…ふむ、なんだかよくわからないが葵さんからの信用を得られたようだ。私がトランプ中にしたアピールよりも、チョコミントの方が強いのは悔しいが。
神経衰弱の時に葵さんがカードを入れ替えたのを、見てないふりをしたり、ダウトで葵さんが本当のカードを出したのにダウトって宣言して間違えたのに。
葵さんの方を見やる。先程までの曇った顔と違い、笑みを浮かべながらチョコミントケーキを頬張っている。私はそれを片目で見ながら、梅ケーキを口に運ぶ。梅の香りとミントの香りが混ざって、癒やしを感じる。気分が良い。
玄関の方から、茜と… ゆかりさん、だったかな? 2人がリビングにやってくる。
「う、なんですかこの匂い」
「ミントと梅やろか」
「ゆかりさん、また会いましたね。梅ケーキ、いりますか?」
「遠慮します」
「チョコミントケーキもありますよ」
「遠慮します」
「食べないの?」
「遠慮します」
ふむ、梅もミントもだめか。珍しいね。ただ、この2つ以外にケーキは持ってきていないんだ。そうだ、ヒメが何か持ってきているはず。確か、お詫び用の菓子折り以外にもお菓子を持っていくと行っていたからね。
ヒメが用意した袋の中を見ると、箱に入った普通のクッキーが沢山あった。食べたことないけど、これじゃあゆかりさんの心は惹けないだろうなぁ。
「これ、あのお店のクッキーじゃないですか! ど、どこで手に入れたんですか?」
「お、おぉ… これは、妹が持たせてくれたんだ。妹は今、家の人と外に出ているけど、少ししたら帰ってくるだろうから、その時に聞いて欲しい。私は甘味に疎くてね」
「わ、わかりました。すいません、興奮しちゃって」
凄い食い付きようだった。このクッキー、普通のクッキーじゃないのか? 気になってヒメにメールを送った。すると、『県外の名店から取り寄せた』『クッキーは長持ちするから、おもてなし用に沢山頼んでおいた』とのこと。
成程、高級品だったのか。ゆかりさんはこういうお菓子が好きなのかな? ヒメは甘味に詳しいから、ヒメと話が合いそうだ。私は、甘味よりも梅が好きだけどね。
「ミコトさんは梅が好きなんですね」
「そういう葵さんは、チョコミントが好きなのかな?」
「チョコミントに勝る食べ物はこの世にはありません」
「茜はエビフライが好きだろう? ゆかりさんは、どんな食べ物がすきなんだい?」
「私は、ゲームしながら食べられるお菓子が好きです」
「前はアイスとか好きやなかった?」
「そうなんですけど、最近はアイスだとゲームを中断しないといけないことに気付いて」
「アイスとジャンクフードがあれば生きていけるって言ってたのに、変わったんだね」
「…はい」
ゆかりさんは、昨日会った時ほど緊張していないようだ。きっと、彼女はシャイなだけで本当は喋りたがりなんだろう。さっきから、会話に入りたがっているのがよくわかる。私と葵が話していると、体を動かしてこっちを見てくるから。
「それじゃあ4人で対戦ゲームやるけど、ゆかりさん、負けても駄々こねんでな?」
「昔の私じゃないんですから、そんな事しませんよ。それに、引き際は弁えてます」
「ミコトさん、ゆかりちゃんは負けず嫌いだから、何回負けても挑んでくるよ。でも、ずっとやってたらいつか諦めるから」
「5連敗まではハンデなしでお願いします。それ以上負けたら、ハンデ下さい」
「もう、負ける前提なんだ」
「昔は葵ちゃんに毎回勝てたけど、ここ数年は葵ちゃんに1度も勝てた記憶がありません。プライドにしがみついてハンデなしで戦うよりも、プライドを捨てて柔軟に戦うべきです」
「うちは何回負けてもハンデとかいらんで! ハンデを貰ったら琴葉の名が廃るやん!」
さっきまでの葵さんと探り合っていた時と違い、ゆかりさんが来てからは息をしやすい。息が詰まる状況より、今の方が楽でいい。疑ってばかりじゃあ、大変だからね。
それから何度かゲームで試合をしたけど、私と葵さんが1位と2位を交互に取り、茜とゆかりさんが下位になる。ずっとそんな調子だった。
「私の勝ちです」
「ハンデ下さい、私だけ攻撃力2倍とか」
「じゃあ、設定で2人のキャラを「うちはいらん!」
「あぁ、そうだったね」
ゆかりさんのキャラを強化して、試合をやる。茜が早々に負けたけど、他3人は競り合いになり、ゆかりさんが勝った。
「やった! 勝てた、勝てました!」
「強かったね、次はハンデなしでやる?」
「ハンデがあるとまた私が勝っちゃいますから、なくしま「いや、この状態でもう一試合させてくれ」
「まぁ、私は勝てるのでそれでいいなら嬉しいですけど…」
「ミコトさんがこれでいいなら、このままにしよっか」
ゆかりさんのキャラの動きは、理解した。さっきまでと戦いかたも変えないといけない。ハンデを考えると、避けながら小さな攻撃を狙うべきかな。
葵さんは形がしっかりしていてゲームが上手い。ゆかりさんはずっと一つのコンボを狙っている気がする。多分、その動きを練習したんだろう。ただ、その動きの弱みを理解していなさそうだった。
「ふぅ、私の勝ちだね」
「ハンデ貰ってたのに、手も足も出なかった…」
「ミコトさん、強いですね。私も早々にやられちゃいました」
「2人とも、強かったよ。だけど、さっきの試合でゆかりさんの動きは理解したし、葵さんの戦い方もわかった。そうなったら、負けないよ」
「はぇ… 凄いですね。ミコトさん、私はどうやったら葵ちゃんより強くなれますか? 忌憚なきご意見を!」
「私もお願いします」
「ふふ、わかった。2人ともを見て感じたことを、言えば良いんだよね?」
「はい!」
なんだか妹が増えたみたいな気分だ。2人からの好感度がもっと上がったら、お姉ちゃん呼びを頼んでみよう。
「ゆかりさんは、上手いプレイに憧れて派手な技を練習したんだろうね。子供のうちはそれで勝てるけど、今の葵さんは殆ど当たってくれない。もう一回、基礎を練習しよう」
「な、なるほど…」
「葵さんは逆に、地道に練習してきたんだろう。そのまま、コツコツと練習したらもっと強くなるだろうね。他のものに流されず、じっくりとやることが大事だよ」
「わかりました」
「
「梅より楠のほうがええの?」
「普通はね。私は、梅のようにすくすく育ち、大木になる予定だけど」
梅が他の植物に劣ることなどない、適切に考えながら育てれば、梅は楠よりも早く巨大になれる、はず。まぁ、それを考えるのが大変だから、2人は楠のように育ったほうが良いと思うけど。
…ゲームの話で、なに熱くなってるんだ、私。
「…梅に例えたかっただけで、あんまり中身のあること言ってないような?」
どのキャラの話が気になりますか
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あかり(黄色)
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あおい(水色)
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あかね(赤色)
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マキ(黄土色)
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ミコト(青色)
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ヒメ(ピンク)
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ゆかり(紫色)