思ったより美味しかったので、今日はミントコーヒーを飲みましょうかね。いつもコーヒーとパンケーキしか頼まないので、このお店のメニュー、あんま知らないんですよ。今日は冒険してみますか。
「マキさん、チョコレートケーキ下さい」
「はいよ〜」
「私もお願いします」
「は〜い」
「葵ちゃん、ミントはないですよ?」
「ただのチョコも食べるからね?」
「…そうなんですか」
そうなんですか… 昔はお外で食べる時もチョコケーキにミントを乗せて食べてたんですけどね。変わったんですね、葵ちゃんも。
「はいどうぞ。苦かったらお好みで砂糖をかけてね」
「ケーキに砂糖をかけても甘くはならんやろ〜」
「ちょっとはなるんじゃない?」
「美味しそうですね、ショートケーキ下さい」
「あいよ〜」
「うん、甘くて美味しいよ。ミントコーヒーと合わせたら、本当に美味しい」
「やっぱりケーキは美味しいですよね。この苦さ、大人な味です」
「この甘さは子供向けじゃない?」
「大人に合うビターなケーキじゃないですか?」
「あの、メニューにスイートって書いてありますよ、ゆかりさん」
「ゆかりさん、スイートなケーキが苦かったん?」
「…蕾ちゃん、そういうことは先に教えるか、最後まで黙っていて下さい。私が赤っ恥じゃないですか」
あぁ、
「ショートケーキ、美味しいです。でも、チョコケーキも美味しそう… 頼もうかな」
「一口食べる?」
「あ、はい! じゃあ、交換しましょ」
「はい、口開けて、あー」
「んっと、美味しいです! 葵も、あ〜」
「ん。ショートも美味しいね」
「私は何を見せられてるんですか?」
「葵〜、うちも食べたい〜」
「…はい、あー」
「んー、うまい! うちのエビフライ、はい、あー」
「要らない…」
この姉妹の距離感はまだわかりますよ。昔もこうでしたもん。でも、蕾ちゃんって私が町を出てからこの町に来たんですよね? こんなに葵ちゃんと仲良く… ヒメさんともそうですし、私の従妹なのに他の人にばっかり懐いてるじゃないですか!
は〜、羨ましいです。甘えられたいですよね。蕾ちゃん、素直で可愛らしくて、甘えん坊な感じですし、守ってあげたくなるんですよね。従妹なんですから、ヒメさんよりも葵ちゃんよりも、私のほうが蕾ちゃんと親しいはずなんですけどね。
なんか、距離感じますよね。もしや、あかりから何か悪い話を聞かされてる? 初対面の時も、私のことをあかりから聞いてるって言ってたと思いますし。でも、あかりは人の悪い話なんてしないはずですし、大丈夫ですよね…
「は〜、幸せそうですね」
「なんや、ゆかりさんも食べる?」
「エビフライはいいです。口が甘いものを欲してます」
「ゆかりちゃんにはチョコケーキは苦いでしょ? ショートケーキでも頼んだら?」
「そうしますか… マキさん、ショートケーキお願いします」
「チーズケーキ下さい!」
「ミントコーヒーのおかわりで」
「はいよー」
ほんと、静かな喫茶店ですよね、このお店。窓の外を見てもそうですが、学校の近くと言うのに人が少ない。夏休みと言っても、今も私達以外には一組しかいませんし。こんな状況でも、お店が成り立ってるんですもんね。
「はいどうぞー」
「ん〜! チーズケーキ、美味しいです!」
「ショートケーキも美味しいですね」
「ゆかりさん、一口下さい!」
「え、さっき食べてたじゃないですか… まぁいいですよ、交換しましょうか」
「あ〜」
「、口開けて待ってる… はい、あー」
「んっ、さっきより美味しいです。ゆかりさんも、あ〜」
「ん。チーズケーキも美味しいですね。後で頼もうかな」
「仲がよろしいようだね。だけど、今日このお店に何をしに来たのか忘れてないかな?」
「お腹いっぱい食べに来ました!」
「妹達に癒やされに来ました」
「課題から逃げに来たで」
「勉強会をしに来たんだよ。逃さないよ、3人共」
「ひえっ」
癒やされる空間が、一瞬で地獄に…
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