色の変わった星とパステルカラーの姉妹   作:緑雨

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突然の性転換の章
Part1 性転換の朝


 

はぁ…」

 なぜ僕は、こんな目に合っているのだろう。

 僕の名前は紲星(きずな)あかり。星にあかりに、凄いキラキラした名前だ。よく女の子と間違えられる名前だけど、僕は男だ。中学生の頃は少し抵抗感があったけど、今はもう受け入れた。

 

 男として生まれ、友だちを作り、勉学に(いそ)しみ、そうやって普通の学生生活をしていた。恋人が出来なかったことを除けば、最高の生活ではないだろうか。

 

 しかし、夏休みの初めに問題が起きた。明日は何をしようか、友だちと遊びに行こうか。そんなことを考えて、布団に入る。いつも通り眠りについた。その、翌日のことだった。

 

 

 

 

 朝方、僕は目を覚ます。布団を退()けて、ベッドを降りる。少し前かがみになりながら机に置かれたスマホを取る。カレンダーアプリを見ると、今日の欄に『琴葉(ことのは)の家で勉強会』と書かれていた。予定時間は朝の8時から、お泊りで明日まで。時計に目をやると、すでに8時だった。

 

やばい…」

 遅刻は間違いない。すると、手にしていたスマホが鳴り出す。かかってきた電話の相手は、琴葉(あかね)。同い年で、勉強会の主催者だ。どう謝るかを考えながら、僕は電話に出た。

 

あかり〜?」

ごめん! ちょっと寝坊しちゃって…」

…あかりが寝坊って、珍しない?」

急いで行くから、電話切るね!」

あぁ、うん。でも体調大丈夫なん?」

? 大丈夫だよ」

そか。声がいつもと違うから、風邪やと思ったわ」

 

 電話を切って、クローゼットを開けて服を取り出す。いつもの服を着ようと寝間着(パジャマ)を脱いだ時、体の違和感に気付いた。胸がある。小さくはない。見たらわかるほどにはサイズがある。それは、今までの物とは違っていた。

 

 寝ぼけているのかと思い、服を着たらすぐに洗面台で顔を洗った。鏡を見る。そこに写っていたのは、可愛らしい女の子だった。僕の動きに合わせて動く。そこに映る少女が僕だとは、到底思えなかった。思いたくなかった。

 

 さっき、茜が声が変と言っていた。もしかして、と思い壁に話しかける。少し高い。それは確かに、女性の声質だった。

 

 全力で、自分が女でない証拠を、今まで通りの男である証拠を探した。だけど、頭から足まで全てが僕が女性であると教えてくる。一息ついて、また鏡を見た。夢かもしれないと思い、(ほほ)をつねる。痛い。落ち着いて考える。僕は女になっている。

 

 

 はぁ〜!?」

 

 

 落ち着けば落ち着くほど、何がなんだかわからなくなる。両親は仕事で当分家にいないから、頼れる人はいない。部屋に戻ってクローゼットの中から、女性でも着られるような服を探す。黒と白の、ワンピースような服。昔とある友人に押し付けられた服だけど、今だけはありがとう。

 

 女性になって、僕の背は縮んだみたいだ。昔貰った服だけどサイズが合う。下着は母親の物を盗って着けた。恥ずかしいけど、ないよりはまし…かな。

 

 服を着て、鏡を見る。うん、似合ってる。あの友人は、この時を見越していたのかもしれない。そんなことを思いながら、僕は家を飛び出して琴葉家に向かった。今は、1人になりたくない。誰でもいいから、人に会いたい。

 

 走れば5分で行けるほど近いはずなのに、中々見えてこない。というか、体が上手く動かない。走りづらい。落ち着いて歩こう。このままだと、どこかで倒れてしまう。結局着いたのは、10分後だった。

 

『ピーンポーン』

は〜い、あか…り…君? じゃないか、どなたですか?」

う、うん。あかりだよ、紲星あかり」

…え?」

 

 出てきたのは水色の髪の少女、琴葉(あおい)。電話で話した茜の双子の妹で、いつも落ち着いている。そんな少女が明らかに取り乱していた。

 

嘘でしょ!?」

本当…」

あ、あかり君、女の子になっちゃったの!? ゆ、夢だよね。 痛っ、夢じゃない… え?」

あおい〜? どないしたん?」

ちょっ、お姉ちゃん! 今は来ないで!」

? は〜い、ほんなら、ご飯作って待っとるわ」

…それじゃあ、あかり…君? 詳しく説明してもらってもいいかな? ちょっと信じられなくて…」

 

 すんなりとは信じてもらえないと思ってた。だから、説明する覚悟で来ている。近くに住んでいて、頼れる人は琴葉姉妹しかいないから、頑張って説明しないと。この状態で1人街に放置されるわけにはいかないからね。

 

 

〜少女(?)説明中〜

 

 

…起きたら、そうなってたんだ。それで、これからどうするの?」

葵、信じてくれるの?」

君の話し方、あかり君そっくりだから。それに、その服。昔、ゆかりちゃんに貰ったやつでしょ?」

…よく覚えてるね」

覚えてるよ。大事な友だちのこと、忘れるわけ無いでしょ」

…ありがと。」

なに照れてんの。早く家に上がって。茜姉にも話しておくから」

 

 葵に信じてもらえて、良かった。1人信じてくれると、こんなに安心できるんだね。少なくとも、広い街に独りぼっちは避けられた。

 

 玄関で靴を脱いで、リビングの扉に手をかけると部屋の中から姉妹の声が聞こえた。声というか、叫び声。多分茜の声だろうね。叫び声にびっくりして扉から手を離すと、中から開けられた。

 

入って。茜姉(あかねぇ)には説明してあるから。その感じだと、朝ご飯も食べられてないでしょ? 茜姉が作ってくれてるから、一緒に食べよ?」

…ほぉ、こんな感じなんかぁ。かわええなぁ。ほんまにあかりなんか?」

うん、あかりだよ」

…なぁ、あかり。あんな落ち着いた感じでも、葵凄い動揺してるんやで。さっきもお姉ちゃん! そんな話いいからぁ!」

 

 ちぇっ」と言いながら席につく茜。その隣には葵も座っている。僕は反対側の椅子に座って目の前のご飯に目を輝かせる。寝起きで何も食べずに走ってきたから、なんでもいいからご飯を食べたかった。茜の作る料理は、素直に美味しい。

 

それで、あかり君。これからどうするの?」

…どうしようかな。原因もわかんないし、直し方もわかんないし、何をしたらいいのか…」

わかんないことを考えても仕方ないし、服、買いに行かへん? いつ治るかわからないし、着替えは用意しとかんと」

…じゃあ、ご飯食べたら近くのショッピングモールに行こう。あそこなら、色んな服があるから。」

僕、女の子の服とかわかんないからさ、選ぶの、手伝ってね?」

勿論やで〜」

任せて」

 

 そう言って僕たちは、ご飯を食べた後に家を出た。

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