青空の少女   作:ミスターK

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始めましてミスターKです。
iPhoneからの投稿なのでおかしいところ
はあるかもですが、よろしくお願いします。


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(....ハァ)

 

もう何度目か分からない数のため息をついた。

女しか動かせないISを動かした男。

その存在をどの国も喉から手が出るほど欲しがるほどの、例外中の例外と言ってもおかしくはない希少性があるのは分かる、分かるんだけども....

 

(だからと言ってIS学園に入学させるのは、どうかと思うんだがIS委員会のみなさんよぉ)

 

IS学園は大原則として適正がなければ入試試験を受ける権利を与えられない。いくら知識が豊富だろうと門前払いを食らうために、女子しか生徒がいない。女しかISが動かせないからあたりまえだが。

と言う俺は特例で入学させられたがら事前知識として、電話帳並みの厚さを持つ参考書を頭の中に叩きこまされられたが。

 

(....にしても)

 

気にしないようにしていても、こうまで見られていれば嫌でも気になる。

極一部しかいないとはいえ、これのせいでさっきからため息ばかりついてしまう。

 

「ルシの分際で....!」

 

そんな声がかすかに聞こえる。

 

(ルシの分際で、か)

 

ISを動かした男として知られてからしばらくたったとき、突如としてバラされた俺の過去。バラされたといえ、それなりに知れ渡っていた事実のだけど。

 

ルシ

 

世間一般には現代科学ですら解明出来ない、クリスタルという謎の物質を使い作られた超能力者と認識されている。

そして4年前20億の死者を出した人類史上最悪の戦争を引き起こした存在。

そんな奴が嫌われるのは当たり前のことであって、俺が標的にされているのもルシの生き残りというだけ。

....ていうか、女子ばっかのところに男1人で居る方が精神的に来るなぁ....

 

「お、織斑君?あのー、聞こえてる?」

 

えぇ、聞こえてますよ山田先生。耳はいい方だと自覚しているし。

 

「何か用ですか?」

 

「えっとね?今自己紹介しててね?織斑君の順番になったんだけど、いいかな?」

 

別に問題は無いんだけど、どうしてこの人は疑問形なんだ。

まぁ、いいや。人それぞれだろ。

 

「....織斑一夏」

 

教室の中央最前列の席のおかげで、後ろを向けばクラス中を見渡せるわけで、視線が一気に集まった。

....きついなこれは。

 

「以上」

 

「お前はまともに挨拶も出来んのか?」

 

「姉さん?どうしてここーー」

 

「ここでは織斑先生だ、馬鹿者」

 

ズドンッ!と出席簿なのに出席簿とは思えない程重い一撃を受ける。

相変わらず厳しいこと。

 

「山田先生すいませんでした。あなた1人に任せてしまって」

 

「い、いえ、そんなことないです....」

 

ため息を一つついた姉さんは、威厳すら感じる立ち姿で話し始めた。

....普段のだらしなさが想像出来ない程に。

言ったら殺されるから言わないが。

 

「一度しか言わないからよく聞け。諸君私がこれからが1年間担当することになった織斑千冬だ。お前たち弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことが私の役目だ。出来ないものにはできるまで指導してやる。その代わりわからないことがあればすぐに質問しろ。出来ないことを出来ないままにするんじゃない。いいな?」

 

まるで、というか暴君にしか思えない言葉は、ここの女子たちにはきつすぎーー

 

「キャァァァァッ!!千冬様、本物の千冬様よ!」

 

「ずっと前からファンなんですっ!」

 

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!北九州から!」

 

「千冬様にご指導いただけるなんて幸せです!」

 

「................」

 

....前言撤回。

なんだこの馬鹿どもは。

頭の中に沸いて居るんじゃなかろうか。普通だったらこんなこと言わないだろうと思う。

これも姉さんの人気がなせることなのかもしれないが。

 

「.......全く、なぜ私のクラスには馬鹿者しか集まらないんだ。誰かが嫌がらせをしているとしか思えないな....」

 

本心から言ってるのだろう。うんざりとした顔を隠そうともしない。でも、眉間に皺を寄せていると近いうちに刻まれるような気がしなくもない。

 

「きゃあああああっ!お姉様、もっと叱って!罵って!」

 

「でも時には優しくして!」

 

「そしてつけあがらないように躾をして〜!」

 

相変わらず黄色い悲鳴を上げるクラスメイトたち。

割と本気で精神科受けた方がいいんじゃないか?罵られて居るのに喜ぶとか、変態以外のなんでもないんだけど。

 

