日も沈み始め、遊び疲れた頃。皆で机を囲んで、大皿に盛られた料理を取り分け、晩ご飯を口に運ぶ。
今日の晩ご飯は、茜とミコトさんが2人で作った。料理からはほんのりと梅の味がする。美味しい、なんでも美味しいっ言ってる気がする。でも、本当に美味しい。
晩ご飯を食べ終わり、
複数人に完食されてしまったため、利益が取れなかったんだって。お店名前も知らないけど、食べたかったな。
「私はそろそろ帰りますね。夜道で襲われたら怖いので」
「泊まっていかないん?」
「勉強もあるので、今日は帰ります。また今度、泊まりに来ます」
「ヒメさんとミコトさんは?」
「泊まりた「ちょっとしたら帰るよ、ミコト」
ゆかりねぇは笑顔で小走りで帰っていった。あんなに走ったら、多分途中でバテるだろうな。ミコトさんは半ば強引に、ヒメ姉に服を引っ張られながら帰っていった。
ミコトさん、多分泊まる気だったんだろうね。ヒメ姉が無理矢理、引きずってでも帰ろうとしてたから、やむなく帰った感じかな。
家には、僕と茜と葵、3人だけになった。お風呂の時間になったけど、先に入ると乱入される可能性があるから葵に最初に入ってもらった。
その後にお風呂に入る。昨日も入ったから、今日はあまり緊張していない。体を洗い、髪を洗い、浴槽に浸かる。気持ちいい。昨日は隣に葵がいて気が気じゃなかったけど、一人だと安心できる。
「あかりぃ… うちも、入ってええか…
」
「…なんかあったの?」
「あ、葵がな? お姉ちゃんに、どっか行ってって言うんやもん!」
「…入れば」
また面倒なことになりそう。浴室の外で泣かせるのも悪いし、力に慣れるなら相談に乗りたい。お風呂以外の時間ならもっと良いんだけど、お風呂でも茜のことを見なければいいだけだから。
それに、入る前に言ってくれると心の準備が出来る。昨日と同じように壁を見る。少しして、扉が開き茜が入ってきた。
「とりあえず、洗ってまうな」
「うん、それから話そう」
茜が体を洗って、浴槽に入ってくる。体を見ないように視線を動かし、茜の顔を見る。悲しげで、泣きそうな顔をしていた。
「あんな、葵がな? 『ちょっと部屋出てて』って、急にな? いつもはべったり甘えてくるんに… ぐすっ」
「一人になりたかったんじゃない? 時々、一人になりたいことってあるでしょ?」
「うち、リビングから追い出されたんやけど。一人になりたいだけなら、部屋でなれるんに」
「…確かに」
葵が、茜のことをリビングから追い出した。葵が茜を嫌うことなんてないと思うけど、追い出し理由がわかんないなぁ。リビングでしたいことがあったのかな?
「うち、葵になにかしてまったんやろか。卓球の時も、嫌だ言われてもうたし」
「大丈夫だよ、茜。葵が茜を嫌いになんてならないから。ほら、リビングで、一人でしたいことがあったんだよ。料理とかさ」
「…ほんま? うち、葵に嫌われてへん?」
「うん、大丈夫だから。安心して、大丈夫だから、ね?」
「あかりぃー! あんたはええやつやなー! ギューッ」
「ちょっ、あかね!?」
感触がある。いや、そんな大きくないけど。 ってそんなことどうでもいい、やばいって。
「茜、当たってる、当たってるからぁ!」
「?」
「取り敢えず離れて!」
「わ、わかったで…」
…忘れよう、今のことはすぐに忘れよう。掌に人を書いて飲み込む。羊が一匹、二匹…って、これは違うか。ともかく、なにもなかった、なにも。
横を見ると、茜の顔がみるみると赤くなっていった。思わず飛び付いてきたんだろう。自分が服を着ていないことを忘れて。
「あかり、すまん! うち、なんも考えんで飛び付いとった」
「わかってる、わかってるから。今日のことは忘れるから、茜も気にしないで」
「う、うん。一個、聞いときたいんやけど…」
「えっと、なに?」
「昔よりは大きくなったと思わん?」
「ぇっ… …知らない」
「…変なこと言ってすまん」
茜は思い立ったが吉日、考える前に体が動くことがある。それが悪いとは思わないけど、今だけは考えてほしかったな。思ったことは隠さないで話すし、すぐに行動する。
…さっき、茜の質問に思わずえって言っちゃった。小声だし聞かれてないといいけど。えって言ったら、違うって言ってるようなもんじゃん。
だめだな、茜を傷つけたかもしれない。でも、ごめんって言ったらまた傷つけちゃうかな。そうだ、こういう時は肯定すれば良いんだよね?
「茜、僕は気にしてないから。その、サイズとか、人の個性だしさ。茜らしくて、良いと思うよ?」
「…いや、悪気があって言ってるわけやないよな。 …あかりはええよなぁ、立派なもんを持ってて」
「邪魔なだけだし、僕は茜が羨ましいな。茜みたいなサイズの方が良いよ」
「やっぱり傷口に塩を塗りに来とるよな?」
「え?」
そんなつもりは… また傷つけちゃったかな。
「…悪いのは飛び付いたうちやから、あかりは気遣わなくて良いからな。気にせんで、正直に話してくれてええから。 …大きい方がええやろ?」
「一般的には? 個人的には、気にしたことない」
「あ、そうなん…」
気まずい空気がずっと流れて、茜より先にお風呂をあがった。服を着て、リビングに入る。
「あかり君、デザートを作ったんだ。ミコトさんに教えてもらった。はい、梅チョコミントタルト。美味しく出来たと思うんだ」
…茜が部屋にいたら、絶対に止めただろうな。恐ろしい見た目をしている。タルト生地の上にチョコレートクリームがある。そして、そこに梅とミントが混じっている。梅が3個くらい見えるし、ミントが飛び出してきている。
…食べるか
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