ふえへへ、蕾ちゃんの入ってるお風呂に突入するぞー! 音を立てずに脱衣所に入って、着てた服を静かに脱いで、蕾ちゃんの服から離して置いときます。後で着るパジャマはその横に置いとこうかな。薄紫の服なんで、間違われないでしょう。
さぁ、お楽しみのお風呂ですよ。何やら聞いた話によると、蕾ちゃんは色んな人とお風呂に入ってるらしいですからね。お姉ちゃんである私が入っても怒られないでしょう。私より先に何人も入ってるなんてちょっと妬いちゃいますけどねー。私の妹なのに。
…う〜ん、シャワーの音が聞こえませんし、もう洗い終わっちゃったかな? そしたら、背中は洗えないですね。まだ洗い終わってないといいなー。
そーっと扉を開けて、中を確認。蕾ちゃんはもうバスタブに浸かってますね。逆側向いてるみたいです。後ろ髪がバスタブの外まで飛び出してるのがよく見えます。お風呂に入る時も結いてないんですね。邪魔そうだし、ちょっと高い位置で結いてあげようかな。髪長いですから、バスタブの壁とか、床に当たっちゃいますからね。流石に床には届かないかな?
私もさっと浴室に入って、椅子に座っちゃいまして、シャワー浴びちゃいましょう。シャワーをつけたら、「えっ?」って声が聞こえましたねぇ。バシャバシャって音もしましたし、バスタブの中で動いたのかな?
「ゆ、ゆかりさん? どうかしましたか?」
「特になにもないよ。蕾ちゃんと一緒にお風呂に入りたかっただけ。嫌だった?」
「いえ、嫌ではないです。急だったのでちょっと驚いただけです」
「よかったー。蕾ちゃん、お風呂気持ちいい?」
「はい、気持ちいいですよ」
…話題が尽きてしまいました。取り敢えず体洗っちゃいますか。ボディソープ泡だてて、体につけてシャワーで流して。頭も洗って、ふぅ。タオルで顔拭いて、さ、私もお風呂で温まりましょうかね。
「隣失礼しますね」
「はい、右に寄ります」
「ありがと。いやぁ、こうやって蕾ちゃんとお風呂に入ると、あかりのことを思い出しますね。昔ですけど、あかりお兄ちゃんと私、一緒にお風呂に入ってたんですよ? 知ってました?」
「知らなかったですね…」
お、あかりは蕾ちゃんに昔のことを話してないのかな? まったく、恥ずかしがってるのかな。折角ですし、子供の頃のあかりのことを蕾ちゃんに教えてあげましょうかね! 蕾ちゃんもあかりのこと知りたいでしょうし。
いやぁ、海外旅行から帰ってきたら、隠してた自分の幼い頃のことを蕾ちゃんが全部知ってたら、あかりはどんな反応をするかな。楽しみですね。私だったら話した人を殴りますかね。あかりは殴ってこないでしょうし、バラしちゃいますよー!
「蕾ちゃん! あかりお兄ちゃんがどんな子供だったか、知ってますか?」
「…知らない、ですね。兄さん、あんまり話してくれなかったので」
「ま、あかりは恥ずかしかったんでしょうね。でもですね、そんなあかりも、子供の頃は本っ当に可愛かったんですよー?」
「そ、そうなんですねー」
うーん、反応は良くないですね。こうなったら、最高のネタを使うしかありませんね。
「これはあかりが小学生の頃の話なんですけど、あの子、本当に甘えん坊でですね。私の膝の上に座ってゲームしたり、夜眠くなったら私の服を引っ張ってきてですね、一緒に眠ったりしてたんですよ」
「へ、へぇ…」
「今では落ち着きのある子ですけど、昔は元気で可愛かったんですよー?」
「そうなんですねー。いやー、想像もつかないです」
「でしょー? でもですよ、本題はここからです。私とあかりがこの琴葉家に泊まりに来た時にですね、事件が起こるんです。お昼は普通に遊んで、夜寝てからのことなんですけど、急にあかりが私の体をゆすってきてですね?」
「私、お風呂出ますね」
「おぉ、短い話なんで、聞いてってくださいよ」
「今すぐお風呂出ますから」
…そう言って、蕾ちゃんは浴室を出ていっちゃいました。あかりの恥ずかしい話を聞きたくなかったのなら、悪いことをしちゃいました。そう、ですよね。お兄ちゃんの黒歴史なんて聞きたくないですよね…
後で、しっかり謝りましょうか。あかりにもメールで謝っておきます。勝手に黒歴史を話そうとしたこと、蕾ちゃんの嫌がることをしてしまったこと。本当、申し訳ないです。
蕾ちゃんが出てから少し待って、私もお風呂を出ました。脱衣所にはもう誰も居なくて、すぐに服を着て私も出ます。それからリビングに戻りましたが、蕾ちゃんは居ませんでした。
「お、ゆかりさんもあがったんやなー。じゃあ、うちが入ってくるでー」
「あぁ、はい。良い湯加減ですよ」
「おぅ! 温まってくるで!」
茜ちゃんがお風呂に行ったので、リビングには私と葵ちゃんの2人。蕾ちゃん、どこに行ったのかな…
「…ゆかりちゃん、蕾になにかしたの? あの子、部屋に閉じこもっちゃったけど」
「…はい。ちょっと、あかりの昔の話をしました。それで傷つけちゃったみたいで」
「あー、なるほど。どの話かはわかんないけど、結構なやつ?」
「はい、結構黒歴史なやつです」
「そっかぁ… 今はそっとしとこう。ご飯になったら笑顔でリビングに来るから。忘れようとしてるからさ、謝ったりしない方がいいよ。あかりにも黙っときなね」
「え、確かに私が謝ったら忘れられなくなっちゃうかもですけど… 謝らないで大丈夫、なんですかね? 私よりも葵ちゃんの方が蕾ちゃんのことを知ってると思うので、従いますけど…」
「うん、任せて。大丈夫だから」
「そう、なんですね」
私が勝手になにかして傷を深めても駄目ですし、葵ちゃんに任せます。ただ… 蕾ちゃん、あかりのことが大好きなんですね。あかりのかっこいい話もたくさんありますし、今度話しましょうかね!
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