緊迫した空気の中、葵が少しふざけたような事を言い出しました。そのおかげ、ちょっと落ち着いたんです。それで気が付きました。僕って、人の宝箱を勝手に開けたのは悪いですけど、中身に関しては葵が悪いだけなのでは?
事故とはいえ箱を開けた僕にも非はありますけど、中身を考えたら葵の方が悪いんじゃないかって思うんです。間違えて開けちゃっても、普通のお宝だったら『ごめんなさい』『いいよ』で終わることでしたし…
…というか、葵はあれをどこで手に入れたんですかね。茜の部屋に勝手に入ったら普通にバレて怒られそうです。欲しいって言ったら貰えるっていう物でもないですよね。もしかしたら、他にも隠してることがあるかもしれないですね。
「まぁ、あかり君がどうしても欲しいって言うなら、 お姉ちゃんのじゃなくて、私のをあげてもいいけどね」
僕、からかわれてるんですよね? 少し前からですけど、弄ばれてる気がするんですよね。う〜ん、真剣な空気を葵に壊されたわけですし、僕もそのおふざけに乗ってみましょうか。
「わかった。欲しいな、どうすればくれる?」
「ふぇあ?」
葵ってこんなにふにゃってした声出すんだ… まぁいいや、冗談だって言わないとね。結局、箱の中身の話を全然してないし、話を戻さないと。
「い、今すぐ、なの?」
「え〜? 冗談だよ」
「えっ、うえ? 流石にそれは、ちょっと… いや、私が言い出した事だもんね。ちょっと待ってて」
「…うん?」
小走りで葵が部屋を出ていってしまいました。冗談って言ったんだけど、もしかして聞こえてなかったのかな。僕も少し葵に反撃したかっただけで、別に欲しいわけじゃないし…
顔真っ赤にして出てっちゃったし、多分、渡されるよね。それは困るなぁ… 貰ってもどうすればいいかわからないし、気まずい空気になっちゃう。よし、追いかけて冗談だってもう1回伝えましょう。リビング… には居ないし、脱衣所かな。開けたら見ちゃいそうだし、扉越しに話しかけましょう。
ゆかりねぇがリビングに来るかもしれませんし、蕾の口調で話しかけますか。
「あの、葵? 冗談、冗談だからね!」
「言われなくてもわかってるよぉ! じょうだんでしょ、わかってるから!」
「うん、冗談だよ。渡さないでいいからね?」
「え? じょうだんなんでしょ?」
「うん、冗談。だから、要らないよ」
「…あぁ、
「ずっと冗談って言ってたんだけど、滑舌悪かったかな?」
「いや、
「上段? …そんなこと言うわけないでしょー!」
上段、上段かぁ… なーるほど、納得しちゃった。確かに箱に入ってたのは下側だし、上側が欲しいって言われたらそりゃあ焦るよね。いや、言ってないけどさ。欲しいとも思ってないよ、本当だよ。
…というか上段って思ってたなら、葵は僕に渡すことに抵抗感とかないのかな。恥ずかしがってはいたけど、普通は『嫌だけど』って断るんじゃないの? ちょっと葵が心配だよ、頼み込んだら普通にくれそうだったしさ。下だとしても断ってほしいけどさ。
どうやって葵が宝物を手に入れたのか聞きたかったけど、いいや。疲れちゃったし寝よう。知っても良い事はないし。
「私はもう寝るね。おやすみ、葵」
「あ、おやすみ」
僕は部屋に戻ってベッドに入る。明日も遊ぼう、勉強は明後日でいいし。おやすみなさい。
ーーー
「朝だよ、あかり君。ほら起きて」
「んぅ… 後2時間寝かせてぇ…」
「2時間寝たらお昼だよ。朝ご飯抜きになるよ?」
「おはよう、葵。朝ご飯は何なの?」
「ほんと、欲望に忠実だね…」
葵に言われたくはないなぁ。スマホを見たら朝の10時、昨日は
「
「どっちもってあり?」
「お姉ちゃんの分が無くなっちゃうからだめ」
「茜もまだ寝てるの?」
「うん、寝てるよ」
遊びたがってた僕と茜が寝坊って、葵とゆかり
僕はどっちも食べれるし、茜が食べなさそうなのを食べましょう。鮭って赤いし、茜が食べるかな? ようし、僕は鯖の味噌煮を食べましょう。
リビングではゆかり
それに、ゲームの初回起動時のチュートリアルを終わらせてくれてるみたいです。ルールはわかってるので、終わらせてくれて助かりました。僕らが寝ている間にやってくれるなんて優しいなぁ、ゆかり
鯖の味噌煮を食べてたら、今葵に起こされたであろう眠そうな茜がリビングに来ました。瞼こすって、本当に眠そうです。ちょっと遅れて葵もリビングに来ました… そうか、今の間なら茜の部屋に忍び込めるんだ。そこでクローゼットから茜の下着を盗んで、箱に入れて宝物ってしてたのか… なるほど。
知ったところでしませんけどね? 本当にしませんからね!