヤは、特定された発生地点へと向かっていた。

 

「発生源はこの辺りですね」

 

トモヤの案内で向かった先に見えたのは1軒の廃屋。

とても人が住んでいるとは思えぬほど朽ち果てた一軒家だった。

 

悪意ある者が隠れ家としていてもおかしくない。

その建屋に、アスナが先陣を切り、侵入する。

 

当然ながら、内部も人が住んでいるとは思えないほど荒れ果てた様子。

しかし、そんな場に不釣り合いな香りが漂っていた。

 

「……カレー?」

 

2人の目に飛び込んできたのは、これまでの廃墟とはまた趣きの異なる異様な光景。

 

居間と思しき部屋の中央。

朽ち果てたテーブルの上には、割れた花瓶がひとつと、『作りたて』のカレーライスが2つ。

花瓶に生けられた花は無惨に枯れ果て、一見カレーライスかのようにみえた『それ』は、本来ライスが置かれるべき皿の上に『おがくず』が敷き詰められていた。

 

間違いなく正常ではない。

これ以上、ここに居てはいけない。

アスナとトモヤがそんな感情を抱いた瞬間、大地が大きく揺れ動いた。

 

「何!?」

 

慌てて廃墟を飛びだした2人が目にしたのは、大地を切り裂き現れた巨大怪獣。

 

―異生獣ノスフェル―

ハダカデバネズミを怪物化させたような醜悪な姿をした怪獣

 

それが両腕の鋭い鉤爪を打ち鳴らし、アスナとトモヤに迫った。

 

「下がって!」

 

アスナはトモヤを守るように前に出ると、迎撃のために銃を取り出す。

 

アスナは、GUTSスパークレンス・ハイパーガンを手にし、スマートキー型のアイテム「GUTSハイパーキー」を装填する。

 

『Boot Up ! Shock Wave !』

 

アスナの銃撃により、怪獣ゴモラの力を込めた衝撃波が放たれる。

その一撃は鋭く、ノスフェルの鉤爪を打ち砕く。

 

しかし、アスナが安堵する暇もなく、瞬く間に新たな鉤爪が生えてくる。

 

「どういうこと!?」

 

「スペースビースト、ノスフェル。特徴はあらゆる傷を即座に癒やし、死すら超越する再生能力。通常攻撃では勝ち目がありません」

 

「はぁ!? 何それ!? そんなのあり!!」

 

手にした情報端末「ガンパッド」で冷静に分析するトモヤの言葉に、アスナは尤もな不満を口にする。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

同じく降星町山中。

ノスフェルの出現を見つめる一人の青年。

 

『いけるか、ヒロユキ?』

「あぁ、いくぞ! タイガ!!」

 

ヒロユキと呼ばれた、黒いスーツに身を包んだ青年は、懐から人形とデバイスを取り出す。

 

「光の勇者、タイガ!」

 

青年はそう叫ぶと、人形の脚をデバイスに押し当てる。

 

「バディ──・ゴーッ!!」

 

『ウルトライブ! ウルトラマンタイガ!!』

 

巨大な光が、地上から沸き立つようにそびえ立ち、ノスフェルの眼前に位置どる。

 

その光は、やがて巨人の姿を象る。

 

「ウルトラマン!!」

「……タイガ」

 

アスナとトモヤは、それぞれ彼の名を呼んだ。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

タイガはノスフェルに格闘戦をしかける。

鋭い爪を掻い潜り、連続パンチを放つ。

 

「スワローバレット!」

 

さらに追い打ちとばかりに光線を連射。

ノスフェルの爪や牙を撃ち砕いていく。

 

しかし、タイガの猛攻も意に介さず、ノスフェルは即座にその傷を癒やしていく。

 

『なんだこいつ!?』

「再生能力が高すぎる。このままじゃジリ貧だ」

 

タイガとヒロユキも、ノスフェルのタフさに思わずたじろぐ。

 

そんなとき、地上から声を上げる者がいた。

 

「タイガ! 口腔内の再生器官をピンポイントで破壊しないと、奴は何度でも復活します!」

 

ガンパッドを片手にそう叫ぶトモヤの声を聞いたタイガは、ノスフェルを取り押さえると、無理やり顎をこじ開ける。

 

「……ウルトラマンって、人間の話、通じるんだ」

 

突如、こちらの意思を汲み取り連携を始めた巨人に思わず唖然とするアスナだったが、すぐに気を取り直して、照準を定める。

 

『Boot Up ! Shock Wave !』

 

アスナの放った銃撃は、こじ開けられた顎の奥。

ノスフェルの再生器官を確かに撃ち抜いた。

 

『よし、いけるぞ。ヒロユキ!』

 

タイガは、その様子を見届けると、ノスフェルから距離をとり、光線の発射体制に移る。

 

「ストリウム……」

 

「……いいのかな?」

 

そのとき、不気味で妖しい声が響き、タイガは思わず光線を撃つ手を止めた。

 

そして、タイガとノスフェルの間に割って入るように、青黒い闇が巻き起こる。

その闇が徐々に晴れると、中から姿を現したのは……

 

『トレギア!?』

 

―ウルトラマントレギア―

悪魔の如き青い巨人

 

タイガは、思わずその名を叫んだ。

 

「このまま、この怪獣を倒していいのかな?」

 

トレギアはそう言うと、パチンと指を鳴らす。

その途端、タイガ、ヒロユキ、アスナ、トモヤの脳裏に浮かぶのは、とあるビジョンだった……

 

 

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