ガンダムビルドアサシン〜MACHINE&Girls〜   作:龍玖

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お久しぶりです、龍玖です
お待たせしました。ようやく、第1話です。
ペースは遅いですが、外伝の方も、こっちの本編も更新していこうかなと思います


不思議の氷皇VS狂気の宗教

裏路地、どこか昭和チックな建物が並ぶ場所をミニスカ紅いジャンパーに紅いのロングヘア女性は煙草を吹かしながら歩いていた。片手には半分ぐらい空いた500mlの紅茶のペットボトルをぶっきらぼうに持ち歩いていた。

 

誰も話しかけてやくれない。この場所も何かの恐怖に怯えている、というより来る者を拒絶し、洗脳紛いのことをしたら仲間にする。そういう類の宗教団体が上から動かしてるようなプレッシャーを感じた。

 

「おねえちゃん、どうしたの?」

 

「こ、こらっ!この人は外から来た人なの。話しかけちゃダメ!!」

 

7歳ぐらいの子が話しかけてきたが、その保護者だろうか、私を嫌悪するような目で睨みつけてきた。

 

だが、さっきの子も、その保護者もただの”データ”でしかない。昭和チックな建物も、レストランらしき建物のフードサンプルですらデータでしかない。

 

マッドクレイジーサーバー。GBNの中で新設された新エリアだが、裏の連中ですら行くのを面倒がり、挙句の果てには自治権を持つはずのGBNも目を逸らした。曰く付きのサーバーということだ。そもそもこんなにAIを集めて宗教紛いの事をやる暇があるなら普通にやればいい、そう思った。

 

何故、私皇 氷織ことヒオリがこの狂ったサーバーに居るのか、少し事情を説明しよう。

 

遡ること4日前

私はソロで新設エリア、そうマッドクレイジーサーバーに足を踏み入れた。その場の感覚を伝えるなら何かの恐怖、脅迫によってAIか、プレイヤーが殆ど自我を失っていた。運営が早急に対処したからか、ELダイバーは居なかった。そうなると必然的に監視外に置くのも何故か頷ける。プレイヤーもAIもフォースぐらいの人数しか居なかった。しかしそれを許さなかった人々が居た。第七機甲師団、通称「ロンメル隊」私はオコジョのロンメルさんって呼んでいる。事情は深く説明する程必要な物ではなく、状況は切羽詰まっているということだけが今の情報だ。ロンメルからのチャンプ伝いの情報によると、宗教団体らしき物を現時点よりカオス・レジジンと名称することとなった。ロンメル側は要救助者の救助、ヒオリのやることは高域戦闘になった際のコシュマール・サージョの解放状態での戦闘及びコシュマール・サージョ完全解放によるサーバークラッシュを行う物となっている。

 

ということがあって作戦開始前まで狂ったサーバーをほっつき歩いている訳だ作戦開始は1445、日本標準時14時45分開始の為、あと5分程だ。私は呼び出しアイテム、トリニティヴェセルを羽織ってるパーカーから出した。トリガーを1度押し、カード差込口にカードを差し込む。

 

『ゼノアリス ローディング』

そして、3つの差し込み口にそれぞれ別々のキーを差し込む

灰色、濃紺、漆黒。3つのキーを、差し込む。

『カイゼリン』『ファントム』『ノワール』

 

「氷の皇女、漆黒の鎧纏いて、顕現せよ。カイゼリンファントム・ゼノアリス・ノワール」

 

3つの眩い光と共に現れたのは、脚部と腕部に黒い装甲をつけたカイゼリンファントム・ゼノアリス・ノワールである。それはかつて、氷の皇女、黒氷の化け物と呼ばれ、このGBNでは『不思議の国の氷女』と呼ばれている機体。

 

「ヒオリ、作戦を開始する」

 

その言葉と共に、カイゼリンファントムのツインアイに蒼い光が灯った。

 

同時刻

 

「彼女1人捕まえればいい?」

 

「えぇ、それ以外は穏便にと……」

 

ヒオリは2機のMS、シュヴァルベグレイズとロードアストレイに目をつけられていた。それは、朝、始まりの鐘を鳴らす羊飼いの様に。

 

 

 

 

「エネルギー弁解放、出力90、99……」

 

『ヒオリ、頼んだぞ。』

 

「……うん」

 

