「すぅ… すぅ…」
「起きてー! もう10時だよー!」
ぬぅ… じゅうじですか… 10時… 10時!? わ、私、そんなに寝てたんですか!? やばっ、朝から皆でゲームする予定でしたのに…
「すみません、ね
「大丈夫、寝るのはいいことだから。流石に遅い時間だから起こしちゃったけど、大丈夫?」
「はい! 顔洗ってきますね!」
ベッドがふわふわすぎて寝れないとか昨日は言ってた気がするんですが、気づいたら爆睡でしたね。 …時間的には昨日じゃなくて今日だったかもしれません。
いや、そんなことはどうだっていいんですよ。厳格に日付管理するのはゲームの中だけで、日付が変わった変わってない論争は要らないんです。今考えないといけないのは、寝すぎたってことなんですから。
「すいませんミコトさん、寝すぎました」
「大丈夫だよ。ゲームは先に始めてるけど、ボスはやってないから」
「ありがとうございます!」
顔洗って… ふぅ、ゲームしましょう。寝起きだからってのんびりしたりはしないんです。ゲームが私を呼んでいますから…! さぁ、コントローラーを掴んだらもう眠たいとか頭がボーッとするとか、そんな言い訳はなしですよ。そんな覚悟ではゲームはできませんから!
「私も入りますね」
「その前にご飯食べよう? ゲーム始めたら途中で止めたくないだろうし… あ、寝起きは食べられない… タイプだったらゲームもできないか」
「…そうですね、ご飯にします。もう作ってくださったんですか?」
「もちろん。皿に盛って置いてあるよ。少し温めてから食べてね」
「ありがとうございます」
朝ごはんは… お米に目玉焼きとベーコン、そしてお味噌汁、最後にヨーグルト。献立的にはよくある朝ごはんですが、ミコトさんの料理と考えると期待してしまいますね。梅は見つかりませんし、きっとシンプルに美味しい料理ですよ。それでは… いただきます。
「美味しいです、流石ですね」
「それはよかったよ。よければ梅のソースも使うかい?」
「それは遠慮します」
「ちぇっ」
味は本当に美味しいですよ。とろっと半熟な目玉焼きの頂点に切り込みを入れて、ベーコンをそこに差し込んで黄身をちょこっとつけて食べるのが本当に美味しいんです。黄身の甘み、ベーコンの旨み、そしてお米。抜群です。これを出来立てで食べていたらもっと美味しかったんでしょうね…
「ごちそうさまでした… 美味しかったです」
「はい、コントローラー。やろうやろう」
「任せてくださいよ、私が来たからには負けはあり得ません」
「いよーーっし!」
「ナイスだよ、凄いね」
「イェーイ! 勝ったー!」
…あ、ラスボスを倒したわけではありませんよ。最初は2日でゲームクリアを目指すとか抜かしてましたけど、2人は操作すら知らない初心者ですから、ラスボスはまだまだ先です。それにオープンワールドのゲームは寄り道してなんぼです。現実と一緒です、まっすぐ進んじゃつまらないんですよ。
「今回もボスの倒れる姿を拝めなかった…」
「ミコトさんは後ろにいますからね… 仕方ないですよ」
「ミコトも前に来たら?」
「それは… やめておくよ。私には前で剣を振るより後ろで弓を撃つほうが向いてるから」
こういうところでも性格が分かれますよね。いつもヒメさんが前、私が真ん中、ミコトさんが後ろの並びになります。敵は動き回るので変わることもありますけど、基本はこうです。ヒメさんは前でガンガンいくタイプ、ミコトさんは後ろから敵をよく見て戦うタイプ、私は… ソロプレイのクセでしょうね、前でも後ろでも戦える位置に入っちゃうんですよ。何でもできるポジションがソロなら理想ですから…
…ミコトさんって我が強くて話していてもブレーキなく自由人なイメージなんですけど、このゲームだと絶対に安全地帯にいるんですよね。弱気… ってことはないと思うんですけどね。慎重… なんでしょうか? でも、初めて話した時も食いかかるように話してきた覚えがあるんですよ。弱気だったり慎重な人は見ず知らずの人にそんな喋れませんよね…
だとしたら… 見かけで判断するタイプ…? いや、流石にそんなことはないですよね。確かにボスは強そうな見た目してますし、私は弱そうな見た目ですけど。やっぱりミコトさんってわからない人ですね。イイ人なのは間違いないんですが。
「…ゆかりさん、時間は大丈夫かい?」
「あ〜、そうですねぇ… もうすぐ帰らないとですね。キリもいいので、ここで失礼します」
「じゃ、ゲームは終わり!」
「私のことは気にせず、クリアまで駆け抜けてもいいんですよ?」
「そんなことしないよ。3人でクリアしたいじゃん、ねぇ?」
「そうだね… 来週の土曜日、空いてるかな」
「もちろん。 …自分で言ってて悲しくなりますが、学校のない日は暇なので」
「じゃあ、また来週ね!」
こういうところが良いところなんですよね… ゲームも良いところで、こっからどんどん楽しくなるところなのに、皆が集まってないとって迷わず言える。良い人ですね… もちろん、私だって皆でやってるゲームを1人ではやりませんよ。でも… 迷いはします。
「それでは!」
さ、来週に向けて1週間頑張りましょう。勉強はもちろんですが… 私は雪合戦に向けての作戦も考えないといけないので。あかりとチームを組む予定ですから、あかりを守る策を10は練りますよ… チーム分けが発表されるのはまだ先ですけど、私とあかりがチームなのは確定事項ですからね。揺るぎないです。
それじゃあ、今日はここまで。明日からも、頑張るぞ〜。
「また来週と言いましたが、翌日でしたね」
「学校だったねー」
「それはそうだろうよ… 」