おはようございまーす。確かここにスマホを… あった、何時かな。 …7時じゃん、起きなきゃ。昨日遊びすぎたかな… とりあえず着替えて… ゆっくりご飯食べてもぎりぎり間に合うはず、葵が作ってくれていれば!
「おはよー!」
「おはよう。ご飯は作ってあるから、顔洗って寝癖も直してきな。ちなみにご飯は冬らしくおでんだよ、昨晩仕込んでおいたんだ」
「おー! すぐ戻ってくる!」
「焦んなくても逃げないよー」
おでんって言われて、のんびりなんてできませんよ! 朝から寒いですし、体も心もポカポカしたいですから、急いで顔洗ってきます! 寝癖は… ちょっと濡らせばいいか。乾かすのは面倒だし、終わり!
「具材って何?」
「はっや… 色々あるよ、好きに取って食べな」
「それだと全部食べちゃうよ?」
「お米と一緒に食べれば、全部は食べれないでしょ。 …まぁ、食べきっちゃっても構わないよ」
いただきまーす!
「あー、それと、ゆかりちゃんはもう帰ったよ。学校の準備しに寮に」
「ん… もうすぐ登校だもんね」
「喋らなくて大丈夫だよ、勝手に話すから。今日は抜き打ちテストあるけど、ちゃんと準備した? してなくても、今からじゃ間に合わないけど」
「…抜き打ちテストあるの!?」
「ちょっと時間あけてから叫ぶとびっくりするじゃん… 抜き打ちテスト、多分あるよ。というか昨日言ってたから抜き打ちじゃないけど?」
「…へ、へぇ、そうだったね」
「絶対、話聞いてなかったよね」
は、話を聞かないなんて、そんなことないですよ〜? ちょっと、本当に偶然忘れちゃってただけで、本当は覚えてましたって。テストですよね、科目は…
「科目、なんだっけ」
「…英語」
「英語なんだ…」
「もう聞いてたフリすらしないじゃん」
「…流石に誤魔化すの無理かなって」
「元から無理だし、誤魔化しても良いことないよ?」
「…確かに?」
…普段からしっかり授業を受けてる僕なら、いけるはず。頑張ろ、英語の授業っていつだっけ… 午後なら頭に叩き込む時間もあるけど…
「因みに、英語っていうのは嘘ね」
「ええっ!? あ、葵! 本当は…?」
「さあ? 私もしーらないっと」
「あ、あおいぃ… 頼むよぉ、見捨てないでぇ…」
「…はぁ。 これ、読んどけばいけるから」
「ありがと…」
「テストやりまーす、昨日言ってたから勉強してきましたよねー?」
「ててて、テストやとー!?」
「いけるはず、いけるはず…」
僕ならいける、僕なら… 葵に貰ったノートは全部見た、頭に入れた。今の僕なら高得点… は無理でも、再試験は絶対に回避する。茜… 今回は、1人で頑張りな。 …一応名誉のために言っておくけど、僕も最近は赤点は取ってないし、再試験もなってないから。蕾としては毎回ちゃんと点数取ってるから、優等生だって皆思ってるはずだよ。 …思われてるよね?
