転生の特典に「あなたが欲しい」と選んだ女神様が激かわ過ぎる件   作:うどんそば

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俺の武器

「ん。来たね」

 

 昨日と同じように寮の部屋で起きた俺たちは、エミーとの待ち合わせに向かった。

 

「すまん。待たせたか?」

 

「いや、大丈夫。早く来すぎてもどこも開いて無いし、ちょうどいい」

 

 エミーは昨日のような、身軽さに丈夫さも垣間見える服装ではなく、カジュアルさを全面に押し出している様子だ。それでも動きやすそうなのだから、最低限冒険者らしさと言うのも兼ね備えている。

 俺たちは昨日と同じ服。俺は特に、まだ服を持っていないので、こっちに飛ばされてきたときのままだ。そろそろ新しい服が欲しくなってきた。今日ついでに買うか……

 

「まあとりあえず、はじめはどこに行くかだけど……装備するものだし、武器屋から行こう。他のものを買ったら、手に持たないといけないからかさばる」

 

「わかった。じゃあどこに行くんだ?」

 

「ギルドに行く途中にあった装備屋街ではありませんか? あそこは確か、様々な冒険者さんたちで賑わっていましたよね」

 

「ん。そこ。大体この町は大きいといえば大きいけど、やっぱり栄えてるところに比べると小さい。あんまり選べない」

 

 少し残念そうにそう話すと、くるりと回って、後ろへ歩き出した。

 

「じゃあ行こう。私一押しの店に案内する」

 

 その後ろをついていくように歩く。初めてきたときには気が付かなかったような店に目をやる余裕も少しずつ出てきている。この場所でしばらくは過ごさないといけないだろうし、この機会に地図を覚えておくのもいいかもしれない。

 

「わあ……色々な店がありますね」

 

「ああ。うまそうな飲食店、生活必需品を売る商店、武器屋も個性がある。今になって気がついた」

 

「はいっ! 今度はこういった店にも、みんなで出掛けたいですね」

 

「そのために、今日はしっかり装備を整えて、もしこの前みたいなことがあっても、多少はなんとかできるようにならないとな」

 

 少しずつ景色は変わっていき、木中心だった町が石中心に変わっていく。武器が並ぶ店が徐々に増え、その無骨さが他とは少し違う雰囲気を醸し出している。

 そうした商店を少し素通りした時、小さな路地に入っていったエミーを追いかけると、一つのドアの前二止まった。

 

「ここ。入ろう」

 

 ぎぃ、とドアを開けて、その店内に入っていく。

 

「……いらっしゃい」

 

 渋い筋骨隆々の店主が言う。……怖い。

 店主さんから目線を外すように店内をよく見てみる。槍、剣、レイピアなど、有名所の刀剣類がずらり。それに、武具のところはプレートアーマーや当世具足などのガチガチな重装甲と、逆に動きやすそうな服の上から軽くつけられる軽装用の軽防具に二極化され、置かれていた。

 

「わあ……沢山あるね」

 

「うん。ここに来れば大体の物は揃う。流石に、銃は扱ってないけど。まああれは使い所もないし、問題ない。じゃあリョウ。色々見てみよう」

 

 そう言うと、エミーは一番近くにあった槍を持って、俺に渡してくれた。

 

「ありがとう……意外と軽いんだな」

 

「持つ場所次第。一番長く、片手で持ってみるといい」

 

「重! これじゃあきついな」

 

「うん。だから、きちんと扱いを覚えなきゃいけない。ただ、慣れてしまえば重さを利用した運用とかも出来て、いい武器」

 

「どうするんだ?」

 

「腕を組み替えたり、突きだけじゃなくて、振り下ろすのも効果があったりする。店主。練習台使っていい?」

 

「ああ。好きにしろ」

 

 そう言われると、エミーは店の端に置かれていた練習台のプレートアーマーを来たマネキンを持ってきて、こちらを見た。扱ってみろということか?

