転生の特典に「あなたが欲しい」と選んだ女神様が激かわ過ぎる件   作:うどんそば

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初心者向けの依頼

 ひときわ大きな鐘の音が鳴った。

 

「んあ?」

 

 俺はもう既に起きていたのだが、女神様はさっきの鐘で起きたのか、寝ぼけ眼をこすり、少しだけはだけた服装をのそのそと整えていた。

 ……衣服の隙間からきれいな肌が覗く。この世のものとは思えない綺麗さに、思わず目線が向かってしまいそうになるが、理性でそれを抑え込んだ。

 

「おはよう。女神様」

 

「おはよ、りょうくん……」

 

 ふわ、と欠伸をして、ベッドから降り、一つ伸びをして見せる。そうすると、だいぶ目が開いてきている様に思えた。

 ……いちいち、することがこんなにかわいいのはなんでなんだろうか。

 

「よし、これで目が覚めました。昨日受付さんが、ギルドが開いた時に鐘が鳴ると言っていましたね。行きますか?」

 

「そうだな。早く行ったほうが、依頼に掛けられる時間も増えるし、いい依頼も残ってるかもしれないし」

 

 

 ●●●

 

 

 この寮のような場所からすぐ近くにあるギルドは、まだ空いたばかりだと言うのに、そこそこの賑やかさがあった。やはり俺たちと同じように、朝のほうがいい依頼が残っているらしく、それを狙いに来ている様だ。

 

「おお、昨日も来てた新人か」

 

 後ろの方から掲示板を眺めていると、身軽そうな軽装に身を包み、腰に短剣を差したいかにも冒険者という風貌をした、中年のおじさんが話しかけてきた。

 

「ど、どうも?」

 

「あはは、そんなに緊張するな。初めての依頼だろうと思って、初心者向けの依頼でも教えてやろうと思ってな」

 

「……弱い魔物の退治とかですか? 一応そういったのを探していたのですが……」

 

「いやいや。おまえらはまだ装備が整っていないだろう。そのままじゃ、その辺りのうさぎすら捕まえられないさ」

 

「じゃあ一体何を?」

 

「薬草集めか、町の警備だ。薬草集めは安全だし、町の警備は貸出の武器があるからな。俺が新人のときは薬草集めをしていたな。このあたりの地形も覚えられるし。ただ、給料は警備の方が高い」

 

 ああなるほど。これはいいことを聞いた。

 ちなみに、初心者向けの寮は、家賃が格安だ。どちらの依頼でも払える上、余るだろう。

 しかし、昨日は食べなかったのもあり、今日は流石に食事も取らなければいけない。そうすると薬草の方はあまり金が残らないかもしれない。

 でも、警備の方はこれからの冒険に必要な地の利を集めるのに適していないらしい。

 

「なるほど……どちらがおすすめです?」

 

「まあ、この先のことを考えると薬草集めがいいだろう。お前らはこれから本格的に冒険者になるのか? それとも、とりあえず冒険者になって、そのうちまともな職につくのか?」

 

「これからも冒険者としてやっていきます」

 

「それなら決まりだな。これからもっと都会に移動するにしても、はじめはこの場所でやっていくことになるだろう。だったら地の利というのを集めておけ。武器はいつか手に入るから、焦る必要もないだろう。それに、長く冒険者をやっていくなら探索の経験を積んでおくことは大切だからな」

 

 おじさんは自分でも噛みしめるように言うと、「それじゃあ、頑張れよ」と手を振って去っていった。いい人だったな。

 

「リョウ君! 取ってきましたよ! 薬草の採集の依頼です!」

 

 女神様はその小柄な体格を活かして、掲示板から依頼の紙を取ってきてもらっていたのだが、ちょうどいいものを持ってきてくれたようだ。

 

「よし! じゃあ早速行こうか!」

 

 受付にその紙を見せ、受諾する。昨日と同じ受付の人に、「深入りしないこと」「危ないと思ったらすぐに戻ること」「横取りはしないこと」の三つのマナーに付いての説明を軽く受け、薬草の見本の紙をもらい、ギルドを出発した。

