昨晩、ミコトが突然「妹分の家に行く」と言い出した。だから私は、一緒に行くことにした。ミコトに無理矢理「お姉ちゃん」と呼ばさせられている可哀想な人に謝るために。
目を覚まして窓を開けると、清々しい晴天だった。夏の熱さを感じる。時間はまだ6時だけれど、待ち合わせは7時だから、そろそろご飯を食べないと。いつもならミコトは寝ているけど、今日は起きていた。
「おはよう、ヒメ。ご飯は作っておいたよ」
「…梅は?」
「たっぷりと。今日は大切な日なんだから、ちゃんと梅を食べないとでしょ?」
「そう」
梅に塗れたご飯を食べる。梅味の米、梅風味の魚、梅が染み渡った野菜。ここ最近で、10回は食べた気がする。梅の味がしない食べ物を沢山食べたい。
そう言えば、新しい大食いのお店が出来たんだっけ。確かケーキ。ケーキなら、梅が出てくることはないだろう。
「お詫びしたら、大食い食べに行ってくるね。ほら、昨日テレビでやってたケーキのやつ」
「わかった」
食べ終わり、服を着替え、歯を磨き、庭の植物の手入れをする。7時前、家を出て学校に向かった。少しして、ミコトの妹分の人がやってきた。
「茜、迎えに来てくれてありがとう」
「気にせんで、うちもミコトお姉ちゃんと話せて嬉しいし」
「あぁ、そうだ茜。今日なんだが、ヒメも連れて行っていいかな?」
「お願いします」
「…妹さん、おったんか。来るのはかまへんけど… 今の、聞いた?」
「ミコトが迷惑、かけました。すいません」
「め、迷惑だなんて思ってないですから。ミコトさんにはうちも面倒見てもらってて」
思ったよりも、すんなりとミコトをお姉ちゃん呼びしていた。もしや、無理矢理言わされてるのではなく、ミコトをお姉ちゃんとすんなり呼べるタイプの変な人なのか?
「うちは、琴葉茜です。そちらは、鳴花ヒメさん、ですよね? ミコトさんからよく聞いています」
「はい。鳴花ヒメです。昨日、お店で会いましたよね」
「あぁ、そうです。あの時一緒に居た2人も、今家におります。良ければ、2人共遊んでください」
「茜、もっと気楽に話していいんだよ? ヒメも、固くならないで、さ? これから遊ぶんだから、そんなに丁寧に話してると、疲れちゃうよ?」
一理あるけど、初対面だから多少は丁寧に話さないと。それから、3人で雑談をしながら茜さんの家に向かった。
家では、葵さんと、蕾さんが出迎えてくれた。葵さんは険しい顔をしていたけれど、蕾さんは可愛らしく笑っていて、フレンドリーな雰囲気。成り行きで一緒にケーキの大食いに行くことになった。
蕾ちゃんとケーキを食べたあと、2人で歩きながら話した。話してわかったけど、凄く心がきれいな子だと感じた。幼気な雰囲気だけど、丁寧できづかいもできる。あの大きな胸は、沢山食べるからなのか、それともきれいな心に対する神のプレゼントなのか。
それから、蕾ちゃんを家に招いて、色んな料理を振る舞った。こんな子が家族だったら、嬉しかったなぁ。こんな子なら、少し頼まれたらミコトのこともお姉ちゃんって呼びそうだし。変な虫に付かれないで、きれいなまま育ってほしいな。
蕾ちゃんとは仲良くなりたいから、ラフに呼んで欲しいって頼んだ。さん付けも硬いし、呼び捨てとか、ちゃん付けなら友達って感じでいいよね。
…子供っぽい雰囲気だけど、一応高校生、なんだよね? 誕生日的に、15歳? でも、もっと子供みたいに見える。蕾って名前が、これから育っていくみたいで、子供に感じちゃうのかな。
「ヒメお姉ちゃん」
「ふえっ!?」
思わず、素っ頓狂な声をあげる。う、嬉しいんだよ? 蕾ちゃんにお姉ちゃんって思われてるって。私、お姉ちゃんって呼ばれたことないしさ。ミコトは絶対甘えてこないから、妹は欲しいし。蕾ちゃん、年下だし、妹って感じの子だけど、今日会ったばかりの人をお姉ちゃんって呼ぶのは、蕾ちゃんが心配になる。
この子、ちょっと嘘ついたら信じちゃうんじゃ? …私が、守らないと。そう決意を抱いて、蕾ちゃんのお姉ちゃんとして振る舞うことに決めた。
ミコトの前で呼ばれると、ミコトがにやっとした顔で、「ヒメも私と同じじゃないか」って言ってきそうだから、呼ばないで欲しい。だけど、そう伝えると蕾ちゃんは悲しそうな顔をした。
…お姉ちゃんが妹を悲しませるなんて、だめだよね。周りの目なんて気にしないで、お姉ちゃんって呼んで良いって、伝えた。それから、茜さんの家、蕾ちゃんが住んでいる家に向かった。
家に着いて、私は衝撃的な話を聞かされた。私達以外にも、結月さんも家に来ていたのだが、結月さんが蕾ちゃんのお兄さんのことを尋ねた。すると、するとだ。
蕾ちゃんは、前まで家族と離れて暮らしてたこと、お兄さんが旅に出てしまい独りぼっちなこと。そうか、蕾ちゃんが私をお姉ちゃんって呼んだのは、家族が欲しかったんだ。寂しかったんだろう。私の中で、合点がいった。
…蕾ちゃんを、幸せにしてやりたい。辛いことを沢山経験したであろう彼女を、幾らでも笑わせてあげたい。それと、突然旅行に行ったお兄さんを殴ってやりたい。でも、蕾ちゃんにとっては大事なお兄さんだろうから、殴るのはやめよう。
蕾ちゃんには、笑顔が似合う。梅に
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