「........自己紹介を続けろ」

 

続きを促し、止まっていた自己紹介が再開する。

俺に向けられた数々の視線はいつの間にか無くなっていた。

 

 

 

 

 

「ちょっとよろしくて?」

 

「........?」

 

1限の授業が終わり一息ついていた時、突然声をかけられた。

正直授業のレベルが高すぎてついて行くのでいっぱいで疲れているって言うのに。

 

「あなた、聞いてます?」

 

「........何か用か?」

 

「まあ!?なんですの、そのお返事は。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

 

ISはその圧倒的な力の前に、既存の兵器を通常戦力と一括りにしてしまう程の異常な性能を誇っている。

女性しか動かせないと言う特殊性もあって、あっという間に女性の立場は異常な程上り詰めることになる。ISを超えると謳われたルシに辛勝だとはいえ勝利したのも、余計に後押しているだろうと思う。IS操縦者が世界の軍隊の中心となり、主戦力となって居るのは間違いないが、全ての女が偉いわけじゃ無い。なのにもかかわらずそう言った考えが常識になってしまった。

こいつのように男を格下に見ると言うことが。

 

「悪いがアンタの事は知らない。だからそら相応の態度も取れない」

 

「まあ!わたくし、セシリア・オルコットをしらないですって??イギリスの代表候補生にして入試主席の、このわたくしを!?」

 

「だから知らないって言ってるだろ?入試主席だろうが、候補生だろうが、他人の事まで気にする暇なんて俺にはないんだよ」

 

入学のための準備に追われていたから特に。

 

「ふん、IS開発者の国だから期待していましたのに所詮そんな程度でしたか。さすがは極東の島国ですわね。このわたくしのことさえ知らないだなんて。本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡なのです。その事を少しは理解していただけませんこと?」

 

「そうか、そりゃあラッキーだ」

 

「....馬鹿にしてますの?」

 

正直こういう奴は苦手だ。女が一番偉い、男なんて奴隷。そんな風に考えて居るやつは昔から嫌いだ。

 

「ISのことでわからないことがあれば、まぁ、泣いて土下座でもすれば教えて差し上げてもよろしくてよ?何せわたくしは入試で唯一教官を倒したエリートですから」

 

「....一つ質問するが、アンタ専用機持ちか?」

 

「えぇもちろんですわ。それがどうかなさいましたか?」

 

第一学年に二人居る候補生の片割れがこいつか。もう1人の方は、まだISが完成していないために、実質上唯一の専用機持ちになる。

 

「唯一教官を倒したって言ったが、量産機で戦ったんだろ?」

 

「何当たり前のことをおっしゃるのです?専用機があるのになぜわざわざ量産機を使う必要があるのです?」

 

「アンタは馬鹿か。教官を唯一倒したっていうのは自慢できるようなことじゃないぞ?アンタは専用機持ち、となればそれ相応の実力とそれに比例する起動時間がある。専用機と量産機の性能の差ぐらい俺だって知ってるから言わせてもらうが、アンタは教官を倒して当たり前、むしろ負ける方がおかしいんだよ。量産機で教官と戦って倒したって言うなら、自慢できる事だと思うけどな?どうせ専用機でも使ったんだろう?」

 

「言わせておけば、言いたい放題....!ーーー」

 

「オルコット、とっくにチャイムは鳴ったぞ。席に着いたらどうなんだ」

 

いつの間にかこの女、オルコットとかいうやつの後ろにたつ姉さん。

いつの間にそこに居るんだ....

全く気がつかなかった。

 

「あなた覚えていなさい!逃げるんじゃ無くてよ!」

 

........逃げるってどこにだよ。

 

「織斑、あまり問題行動をおこすなよ?後処理が大変になる」

 

「.......善処しとくよ、姉さん」

 

「織斑先生だ、馬鹿者」

 

「....すいません、織斑先生」

 

それでいいと言わんばかりに満足そうにうなづくと、何事もなかったように教壇の前に立った。

....家での鬱陶しい程のかまってちゃんぶりはどこに行ったのだろうか?

