服を脱ぎ終わる。脱衣所に置かれた大きな鏡を見る。太ってる感じはしないし、大丈夫かな。扉を開けて浴室に入る。きれいなタイル張りの浴室で、シャンプーもボディーソープも見たことない高級そうなやつ。浴槽も大きくて、5人くらい入っても狭くなさそうなサイズ。 …流石に盛り過ぎたかもしれない。
シャワーで体を少し洗って、ボディーソープを体につけて、シャワーで洗い流す。前は恥ずかしがってた気がするけど、今では流れ作業で出来る。髪も少し洗ってから、シャンプーを手につけて… このリンスインシャンプー、ちょっと匂う。もしかして、梅の匂い? そんなのあるんだ、今度お店で探してみよ。
さ、髪をわしゃーってして、洗い流して、よし! ひと通り洗い終わったし、浴槽に入っちゃおう。でかいバスタブって感じだけど、深いわけじゃないし気持ちよさそう。さぁ… あちっ、思ったより熱いや。
冷めるまで待ってても仕方ないし、ちょっとずつ足入れていこう。ゆっくり入ったら熱くても耐えられそう。というか、一気に入ったら熱くて飛び跳ねちゃいそう。
…ふぅ、すっぽり。熱いけど気持ちいい。それに、お湯からも梅っぽい匂いがする。ほんと、梅が好きなんだなぁ。梅嫌いの人は大変そう。まぁ、梅嫌いだったらこの家には入れないと思うけどね。
…凄い静かだな。この部屋、もしかして防音材でも入ってるのかな? 外の音が全然聞こえないや。ゆっくりできて嬉しい。窓から庭の植物が見えるし、ほんとにリラックスできるね。
「…ほんと、気持ちいいなぁ。ふふ、ほんと…」
「あれ、何の木だろう。梅じゃないって言うことしかわかんないや」
「ふぅ〜 あったまるなぁー」
「それはよかったよ」
「はい、ほんとに気持ちよくて… ミコトさん?」
「いやぁ、ヒメに叩かれたから逃げて来たんだ。お邪魔だったかな?」
「いや、邪魔なわけではないですけど、けど…」
独り言に返事が来るとは… というか、なんでミコトさん。ミコトさん、僕が男だったって知ってるのに。逃げて来たって言っても、嫌じゃないのかな。僕と一緒にお風呂なんて。
シャワーの音が聞こえる。 …ミコトさんが体を洗っている間に、僕はあがっちゃおうかな? その方がミコトさんもゆっくり温まれるだろうし、気も楽だし。
「あの、私は先にあがりますね」
「少し早くない?」
「早いですけど、ミコトさんも1人のほうが楽だと思いますので」
「浴槽も大きいし、蕾ちゃんもまだ温まれてないだろう? それに、少し話したいこともあるんだ。よければ、もうちょっと待ってくれないかな?」
「…わかりました」
話したいことってなんだろ? 今話したいってことは、ヒメ姉さんには聞かれたくないことなのかな。わかんないし、窓の外を眺めてよう。
「お隣、失礼するね」
「はい、ちょっと端に動きますね」
「そう? じゃあ、私も端に寄ろうかな」
「…どうしてついてくるんですか?」
「ちょっと体が見たくて」
「え… すみません、嫌です」
「別に深い意味とかはないんだよ。ただ、興味があるだけなんだ」
「もっと嫌です」
ミコトさんって、そんな人だったんだ。ちょっと、というかだいぶ見る目が変わっちゃうな。
「ほんと、下心じゃないんだ。あかり君は、性転換したわけだろう? 体の作りとか、普通の人とは違うんじゃないかって、興味があるだけなんだ」
「普通だと思いますけど…」
「そうか… 確かに、見てても変な部分はないね。体系は私やヒメと違うけど、普通にあり得る」
「見ていいって言ってないんですけど」
「一緒にお風呂に入ったら、どうやっても見ることになるだろう?」
「入って良いとも言ってないです」
「そうだったかな? まぁ、いいじゃないか」
…ミコトさんって、ほんとに変な人なんだな。別に見られて困る身体はしてないですけど、いい気分にはなりませんよね。あんまり恥ずかしいってわけでもないですけど、嫌です。
「…見られて困ることはないのでいいですけど、私の前側には来ないでくださいね」
「わかってる。横から観察してるよ」
「それで… 話したいことってなんですか?」
「ん、特にないよ。お風呂出ないで欲しかっただけだからね」
…だいぶムカついてきました。この人は、ほんとに… 後でヒメ姉に話して、代わりに殴っといてもらいましょうかね。僕より力強そうだし。
「…私、お風呂出ますね」
「わかった。私はもう少し経ってから出るよ。具体的に言うと、あかり君が服を着て、脱衣所を出てからかな」
「中からわかるんですか?」
「感覚かな。そんなに時間かからないでしょ?」
「そういうものなんですね」
浴室を出て、体を拭いてっと。下着を着て、さ、パジャマ着なきゃな。
「ふぅ」
「早いです!」
「あ、すまない。もう少し温まってくる」
全然タイミングわかってないじゃないですか!
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