お風呂を出て、リビングに戻る。ヒメにお風呂が空いたと伝えて、ソファーに座ってテレビを見る。少しずつ夜が更けてきた頃だし、自然番組はやってないか。今はニュースとかバラエティの気分じゃないし、テレビは消して部屋に戻ろう。
自分の部屋に入る時にノックするのって初めてだね。そもそも、自分の部屋に他の人を入れる時って先に自分が居るよね、基本。コンコンコンってノックして、中に話しかける。
「入っていいかな?」
「ミコトさんの部屋なんですから、どうぞご自由に…」
「それじゃあ入るね」
部屋に入ると、あかり君は鏡の前で髪を弄っていた。後ろで一本に縛ったり、三つ編みにしてみたり、横から飛び出させてみたり。普段は
「どんな髪型が好きなんだい?」
「う〜ん、特にないんですよね。色々試してたんですけど、これだー!って言うのはなくて」
「私も触っていいかな?」
「いいですよー、いい感じにしてください。あ、寝る前なので解きやすい髪型でお願いします」
それから気の向くままに弄った。お団子みたいにしてみたり、後ろで二本に
「もう23時ですね。そろそろ寝ますか?」
「まだ夜は始まったばかりだよ。今日は遊んじゃったから、勉強をしないとなんだ」
「そうなんですね… それじゃあ、私ももう少し起きてます」
「蕾ちゃんに勉強を教えてあげるよ。2年の内容だけど」
「はい、予習になりますから!」
私の勉強机に向けて椅子を2つ並べて、雑談もしながら勉強をした。勉強の話も真面目に聞いてくれてたけど、ちゃんと教えられたかな。もうすぐ日付を跨ぐけれど、まだまだ勉強しないとなんだよね。今すぐの課題ってわけじゃないんだけど、早め早めに終わらせないとだから。
今度の休日は創作料理に集中したいから、全部終わらせておきたいんだ。折角なら、あかり君に茜、葵ちゃんなんかも呼んで皆に食べてもらいたいし。勉強に集中するために、ちょっとコーヒーでも飲んでこようかな。そんな事を考えながら、リビングに降りた。
誰もいない静かなリビングの電気をつけて、ケトルに水をいれる。お湯を沸かせて、コーヒーをドリップして飲む。少し苦かったけれど、これくらいが目が覚めていい。
ヒメはもう寝たのかな。昔から、早寝早起きで健康的な生活だからね。私は寝たくても早い時間に寝れなくなっちゃってね。まぁ、早起きも得意なわけじゃないから早寝早起きなんて無理なんだけどさ。
コーヒーを飲みきって部屋に戻ると、あかり君は机で眠っていた。椅子に座って、机に自分の腕を枕代わりに置いて。「すぅ、すぅ」小さく声も聞こえる。
ちゃんと眠れてるなら起こしたくはないんだけど… 椅子と机だと体を痛めるかもしれないからね。起こして、ベッドに行ってもらおう。
「あかり君、そこで寝ると体を痛めるから、ベッドに行こう」
「ふぇ…、んぅ… ミコト
「うん、ぐっすりね。ちゃんとベッドで寝ないと、体痛めるから、ね?」
「ん〜、まだ起きれます! 寝ません!」
「そう? 眠いなら、寝たほうがいいと思うけど」
「まだ寝ません、ミコトさんこそ眠くないんですか?」
「全く眠くないよ」
「す、すごいですね…?」
それから、また勉強をした。計算問題とか、頭を使う問題をどんどん解き進める。隣から「うん…?」とか、わかってなさそうな声が何度も聞こえてきた。まだ習わない問題だし、解けなくて当然なんだけど、頑張ろうとしてるのかなって少し解き方を教えた。
「…ってことなんだ。わかった?」
「ん… んぅ?」
「起きてる?」
「お、起きてま
起きてるらしいから、そのまま数十分解き続けた。少しずつ、話しかけても返事が減って、途中から返事がなくなった。
「起きてる?」
「…すぅ」
「また机で寝ちゃったか。起こしても繰り返しになっちゃうし、運ぶよ、あかり君」
「…すぅ」
椅子を少し引いて、あかり君をお姫様抱っこで持ち上げる。結構軽いから簡単に持ち上げられた。ベッドに寝かせて、布団をかける。 …私も眠たくなってきたし、寝ちゃおうかな。
「隣、失礼するよ」
「ん〜」
私もベッドに入る。あかり君を壁側にちょっと押して、落ちないように気をつけながら
いわゆる、抱き枕みたいなものだね。胸にだけは手が当たらないように気を付けて、お腹をぎゅって抱きしめる。身長的にも、ちょうどお腹の位置に手がくるから抱きやすい。
「おやすみ、あかり君」
いつもよりもすんなりと、私は深い眠りに就いた。
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