「どうやった?」
「多分、だめ」
「うちも」
「先生、昨日言ってた?」
「絶対言ってへんよ、聞いた覚えないもん」
「…そう」
…茜には悪いけど、実は自信あるんだ。葵に貰ったノートを全部覚えて、完璧に理解して、正確に記憶したから。 …全部とか完璧とか正確とか、何度も言うとバカっぽいかも。っと、そんなことはいいんだよ。とにかく、葵に助けてもらった僕に隙はなかったって話。
「2人は知らないと思うけど、次の時間もテストだからね」
「えっ!?」「嘘やろ!?」
「嘘だよ、本当なら先に言うから」
「あおい…」「よかった…」
「…面白いね、2人共」
「面白くないよ!」「うちらは必死なんや!」
「…本当に面白いよ」
くぅ… 葵に弄ばれてるのはわかってるけど、助けてもらった以上、下手に逆らえない… それに、今回は僕と茜の側に非があるし… いつか、いつか必ず逆の立場に立って、おんなじようなことを言おう。葵を煽れる立場に立ったこと、生まれてこの方ない気がするけど…
「さ、移動教室だし急ご?」
「ういー、行くかー」
「次の授業で寝ようかな…」
「お、ええなぁ。頭使って疲れたし、隙を見て…」
「…できるものならどうぞ? バレても私は助けないよ」
「…やめよう」「危険やな…」
「常にそうして?」
寝れないなぁ、確か次の授業の先生、眠ってないか確認しにくるタイプだし。眠いけど… 我慢しないと。眠りそうだったら… 頬を
「さ、行くよ。急がないと授業に遅れるよ?」
「確かに、急がなきゃ」「行くでー」
「珍しいね、屋上じゃなくて教室で食べるなんて」
「深い意味はないんだけど、今日は寒いし、昨日ゆかり
「…ミコトさんが言ったら裏がありそうだけど、蕾ちゃんが言うと本当に深い意味なんてなさそう」
「ひどいなぁ、私だってたまには考えるよ?」
「それは考えてない人の言葉じゃん」
本当は他にも理由あるんだけどね。屋上だと、日が当たって眠くなっちゃうから、っていう。 …たいした理由じゃないって? まぁ、それはそう。でもさ、眠い時に屋上なんて行ったら皆寝るでしょ? 想像してみてよ。テストで疲れた頭、重たくなるまぶた、気持ちいい日差し、しかもお弁当を食べた直後。絶対寝る、間違いない。
「そういえば、茜ってどこに行ったの? 屋上?」
「さっき居眠りしてたの、見てないの? 少ししたら帰ってくるよ」
「あぁ、居残りさせられたのか」
「そういうこと。派手に寝てたのに、見てなかったんだ」
「自分が寝ないように必死だったからね…」
「…よく耐えたよ、それだけは褒める」
お弁当美味しい… よしっ、午後も頑張ろう。この後の予定は何かな、授業は… 特に大変なのなさそう、のんびり行こーっと。
「そういえば、ミコトさんにはいつ伝えるの?」
「放課後。ミコトさんに、紲星家に少しだけ寄って欲しいって伝えてあるよ」
「いつの間に?」
「ゆかり
「…本当に?」
「…やばい、不安になってきた」
「食べ終わったら私が確認してくるよ、蕾ちゃんはのんびり予習でもしてな」
「は〜い、よろしく」
のんびり、葵を信じましょう。ゆかり
「お邪魔するよ、伝えたいことって何かな? 告白?」
「違いますよ、不治の病です」
「不治の病って、恋のことじゃないか」
「適当なこと言ってないで、本題に入ったら?」
「はーい」「…そうだね、そうしよう」
「性転換は不治の病だそうです」
「え、さっきの本当だったのかい!?」
ふざけた会話の中で、本当のことをちょっと混ぜる。ミコトさんがよくやる手法ですから、学んだんです。大半は適当な世間話とか、茶化した言葉なのに、本当のことを混ぜて後からネタばらしする。人が驚く、話術だと思ってます。ミコトさんにされた記憶は殆どないですけど、してるのを見たことはあるので。
「信じるよ、話の感じからして、ゆかりさんにも伝えたのかな? で、今呼ばれたのは私だけ… ヒメには言うな、そういうことだね?」
「そうです、流石の推理力…」
「簡単にわかるよ、誰だって。あかり君… 蕾ちゃん、と呼んだほうがよかったりする?」
「それは、どちらでも」
「じゃあ、あかり君と呼ばせてもらうね」
ミコトさんは、あかり派か… 別に派閥とかないけど、ゆかり
「今から夕飯を作りますけど、食べていきますか?」
「そうするよ、いっそのこと泊まってもいいかな?」
「大丈夫ですよ!」「…大丈夫です」
「ありがとう、邪魔はしないようにするね」
何はともあれ、ミコトさんにも伝えられたし… 性転換が直らない病気ってことは伝えたし、他に伝えないといけないこと、ないよね。ヒメさんに話さないことは、ミコトさんが勝手に分かってくれたし… うん、大丈夫。
茜には… 明日伝えればいいか。