 

 ギルドがある大通り沿いを歩く事数十分。街の外へつながる門のサイドに立つ門番に冒険者カードを見せる。

 

「ああ、初心者か。気をつけて行ってこいよ? あと、最近はこのあたりじゃ出ないような強い魔物もたまに出るらしい。おそらく薬草採集をするようなところでは出ないと思うが、気をつけてくれ」

 

 門番の注意の言葉に、女神様と顔を見合わせる。

 これ、多分今あったらまずいタイプの魔物だ。女神様はまだしも、俺に関しては武器の一つも持っていないのだから。

 女神様は真剣な表情で言う。

 

「ちなみに、その魔物の特徴を教えていただけませんか?もし見つけたらすぐに逃げたいので」

 

「ああ……オーガだよ。それもそこそこの大きさのな」

 

「オーガ、ですか。わかりました。それに出会ったらすぐに逃げてきます」

 

「ああ。死んだら元も子もないんだ。本当に気をつけるんだぞ」

 

 流石に、オーガに喧嘩を売る度胸はない。無いとは思うが、もし会ってしまったときは、すぐに逃げよう。じゃないと死んだら元も子もないというのが事実になってしまう。

 

 門番に手を振り、外へ出る。案外、地理で習った海外の草原と景色は変わらない。ただ一面に草が広がっていて、少し行ったところには森が見える。あそこが今回の目的地だ。

 

「案外普通なんだな」

 

「逆に普通じゃないほうが困ります……私は色々力がありますが、リョウ君は武器もないじゃないですか。危ない目には会ってほしくないですよ」

 

 長い草原を、二人並んで道に沿って歩く。風が気持ち良いのはどの世界も共通なんだなと思いつつ、ひたすら長い道を歩いている。

 

「女神様。もうなんか、日本で過ごしていたときの一週間分くらい歩いた気がする」

 

「ああ……そうですね、それくらいありますかね? この世界、馬車はありますし、魔法での移動手段もありますけど、自転車や車、ましてや電車なんてありませんからね」

 

「女神様は疲れないのか?」

 

 女神様は、見た目は小学から中学生くらいの幼い感じだ。となると、当然歩数も多くなるわけで、俺よりも疲れているという可能性もあるわけで。

 

「これでも私は女神ですから、体力的なものもかなり多い方です。もちろん疲れることもありますけど、これくらいの距離では……という感じですね」

 

「うわあ……となると、二人で色々するとなると、俺が体力で足を引っ張ることになるな」

 

 こうなると、少しはトレーニングとかしたほうがいいか? 流石に見た目年下な女神様に体力で負けるのは少し悔しい。それに、外聞的にも少しよろしくない気がする。

 

「ああ、でもトレーニングとかはしないほうがいいと思いますよ」

 

「なんでだ? 俺の体力がついたほうが、女神様も助かるんじゃ?」

 

「いや、多分それに使う時間と体力があるなら、一緒に依頼を受けたほうがいいじゃないですか。お金も手に入りますし、経験にも繋がりますし」

 

 でも、そうやってしていたら、女神様に対する負担が大きくならないだろうか。トレーニング代わりにも依頼を受けるということは、単純に一つ追加で依頼をしないといけないということ。

 近場の薬草採集だけでもこんなに疲れるのだから、ついてこないといけない理由が無い女神様を連れて行くのは少し憚られる。

 

「わざわざ私の負担なんて気にしなくていいんです。私がリョウ君と一緒にいたいからこういう提案をしているんですから、こんなことで気にしていたら、私がこういうことを言うたびに一生ずうっと気にすることになっちゃいますよ?」

 

「わかった。じゃあ、そうやってトレーニング代わりに依頼を受けるときも、一緒に行こう」

 

「はい!」

 

 女神様はニコニコとした顔で満足そうにそう返事を返してくれた。

 

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