トランプをしながら少し考える。私が止めなかったばかりに、あかり君は泊まることになった。彼からしたら私達は異性だから緊張して大変かもしれない。まぁ、緊張しないと言われたらそれはそれで嫌だがね。
けれど、私からしたらこれは
あかり君が泊まっても、私は別に緊張しないし何とも思わない。私は彼の元の姿も声も知らない。異性が家に泊まるという実感はないし、同性の友達が泊まりに来た感覚しかない。
「あ、ミコト〜! お風呂の準備おねが〜い!」
「わかった、やってくるよ」
お風呂、か。人が1日の中で裸になる数少ない時間。 …私、家族以外の人の裸って見た覚えないな。昔温泉で見たかも知れないけど、全く思い出せない。 …あかり君の体、少し見てみたいかもしれない。
特に気になるのは体の傷だよね。大抵の人なら、転んだりした怪我や痒くて掻いてしまった時の跡、多少なりともあるんじゃないかな。それが性転換しても残るのか否か、気になるよ。とっても。
残っていたなら、あかり君の体は性転換する前と後で同じ体ってことになる。何らかの原因で性転換したけど、体の一部に変化があるだけで基本は同じってことだね。もしも、傷が残っていなかったなら。今の体は元々とは全く違う別の体ってことになる。もしそうなら、面白いよね。あ、また面白いって思っちゃった。
ま、それは後で確かめるとして… リビングでなにか話してると思ったら、寝る部屋の話をしてるみたいだね。なにかわかるかもしれないし、出来れば私の部屋で寝てもらいたいものだね。
…ヒメに叩かれたけど、私の部屋で寝ることになってよかったよ。別に何を調べるってわけでもないけど、普段の暮らし方とか気になるし、よかったよかった。それに、万が一にもないだろうけど、ヒメがあかり君を襲っても困るし。
リビングに居たらヒメに又また叩かれるかもしれないし、どこかに… そうだ、お風呂に行こう。あかり君の肌に傷があるか見なきゃなんだ。
…私がお風呂に来たらあかり君、緊張しちゃうかな? あかり君の肌を見たいけれど、その代償として私の肌も見せることになるわけだ。別に恥ずかしいとは思わないけどさ。
まぁいいか。普段から茜達と一緒に暮らしてるんだし、多少のことは気にしないでしょ。そんな適当な気持ちで脱衣所に入り、服を脱いで何も言わずに浴室に入った。扉を開けると、あかり君は逆側を向いて独り言を言っていたから、返事でもしてみた。
それから軽く雑談しながらシャワーを浴びてたけど、あかり君、だいぶ緊張してるというか、私から逃げようとしてる。ま、異性が来たら意識しちゃうか。だから何という訳ではないけど、何とも思われないよりは嬉しいね。
ただ… 私はもっと考えて動かないとだったかな。人が嫌がることはしたくないからね。少し体を見させてもらったら、あかり君から見えない位置でゆっくり温まろうか。そんな事を思いながら浴槽に足を入れる。あかり君が端に逃げてしまったから、少し追いかけよう。
あかり君から許可を貰って体を観察したけれど、傷は見つからないな。前側も見てみたいけど、流石にやめておこうか。私とのサイズの違いを真正面から感じると、私のメンタルにダメージが入る。ほんと、どうしてこんなサイズなんだろうかね。
遺伝や生活習慣で決まるって聞いたことがあるけれど、性転換した人にもそれが適用されるのかな? もしそうなら、あかり君の親も同じようなサイズで、かつあかり君が規則正しい生活をしてたのかな。私は、まぁ、生活習慣が乱れていたから小さいのか…?
考えても傷口を広げるだけだし、別のことを考えよう。折角一緒にお風呂に入ってるんだし、こういう時にしか出来ないことをしてみたいな。友達と一緒にお風呂とか、初めてなんだ。水をかけあったりとかするって聞いたことあるけれど、今したら怒られそうだね…
あかり君、少し機嫌が悪そうだね。勝手にお風呂に入られて、勝手に裸を見られたんだから当然か。ちょっと怒った顔してお風呂を出ていってしまったし、少し温まったら私も出ようかな。
…う〜ん、怒らせてしまったんだし、すぐに謝ったほうがいいのかな。十分温まれたし、私も出てあかり君に謝ろう。さ、扉を開けてっと。
「ふぅ」
「早いです!」
「あ、すまない。もう少し温まってくる」
まだ着替え中だったか。 …やっちゃったな。謝ることが増えちゃったよ。
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