ゆかり
朝起きて、ご飯を食べて、遊んで、ご飯を食べて、お風呂に入って、ご飯を食べて、寝る。次の日も、そんな感じ。最初は2人旅みたいなことがしたい、なんて言って気張ってましたけど、元々住んでいた家に帰ってきただけですからね。葵と2人でのんびり冬休みを満喫してます。
この冬休みで1つ驚いたのは、茜が思ったよりも遊びに来なかったことですね。初日から毎日のように来るものだと思っていたのですが、数日置きにふらっと来て、1日中遊んで帰る、そんな感じなんです。それに、あまり元気がないんですよね。やっぱり葵と離れて寂しいんですかね?
ミコトさんも冬休み中に時々遊びに来ました。といっても、茜と違って数時間遊んで帰っていきましたけどね。ヒメさんも同じです、近くに寄った時に来て、ちょっと遊んだら帰っていきます。
冬休みといっても、毎日遊ぶ必要はないですからね。気が向いた時に皆で遊んで、普段は家族と家でのんびり… 葵は家族じゃないですけどね、同じ家で暮らしてるってだけです。半年以上一緒に暮らしてますから、感覚的には家族みたいなものですけどね。でも恋人は家族じゃないか、同じ家で暮らしてても恋人を家族とはいいませんもんね。じゃあ葵は家族じゃないや。
「ぼーっとして、どうしたの? 髪洗わないの?」
「あらうよー」
「私が洗おうか?」
「んー、うん」
そういえば、明日からは学校が始まります。まだ冬の真っ只中で、浴室の中でも普通に寒い季節ですから、制服を着て登校するのを考えると、まだ休みたかったなぁとも思ってしまいますが。カイロとかマフラーって着けていいのか、後で調べてみませんと。
学校の話に戻りますが、もう明日には始まってしまうんです。結局僕の体が元に戻ることはなく、蕾としてまた通うことになります。別に不自由していないので問題はないんですが、1つだけ心配なことがあるんです。
今は紲星蕾として通っているので、紲星あかりとしては全く通ってないんです。半年以上は登校してませんし、提出物も出してないですし、試験も受けてません。これ、留年しないか不安なんですよね。いつか体は元に戻ると思ってるので、あかりとして卒業はしたいんですよ…
未来のことは何もわかりませんが、何か考えておいたほうがいいことだと思うんです。ミコトさんに頼んで何かをしてもらうというのは考えたのですが、僕の問題に無関係のミコトさんを巻き込むのも悪い気がして、何とか自分で解決したいとは思ってるんです。
でも、実際問題として僕の力では難しいこともわかってます。だって僕は普通の人ですからね。例えるなら、
なので結局はミコトさんに頼るしかないのかな、なんて思ってしまうんです。ミコトさんも忙しいと思うので、学期末にこの話を急にしたんじゃ迷惑でしょうし、明日学校であったら伝えるだけ伝えておかないとですかね…
「はい、洗えたよ」
「んー」
色々ネガティブな話ばかりしてしまいましたけど、学校自体は凄く楽しみでもあります。やっぱり皆でワイワイ話せるのは学校ならではですからね。家で遊ぶにしても、学校で騒ぐのとは少し違うんです。どっちが上ってわけじゃないですけど、学校でまた皆と話したいんですよ。
最近は葵と2人で暮らしてましたけど、それもまた違った楽しさがありました。2人だけだと落ち着いた空気感で、のんびりと休まれるんです。学校始まってからも、まったりと暮らしてたいなぁって。
「何か悩んでるの?」
「うん、まぁね… 葵? いつの間に?」
「え、ずっと話してたじゃん。誰に髪を洗われてると思ってたの?」
「そんな
「えぇ…」
葵、いつの間に…? 考え込んでたので、周りが見えてなかったんでしょうね。自分でも信じられないですけど、本当に気がつきませんでした。少し、葵が怖くなってきました。もしかしたら琴葉家は忍者の一族だったりするのかもしれません。名前もそれっぽさはありますから。
「明日から学校だけど、楽しみ?」
「楽しみでもあるし、不安でもあるかな」
「…不安な時はなんでも話してくれていいからね。私にできることなら、なんだってするから」
「大丈夫だよ、たいしたことじゃないから。葵こそ、何かあったら頼ってよ?」
「わかったよ、なんでもしてくれる?」
「できる範囲なら、なんでも」
「ま、今は特に何もないよ。でも今の言葉、覚えとくから」
「うん。思い詰めないで、僕を頼ってね」
僕も覚えておきましょう。僕には、親身になって考えてくれる恋人がいるんだって。よし、明日からも頑張ろう。