 

「さて、全員席についたな。これから授業を始める....そう言いたいところだが、先にクラス代表決めなければならん。クラス代表はまぁ、クラス委員長のようなものだと思ってくれればいいだろう。立候補、もしくは推薦する者は挙手をしろ」

 

クラス代表か。そういや来月末に行われるクラス対抗戦に出る役割もあったっけな。優勝商品がやけに豪華だと姉さんが言ってたっけ。

 

「はい、織斑君を推薦します!」

 

「私は賛成で〜す」

 

「では候補者は織斑一夏……他にはいないか?自他推薦は問わないぞ」

 

「........ん?俺?」

 

思わずそんな声がもれた。一瞬織斑がもう1人居るのかと思ったけど、そんなことはなかった。

ご丁寧に一夏と、名前まで言ったし。

 

「あぁそうだ、お前は推薦された。推薦された以上期待に答えろ」

 

「.....と言いますと?」

 

「お前に拒否権は無い」

 

きっぱり言い切ったよこの人。

 

「で、他にはいないのか?このままだと無投票当選になるが」

 

 姉さんは教室を見渡して、手を上げる人がいないか確認する。

 

「さて、これ以上は無いみたいだな。ではーーー」

 

「納得がいきませんわ!!」

 

聞き覚えのある声だなーと思って振り向けば、やっぱりと言うかさっきの候補生だった。

 

「男という理由だけでクラス代表になるなんて到底許されることではありません!それにあのルシですわ!男という下種が作り上げた出来損ない!そのくせして多くの罪のない人々の命を奪った犯罪者ですわ!それなのにクラスの、人の上に立つなど認められませんわ!極東の島国に住むというだけで屈辱だというのに、これから一年間その男の下にいろというのですか!?クラス代表には代表候補生であるわたくしがなるべきです!!」

 

言いたい放題言ったのか少しばかり満足そうに見える。

クラス代表になりたいなら立候補すればいいだけじゃないか。そんなに推薦されたかったんだろうか?

姉さんは呆れているようだ。そりゃああそこまで言われたら、注意しようとする前に呆れるか。

 

「........織斑、ああ言っているが反論はあるか?」

 

「無いです。やりたいやつにやらせればいいと思う」

 

「ふん!言い返そうともしないなんてさすが男ですわ。まちがえましたわ、男が作った出来損ないのルシでしたわね」

 

「....オルコット自信家なのは認めよう。代表候補生という地位に誇りを持っているのも分かる。其れ相応の努力をしたのだろう。誇っていいことだと思う」

 

突然姉さんがオルコットのことを褒め出した。

姉さんに褒められたのが相当嬉しいのか、オルコットはかなりうれしそうにしている。

....いきなりどうしたんだ姉さんェ

 

「別に織斑を擁護しているわけじゃ無いと先に言わせてもらう。だがなオルコット?お前はなぜそこまで男をルシを否定する?」

 

「え?そんなのISに乗れないからですし、ルシはISには勝てなかったからですが....」

 

突然にしてかけられた質問に戸惑いながらも答えていた。

当たり前すぎる、一般常識のことを聞かれたことに驚いたのだろうか。

 

「ここにいる者全員に言わせてもらう。私は一度ルシに”殺されかけたぞ?“」

 

その姉さんのたった一言でクラスの空気が凍りついた。

あのオルコットでさえも驚愕し、言葉を失っている。

 

 

「....え?嘘....」

 

誰かが漏らした声。小声なのにもかかわらずはっきりと聞こえる。

 

「嘘じゃないさ。ISがルシに勝るならばあそこまでの被害は蒙らないはずだろう?それ自体がルシがISより勝っていた何よりの証拠だと思わないか?私はその時の怪我で引退を余儀無くされた。オルコット、お前が出来損ないとよぶルシにな」

 

「で、でもそんなことはニュースで一切....」

 

「IS委員会はルシは出来損ないと豪語していた。だからこそ、言える訳がないだろう?国家代表部隊が壊滅。2名が瀕死の重傷、4名が死亡だとはな。情報隠匿されたのさ」

 

追い打ちをかけるかのような、ISを信じ切った奴らからすればあり得ない、真実を突きつけられる。実際は研究所を爆破するさいに、ルシの妨害に会い逃げ遅れたと報道されたのだから。

 

「あ、あなたは....どうして、どうして黙っていたのです?」

 

ようやく絞り出したような小さい声。

さっきまでの威勢のよさはどこにもない。

 

「....どうしてって言われてもなぁ。どうせ俺が言ったところで信じようとなんてしないだろ?」

 

「....あなたの実力を見せなさい。ルシとしての実力を」

 

「命令形ねぇ、別にいいけどさ。姉さんあぁ言ってるけどどうする?」

 

「まぁいいんじゃないか?場所は用意しておこう」

 

俺を見据えるオルコットの目は本気だった。

姉さんが言っただけでこれか。とんでもない位影響力があること。

....あまりルシの能力は使いたくなかったんだけどな....

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