「…ほんと、よく食べたね」
「私、食べるの大好きですから」
「転入初日だし、緊張してると思ってた。あれだけ食べられるなら大丈夫だね」
「緊張はしてますよ? でも、食欲は衰えません!」
「そっか。緊張してなかったら、もっと食べたのかな」
「かもしれません」
お弁当を食べきって、ちゃんと授業の前に教室に戻ってきました。茜は屋上でミコトさん達と話してたけど、授業までに戻ってくるかな。戻ってこなさそう。でも、ミコトさん達と一緒なら大丈夫かな?
もし戻ってこなかったら、先生に怒られて、家に帰ったら葵にも怒られるんだろうなぁ。ミコトさん達も授業に遅れて、
僕の席は窓際だから、外がよく見える。もう校庭には誰もいないや。全員、戻ってきてるのかな? うちの学校は校舎が[コ]の字になってるから、色んな部屋から校庭が見えるんだよね。多分、教室とか特別教室は全部校庭が見える向きじゃないかな?
僕らの教室は[コ]の字の先端だから… お、あったあった。[コ]の字の真ん中にある階段が屋上の出入口だから、僕らの教室からよく見えるね。茜達が帰って来るところ、見れるかな?
…でも、誰も階段の近くにいないな。ちょっと遠く… 向かい側の建物の上にいるの、茜かな? そろそろ戻らないと間に合わないと思うけど… 大丈夫かな?
「葵さん、あそこにいるのって茜さんですかね?」
「ん… あ、あれか。どうだろ、人ってことしかわからない」
「もうすぐ授業ですけど、あの人は間に合うんですかね?」
「多分、無理じゃないかな。うちの学校、5限の前に予鈴とかないからね。あの人、おそらくだけどまだ5限には時間があると思ってるんだよ」
「ちゃんと、時間は確認しないとですね」
「私達はあの人みたいにならないようにしようね」
「はい」
というか、もう2分もしたら授業が始まるや。あの人、どうするんだろう。準備は終わってるし、ちょっと見てよっと。
あ、校舎に付けられてるでっかい時計を見て… 走った! お〜、間に合うのかな? 屋上の階段から近い教室なら間に合うかも? でも、僕らの教室は1番遠いから、あの人が茜だったら間に合わなさそう。
「…お姉ちゃん、後1分だけど戻ってこないな。もしかして…」
「あ〜、あの屋上の人かもですね。今、走ってますよ」
「…は〜、またお説教することが増えちゃったな。流石に間に合わないでしょ、あれは。まぁ、間に合っても、走ったことのお説教をするけど」
「どうなってもお説教ですね」
「まったく、ね… お説教の台本でも作っておこうかな」
「いいかもしれませんね。言う事が多いですし、メモしておかないと」
「うち、そんなに怒られるん? 今から逃げよかな…」
「…いつの間に」
「え、あそこから走ってもう着いたんですか?」
「うち、走っとらんよ。普通に、時計見て歩いて帰ってきたよ?」
そこで、丁度5限が始まるチャイムが鳴った。屋上を見たら… さっきまで走ってた人が、諦めて歩いていた。あれ、茜じゃなかったんだ…
「…お説教の台本、要らなくなったね」
「エビフライの分のお説教はするけどね」
「そういえばそうだった」
「静かに〜 授業始めるよ〜」
それから、授業を受けて、皆で話しながら下校した。皆と言っても、ミコトさんとヒメ姉はすぐに家だから、殆ど葵と2人だったけどね。茜は、「チョコミント買って先に帰る」って言ってた。多分、怒られる前に葵のご機嫌取りをするんじゃないかな?
家に着いたら、結局怒られてたけどね。その後は3人でご飯食べて、順番にお風呂に入って、明日の支度をして、テレビを見たりゲームをしながら過ごした。気付いた時には22時を過ぎていて。
「…眠くなってきたし、そろそろ寝るね」
「うちも寝ようかな。もう10時過ぎやし」
「それじゃあ、私も寝る。1人でやることもないしね」
布団の中で考える。明日はどんな事があるのかな。茜はどんなことをして、葵に怒られるのかな。ミコトさん達はどんなお弁当を作ってくるのかな。 …あれ、明日もお弁当作ってくれるんだっけ。自分で作らなきゃだっけ? わかんないし、作っていけばいっか。
「…んぅ」
「おやすみ」
「…うん、おやすみ」
そうして、眠りについた。
「…ふふ、ほんとすぐ寝るね。フラッシュ消して… よし、私も寝よっと」
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