カイゼリンファントムは黒い装甲から円形の軸を剥き出しにし、ノワールユニットの全出力を解放。コシュマール・サージョの最大出力でサーバーを1度クラッシュするだけである。

 

「解放型高範囲エネルギー、コシュマール・サージョ解放。」

 

 

ヒオリがそう言うと、半径15km程の範囲内の人の形をしたデータ体は全てにバグが生じ、自壊を始めていた。

 

『全機、作戦開始!』

 

こっちの作戦指揮官がそう告げると、大群が小さな陸の孤島に接近し、市街地のような場所を襲撃して行った。

ヒオリが待機していると、上からアラート音がなった。

 

「みぃつけたぁ!!!」

 

「っ!」

 

ヒオリの所に現れたのはロードアストレイの改修機、さらに回避したポジションにバズーカを撃ち込まれかけたが、カイゼリンファントムゼノアリスの特殊システム、『円環のアリス』でワープし、上空に退避した。

 

「イガナスさん、奇襲はするなと言われたのでは……」

 

「べっつに〜あれ暴れるといきなり私達も巻き込まれるよ〜?」

 

「仕方ありません……あれは始末しましょう」

 

 

ヒオリはこの襲ってきた2機に見覚えがあった戦術を知っている。片方のアストレイレッドフレームは高出力のライフルに盾、長い刀身を持つ左右非対称。イガナスと呼ばれる人物。もう片方のシュヴァルベグレイズのカスタム機、通常グレイズのライフルに大型バズーカを装備させた物にショットガンと銃身の短いライフルを装着してある武装のダブルトリガー、右肩にレールキャノンらしき物を積んであったり、左肩には中型の盾が着いている堅実なスタイルの機体。姫百合と呼ばれる人物だと思う。

 

「……やっぱり何か絡んでると見て正解だった…」

 

「遅いっ!!」

 

太刀筋と戦術を完全にあのレッドフレームには見切られている。

ましてや後ろの奴が死ぬ程厄介だ。バズーカの威力はさることながら、グレイズだ。鉄血機体は基本的にナノラミネートアーマーによりまともにビームで撃ち合いなんてしようとしたら効かない。普通に接近しようとしても、まずあのレッドフレームが接近してくる。

この状況下を打開するには……

 

「逃げた……」

 

イガナスがむっすーとした面をしているのを姫百合は呆れていた。

 

カイゼリンファントムゼノアリスは別区域の市街地に不時着した。無論レッドフレームもシュヴァルベグレイズもこっちに来た。

 

賭けには勝った。ノワールユニットをパージし、それをアリスのリングで変換、ナノケルビンに変換した。簡単に言うと宇宙に作り出された1番冷たい場所。それの擬似再現空間の圧縮系。ナノレッションと呼ぼう。

この圧縮系されたナノケルビンは少しの高温物質で今圧縮している膜が割れ、絶対零度レベルの冷気を作り出す。

 

「ナノレッション、ポジション設定完了、あとは……」

 

ヒオリはカイゼリンファントムゼノアリスに簡易ステルスシステムを構築し、21秒だけ持つ様にした。

 

「追ってきた……」

 

ステルスシステムを展開した、21秒。その間に向こうが気づくか。

 

「姫っち〜!あれっ!」

 

「これは………水色の球体……?」

 

 

 

「起爆」

 

 

 

カイゼリンファントムゼノアリスはその瞬間、陸地から飛び立った。レッドフレームとシュヴァルベグレイズはその場に凍りついた。

 

「な、何よ〜!」

 

「絶対零度……低温脆性……謀ったな……カイゼリンファントム……不思議の氷皇!!」

 

カイゼリンファントムはその二機を放置した。無論、データ体として霧散しなければ出てくることは無い。

 

 

『ヒオリ君、聴こえているな?』

 

「何?」

 

『向こうの頭目が超大型航空機10機を展開した、我々も航空戦力を今回想定していない、手を焼かせる様ですまないが、あれを全て落として欲しい。』

 

「了解。」

 

カイゼリンファントムはその10機の超大型航空機を捉えた。円環のアリスシステムで何とか跳躍しても逃げ出す可能性はあるが、その前に倒せばいい。

 

「ひとつざっと2万、それが10。」

 

『そんな所だ、追加の仕事で申し訳ない。』

 

「いいよ、別に。」

 

 

 

 

『き、聞こえるな?』

超大型航空機から通信が来た。

 