 

「ふん! よいしょ!」

 

 拙いが、なんとか振れていると思う。突きは問題なく出来ている。しかし、これを何時間もするとなるとかなり厳しそうだ。それに、あまりしっくり来ない。

 

「どうですか? リョウ君」

 

「うーん。あんまりしっくり来ない」

 

「そっか。武器はしっくりくるのを選んだほうがいい。感覚がいいやつじゃないと、もし戦いになった時、真っ先に死ぬから」

 

 思わず苦い顔をしてしまう。昨日死にかけたばかりだ。二度目の死を覚悟したにはしたが、もう一度同じようになりたいかと思えば否だ。生きたいと思ったのだから、死ぬと言われて選ぶのは……

 エミーは俺が返した槍を商品棚に片すと、今度は両手剣? 片手剣? どっちつかずなサイズの両刃剣を渡してきた。

 

「これは? 初めてみたかもしれない」

 

「バスタードソード。両手でも、片手でも使える。でも基本は両手で使ったほうがいいかな。振ってみて」

 

「ああ……うお!?」

 

 剣を振った瞬間、想像と違う反動で驚く。これは……俺が持つと振り回されそうだ。

 

「これも無理だ。俺じゃ振り回される」

 

「あ、じゃあこっちのはどうです? 二箇所持つところがついてますよ」

 

 アストラが持ってきた剣は、バスタードソードよりも大きかったが、持ち手となる場所が二つあった。

 

「ツヴァイヘンダー。扱いは難しいけど、威力はある。……でも、バスタードソードで振り回されるなら多分一緒。じゃあ今度はこれ。普通のショートソード」

 

「意外と長いんだな。ショートなのに」

 

「当たり前。ロングソードより長いショートソードもあるし」

 

 どういうこと? 役割の違いってことか? まあ気にせず振ってみよう。……お、これは振りやすい。なんだか手に馴染んでくる感覚がある。そんなに重すぎないし、振っている感覚もある。鎧を的にして振っても、上から下まで、どこでも攻撃できそうだ。

 

「うん。馴染んでるね。今のところこれがいいかな。私はこれがおすすめ。練習も、実践も、探索もし易い。これ以上万能な剣はないから」

 

「……今のところ? 後はだいたい似たような形しかありませんけど、なにかあるんですか?」

 

「ほら、やりたがってたのがあるでしょ。……ねえ店主。ある? 刀」

 

「どんな寸法のもんだ?」

 

「私のと同じ」

 

「と、いうと、これか。実質お前に売るために作っているみたいなものなんだが……そんなに良い刀がほしいなんてよ。ほら。これでいいか」

 

「ありがと。……じゃあ、これを持って」

 

 鞘ごと渡された刀は……意外にも、かなり重かった。ショートソードよりは重い。

 ゆっくりとその刀身を抜くと、さっきまで持ったどの剣よりも美しく光を反射した。刀身自体は、ショートソードと体感変わりない。が、これは両手で振ったほうがより良さそうだと直感が言っている。

 

「じゃあ、今度は鎧じゃなくて、これね」

 

 奥から持ってきたのは、竹のような植物が刺さった台だ。

 

「落ち着いて、切ってみて」

 

 今の俺なら、どうしてでも切れる気がする。この刀なら。

 振りかぶって、振った刀は、そのまま竹に少し刺さって取れなくなった。

 

「え?」

 

「あーあ。抜くから待って」

 

 エミーは俺から刀の柄を受け取ると、簡単に抜いて返してくれた。

 

「じゃあもう一回ね」

 

 エミーはただじっとこちらを見ている。

 さっきのは何だったのだろうか。こんなに切れそうなのに、あまり切れ味が良くないのか? いや、それはないはず。見ただけで業物だとわかるこんな素晴らしいものが切れないわけがない。それに、刀使いであるエミーがおすすめする店の刀なんだぞ?

 

 その瞬間、後ろに暖かな感覚を覚えた。

 

「落ち着いて……落ち着いて。落ち着かないと、その刀の良さもきっと出せませんよ?」

 

 アストラだった。少しずつ緊張はほぐれていく。ゆっくり深呼吸をして、不要な腕の力を抜く。

 

「緊張はほぐれましたか? じゃあ、がんばってくださいね」

 

 ゆっくりと離れていく感覚。それと同時に、俺はゆっくり刀を構え、体重と刀の自然な流れと共に、竹を叩き切った。

 

「……合格。刀は私が教えてあげるから、使おうか」

 

 喜ばしいことに、エミーのお眼鏡にもかなった様だ。

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