ニュージェネレーションな出来事がいっぺんに押し寄せてくる世界のお話   作:ムジョー555

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※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

その場に居合わせた皆の脳裏に浮かぶビジョン。

 

それは、ノスフェルの体内、蠢く肉塊。

とても人間とは思えないその塊だか、そこからは確かに、何か人間めいた意思を感じる。

 

そして、ビジョンはさらに移り変わる。

 

2人の男女が幸せそうに食卓を囲む。

そんな光景が、皆の脳裏に浮かぶ。

 

「愛する夫を失った彼女は悲しみにくれていた」

 

トレギアの言葉とともに、またビジョンは移り変わる。

降りしきる雨の中、土砂崩れで倒壊した家屋の前で這いつくばり、涙を流す女性の姿。

 

「君が望むなら、私はそれを与えよう。どうする……?」

 

青年はそう語りかけながら、彼女に手を差し伸べた。

彼女は黙って、青年の差し伸べる手を掴んだ。

その瞬間、彼女の背後の土砂が消え去り、崩れ去っていた家屋も立ち上がった。

家屋は廃墟と呼ぶべき無惨な姿だったが、彼女の目には新居同然に映っていた。

 

そして、廃墟を包みこんで守るように立ち上がった異形。

それがノスフェルだった。

 

ノスフェルは廃墟の中に倒れる男の亡骸に己の闇を浴びせた。

次の瞬間、男は動き出した。

 

―ビーストヒューマン―

スペースビーストの細胞によって異形となり再生した人間の亡骸

 

変わり果てた男性の姿でさえも、悲しみの果てにいた彼女の目には、生前と変わらぬ愛しい人の姿に映っていた。

 

そして、ビジョンは再び切り替わる。

 

暖かく柔らかな日差しが注ぎ込む食卓に、2人の男女は、微笑みながら向かい合う。

 

テーブルの上には、2人分のカレーライスと、今朝生けたばかりの花が花瓶に1輪。

 

しかし、そのビジョンがガラスが割れるように崩れていく。

 

居間と思しき荒れ果てた部屋の中央。

朽ち果てたテーブルを挟み、向かい合うのは女性と異形。

テーブルの上の花瓶に生けられた花は無惨に枯れ果て、皿に盛られている『カレーのかかったおがくずの山』を異形が貪り食っていた。

 

「……どうして」

 

女性は再び悲しみの涙を流すと、部屋の窓からこちらを覗くノスフェルに向かって語りかけた。

 

「お願い……こんなことなら……私も……」

 

ノスフェルはその願いを聞き入れるかのように、食卓を囲む2人に闇を浴びせた。

 

闇に包まれた2人は脈動する肉塊へと形を変えると、ノスフェルの舌に巻き取られ、体内へと消えていった。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

「酷い……酷すぎる……」

 

アスナは率直にそう口にする。

突入した廃墟に感じた違和感の正体は、直視も憚られる、あまりにも酷い現実。

何故こんなにも非道なことが出来るのか?

アスナは、ただ呟くことしか出来なかった。

 

「さぁ、ウルトラマン。どうする? これでも君は、哀れな彼らを討ち滅ぼすことが出来るかな?」

 

『貴様ぁぁぁ!!』

 

トレギアの問いに、タイガは怒りを露わにした。

 

『ヒロユキ! やるぞ、トレギアも、あの怪獣も……俺たちで倒すんだ!!』

 

「タイガ……」

 

怒りを覚えるタイガの気持ちを、ヒロユキはよく分かった。

しかし、同時に疑念も感じた。

このまま怒りに身を任せ、闘っていいものかと。

 

そんなとき、ヒロユキには囁くような女性の声が聞こえた気がした。

 

『……お願い』

 

ヒロユキが耳をすますと、それは確かに聞こえた。

……眼の前の怪獣の中から。

 

『お願い……あの人との思い出が、これ以上壊れる前に……終わりにして……』

 

その声を聞いたヒロユキの胸に強い衝撃が走る。

確かに肉体は滅びたのかもしれないが、彼女の意思はまだ、あの怪獣の中に残っている。

それを、自らの手で打ち砕くことが出来るのか?

いや、打ち砕いてしまっていいのか……?

 

タイガはよろめき、胸のカラータイマーが点滅を始める。

 

「どうしたら……」

『立て! ヒロユキ!!』

 

タイガとヒロユキの意思にズレが出始める。

それは、ウルトラマンとしての闘いにも勿論影響を与える。

 

ヒロユキの動揺が、そのまま反映されたかのように、カラータイマーは鳴動し、タイガの全身から力が抜けていく。

 

『ヒロユキ!!』

 

タイガの叫びも虚しく、とうとう膝をつく。

そこに迫るノスフェルの鉤爪。

 

鋭い爪が、タイガの身体を切り裂く……

 

……ことはなかった。

 

小さな、それでいて強い、ひとつの赤い光。

それがノスフェルの鉤爪を受け止めた。

 

『……お嬢さん。その願い、確かに聞き入れた!』

 

赤い光は、タイガのカラータイマーへと飛び込む。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

―インナースペース―

ヒロユキとタイガがひとつになったときに生まれる空間

 

そこに、新たなひとつの光が飛び込んできた。

その光が徐々に『スパークドールズ』の形を露わにしていく。

 

『タイタス!? なんでここに!?』

 

―ウルトラマンタイタス―

惑星U40出身の紅き光の巨人

 

突如現れたスパークドールズを見たタイガが驚きの声を上げる。

 

『話はあとだ。青年、ヒロユキといったか。私の力を使いなさい!』

 

「でも、彼女の想いにどうやって応えたら……」

 

『私に考えがある。信じろ!』

 

