30日後にデビューするTS猫耳Vtuber   作:黒寝 こはく

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四話

「はい、こはくの分のアイス」

 

「うむ。苦しゅうない」

 

遥から遠慮なくアイスを受け取り、蓋を外してスプーンを突き立てる。

このアイスは、前にブラカーで勝負した時に遥に奢るよう取引した物だ。

 

「くぅぅーー、奢ってもらったアイスは美味しい!」

 

「はいはい、よかったねー」

 

遥も自分用にアイスを買ってきていて、二人で甘さと冷たさを楽しむ。

 

「そういえば、リビングにダンボール箱が置いてあったけど、こはく何か買った?」

 

「ああ、それ多分マイクだと思う」

 

「マイク・・・?と言うことは、こはく!」

 

「そ。ちょっとだけVtuberやってみようかなって」

 

どのくらいやるかは決めてないけど、とりあえず試しにやってみる事にしてみた。

せっかくLIVE2Dモデルもあることだしね。

 

「そっかそっか。やってみることにしたんだ」

 

「まあ、ちょっとだけね」

 

「何か手伝える事があったら言ってね」

 

「うん、ありがと」

 

と言っても、まだ全然予定は立ててないんだよね。呆然と『やってみようかな?』くらいにしか考えてない。

 

「初配信はいつやるの?」

 

「まだ決めてないけど・・・いつにしよう?」

 

「んー、だったら10月20日は?」

 

「10月の・・・20日?なんかあったっけ?」

 

「その日が、こはくが女の子になって一ヶ月の日だから。丁度いい節目かなーって」

 

割と安易な理由だなぁ・・・

10月20日だと、初配信まで一ヶ月もない。色々準備しないといけないし、間に合うか?

 

「初配信よりも前に、自己紹介動画を用意したりしないとだから、10月20日だと忙しくない?」

 

「それなら、今から自己紹介動画撮ろうよ。私も手伝うから」

 

「え、うえぇ!?いきなりそんなこと言われても・・・」

 

いくらなんでも急すぎだって。まだ心の準備ができてないし・・・

 

「ほらほら、動画撮ってみよ!」

 

「ああもう!わかったから!引っ張るなっアイス落とすから!」

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「大体こんな感じかな。こはく、お疲れ様」

 

「おうふ・・・」

 

想定してたよりも長引いたし、大変だった・・・途中から遥のやる気に火がついて、何度も撮り直されたからマジで大変だった。

 

「・・・動画撮ってる時、こはくずっと猫被ってたよね」

 

「うるさい」

 

猫耳幼女だけにって?別に上手くないし。

 

「後は動画を編集して、投稿すればいいんだね」

 

「簡単に言うけどさぁ・・・遥は動画編集なんて出来ないでしょ」

 

「うっ、そうだけど・・・」

 

遥の方が俺よりテストの点がよかったくせに、パソコンとかの機械関係には弱いんだよな。いうて俺も、パソコンつよつよってわけでもないんだけど。それでも遥よりは出来る自信がある。

 

「動画編集はするけど、その前にちょっと休憩ー」

 

「あ、もしかしたらこはくが喜ぶかなーって買ってきた物があったんだった」

 

「何?魔法のカード?」

 

「そんなのじゃないってば。リビングに置いてきちゃったから、取ってくるね」

 

うーーむ、魔法のカードじゃないなら、一体何を買ってきたんだろ?

他に俺が喜ぶ物・・・お菓子やジュースもそれなりに嬉しいけど、わざわざ勿体ぶる程の物じゃないし。

 

・・・全然わからないな。遥のことだから、俺にイタズラ仕掛けようとしてる可能性もある。

 

「お待たせー、持ってきたよ」

 

「それで、何を買ったの?」

 

「それはね・・・じゃーーん!」

 

遥の手に載っていたのは、猫がプリントされた小さな袋。

俺の目が狂っていなければ『マタタビ』と書いてあるように見える。

 

「・・・いや、なにそれ」

 

「マタタビだけど?」

 

「そういう事を聞いてるんじゃなくて。俺は別にマタタビなんか要らない」

 

「でも、猫と言ったらマタタビだよね?」

 

いや『猫と言ったらマタタビだよね?』じゃないが?そもそも、俺は猫じゃないんだが?

 

「ちょっとだけ嗅いでみてよ。先っちょだけでいいから」

 

「先っちょとか関係ないし!猫扱いするな!」

 

言ってるそばからマタタビを開けるな!そんな物、速攻ゴミ箱に突っ込んでやる!

 

「ほーら、マタタビだよー」

 

「だから要らないって、言って・・・」

 

遥の手元から、形容し難い不思議な香りが漂ってくる。

その香りが鼻を掠める度に頭がぼーっとして、体の芯がじくじくと熱を帯びる。

 

「はぅ、んにゃぁ」

 

「え?こ、こはく?」

 

好きっこれ好き♡頭ふわふわするの、気持ちいい♡

 

「もっとぉ、もっとちょうだい♡」

 

「ま、待って!そんなに押したら危な、っ!?」

 

えへへ♡押し倒しちゃったぁ♡気持ちいいの、逃がさないの♡

 

「すんすん・・・ふああぁぁ♡」

 

「こ、こはく!正気に戻って!」

 

ふわふわ気持ちいい♡体あついぃ♡腰くねくねしちゃうの♡

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

「んんっ・・・ふぁーーあ」

 

知ってる天井だ。って、あれ?なんで俺寝てるんだ?

 

「・・・ええっと、こはく大丈夫?」

 

「大丈夫って何が?」

 

そういえば、なんか体の調子が変だな。ムズムズするっていうか、熱っぽい感じ。例えるなら風邪になってるみたいだ。

 

「なんか風邪っぽいけど・・・そんなことよりも、なんで俺寝てたの?あっ、寝てる間にイタズラしてないよね?」

 

「それは・・・どう説明したらいいかなー・・・」

 

「説明出来ないような、エグいイタズラしたの!?」

 

「そういうわけじゃないんだけど・・・こはくが覚えてないなら、その方がいいよ」

 

「おおい!?吐け!知ってることを全部吐け!」

 

「・・・ノーコメントで」

 

そういう意味深なのが一番怖いんだって!

頼むから、何したのか吐けぇ!

 

 

 

 デビューするまで、あと21日

 

 

 

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