『俺はGBNが常に平穏であって欲しい……だからこれを放つ……言葉の意味はわかるな?』

 

「ルーキーに思い上がりをさせたいだけじゃん。」

ヒオリはバッサリと言ってしまった。

 

『決してそんなものでは無い、わかるな?』

 

「ルーキーの思い上がりで第一次有志、第二次有志。戦いが静かにならないんでしょ?」

 

『俺を見逃せばそれも静かになる、君の考えと似ている!!』

 

「黙れ」

 

ヒオリは通信をぶった斬った。そしてバレットドレイクに出力を集中させ、空高くに掲げた。エネルギー刃を持ったバレットドレイクで一機づつ、斬り伏せた。

 

「2万」

 

ひとつおおきく爆発が起きる。

 

「4万」

 

キノコ雲がふたつ立った。

 

「6万」

 

リアルだったらもはや災害級。

 

「10万」

 

一気に2機分を落とした。花では無い。もはや爆炎。炎。

 

「12万」

 

『や、やめろ……俺の希望が……』

 

「14万」

 

『俺の希望がぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

「16万」

 

あと二つ。

 

「20万」

 

『氷霊……大量のデータ破壊者……氷の……皇女……』

 

あたり一辺に展開されていた超大型航空機は2分も経たずに、全てが破壊された。

 

「私が望み、求めるのは、静寂に包まれ、何も残らない。私自身も毒花となり、いずれ朽ちる。それだけ。」

 

 

爆炎は氷の皇女には合わなかった。

 

後日、あの大量データ製作者はアカウントがロックされたらしい。

無許可での大量Botの追加、それに加え、カルト的な宗教の頭目として危険視された。それ故にだろう。

 

 

 

氷織は目を覚ました。

 

くだらない夢だった。とてつもなくくだらない夢。

寝巻きのまんま、朝6時半、ゴミ捨に向かった。服はもはや寝相のせいもあって崩れている。キャミソールにショーパン、16の時とは違ってもはや羞恥心はそんなにない。溜まっていたゴミを捨てにアパートから出ると、太陽の光が眩しかった。その光はいつもに増して眩しかった。目を焼かれるんじゃないか、そんな感覚すらも覚えた。隣の家の人もスーツに身を固めて出勤前にゴミ捨に来ていた。

 

「おはようございます」

 

氷織は軽く会釈するだけに留めた。

 

氷織もゴミ捨を終わらせ、自宅に戻り、水の入ったやかんに火をつけた。その間に身支度を済ませ、やかんが湧くとマグカップに入れたインスタントコーヒーをちびちびと飲む。

 

スマホを開いて、SNSを開くと数日前の「MCZサーバー崩壊!?入れなかった期間何があった?」

 

という話題になってたり、あの超大型航空機を勝手に名前付けてたりの話題でもちっきりだ。映像自体はGBNに撒かれたらしく、ほんの片隅で私の話題なっていたりする。

 

まだ小さな蝋燭程度だが、少し不安だ。

私に関わる人が現れるのは怖い。そう思いながらコーヒーを飲み干した。フォーマルのスーツで身を包み、毒々しい花柄のピンと青で縁取られた黒白のピンで髪を止めて、軽く化粧をする。鞄の中にスマホを入れて、少しヒールのある靴を履く。

 

家の鍵を閉めるとヒールの歩く音と共に駅に向かう、16の時には自分のところから鳴る音とは思ってなかった。

しみったれた上司と頭の悪い社長とその下っ端。どれもこれも、ギャーギャー騒ぐ。ビル街はただでさえうるさいのにそれ以上うるさくもなる。ましてや入社2年目だから飲み会には呼ばれる。その場でも色々言われる。その度にイライラする。

 

でも私は何故か誰も近づかなかった。

昔、火のついた話題は消えない。燃え残って灰になっても消えない。

 

氷の皇女、皇氷織という名前だけは燃えない、16の時あのバトルをしてから着いた嫌な憑き物は取れず、彼女の心に深く切りつけられた痕は消えず、7年間も氷織を縛り、今も縛り続けている。

23となって大人になった彼女は何処か時間が止まっていた。

燃えても炎が消える。彼女自身が氷のように冷たいから。




次回、「光彩無双の機億(仮)」

多分これが第2話のタイトルになるといいなぁ……

お楽しみに
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