『ヒロユキ、タイタスなら大丈夫だ。信じて進め!!』

 

タイタスとタイガの熱い言葉に押され、ヒロユキは覚悟を決めた。

 

「分かった……任せたぞ、タイタス!」

 

そう言うと、ヒロユキは眼の前に浮かぶ、タイタスのスパークドールズを力強く掴む。

 

「力の賢者、タイタス!」

 

ヒロユキは力いっぱい叫び、タイタスのスパークドールズをデバイスに読み込む。

 

「バディ──・ゴーッ!!」

 

『ウルトライブ! ウルトラマンタイタス!!』

 

巨大な光がタイガを包み込み、その姿を変えていく。

 

「……新しい、ウルトラマン」

 

トモヤは、思わずそう呟いた。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「タイタスか。お久しぶり……賢者の拳とやらで私を砕いてみるか?」

 

突然現れたタイタスにもさほど驚く素振りを見せず、トレギアはひょうひょうと語りかける。

 

「今は、貴様の相手をしている暇はない……」

 

そう呟き、タイタスはノスフェルへと向かっていく。

 

歩み寄ってくるタイタスに対し、ノスフェルはその鋭い鉤爪を振るう。

しかし、タイタスの鍛え上げられた肉体、鋼のウルトラマッスルには届かない。

タイタスは一切臆することなく、ノスフェルとの間合いをゼロ距離まで詰め寄る。

 

「プラニウム……」

 

ノスフェルに密着した状態で、タイタスは緑色のエネルギー光球を生成する。

そして……

 

「バスタァァァ!!」

 

右手のパンチで光球を力の限り、ノスフェルへと押し込む。

 

その衝撃は凄まじく、ノスフェルの肉体は光に包まれ、跡形もなく消え去ってしまった。

 

「ハ、ハハハ!!」

 

その光景を見て、笑い出すトレギア。

 

「大したものだ、ウルトラマン。哀れな犠牲者たちの、命も護れず、魂も救えず、全てを打ち砕いた!」

 

トレギアは高笑いを続ける。

 

「それでよくも正義を語れたものだ。救世主を気取れたものだ。所詮、お前たちなど、グヘェッ!?」

 

語りの途中、思わずうめき声を上げるトレギア。

その顎には、タイタスの拳が突き刺さり、脳天を揺らしていた。

 

「……暇が出来た。相手をしてやろう」

 

トレギアは事態を飲み込めない。

タイタスは強靭な肉体と溢れるパワーの肉弾戦こそ得意だが、スピードは特筆するべきものではない。

だが、今の一撃を、トレギアは全く感知することが出来なかった。

 

「ただし、今日の私は機嫌が悪い。手加減出来ると思うなよ……トレギア!!」

 

次の瞬間、タイタスの両拳が、目にも止まらぬ速度で打ち出される。

スピードを優先したからといって、決して威力が落ちているわけではない。

そのひとつひとつが、全てを砕く『賢者の拳』

 

「ウルトラァァァァァァァァ!!」

 

凄まじいラッシュが、トレギアを襲う。

トレギアの全身に余すことなく、賢者の拳が叩き込まれる。

 

「……フ。今日はこの辺にしておいてあげるよ」

 

トレギアはフラつきながらも、そう呟くと、闇の中に消えていった。

 

「逃げたか……」

 

見届けたタイタスは、視線をノスフェルを撃破した地点に移す。

 

ノスフェルが崩れ去った跡、そこには小さな2つの光が浮かんでいた。

 

「あれは……?」

 

ヒロユキが疑問の声を上げ、光に目を凝らす。

すると、その光はとある人物たちの姿を見せ始めた。

 

それは、ノスフェルの犠牲となった、あの夫妻。

 

―賢者の拳は全てを砕く―

この言葉に嘘はない。

しかし、無条件に何もかもを砕くわけではない。

何を砕き、何を護るか。

力の使い方を決めるのも、力を振るう者の責務。

 

タイタスの賢者の拳は、確かに砕いた。

スペースビーストの悪しき細胞に侵された、彼らの肉体を。

しかし、その身に宿る魂までは、決して砕かなかった。

結果、異生獣の呪縛から解き放たれた魂が、安らかな想いを抱き、光となって解き放たれた。

 

『……ありがとう。ウルトラマン』

 

天に昇り、消えていく光から、そんな声が聞こえた気がした。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

闘いが終わり、変身を解いて一人山中を歩くヒロユキ。

そこに声をかける者がいた。

 

「お久しぶりです。ヒロユキさん」

 

「トモヤくん、久しぶり。さっきはありがとう」

 

ヒロユキとトモヤは、互いに顔を見合わせると、静かに優しい表情を浮かべた。

 

「やっぱり、あのタイガはヒロユキさんだったんですね。次に出てきたウルトラマン……確か、タイタスでしたか? あれもヒロユキさんなんですか?」

 

「うん、そうだよ」

 

トモヤの問いかけにヒロユキが答えると、彼の背後に2つのスパークドールズが浮かぶ。

 

『久しぶりだな、トモヤ!』

『タイガたちが世話になったようだな。私からも礼を言おう』

 

タイガ、タイタスが、トモヤに語りかける。

 

「トライスクワッド……でしたよね。皆さんにお見せしたいものがあります」

 

そう言うと、トモヤはガンパッドに『あるもの』を映し出す。

 

『『これは!?』』

 

タイガとタイタスが驚きの声を上げる。

 

画面に映し出されたのは、ひとつのスパークドールズ……

 

―ウルトラマンフーマ―

惑星O-50出身の蒼き光の巨人

 

『風の覇者』の異名を持つ、トライスクワッド最後の一人。

それを象った人形だった。

 

 

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