む〜ん! 何で勝てへんのや〜! ゆかりさんが帰ってからずっとこのボスの動きを研究して完全にコツを掴んだはずなんに、何でまたゲームオーバーになっとるんや! うちの研究が間違ってるなんてありえへんのに、なしてや…
せや、今うちには頼りになる仲間がおる。勉強を
「あかり〜、どうやったらコイツ倒せるん?」
「 …んぇ? 話しかけてた?」
「おう、話しかけとるで。コイツの倒し方を教えてほしくてな」
「えっとね、左上の足場の左端に乗って、そこから左下に向かって反射弾を撃ち続けると倒せるよ」
「ありがと〜、助かるわー!」
まさかそんな攻略法があったとは… にしても、あかりは勉強に集中しとったんやな。邪魔してしもうて申し訳へんし、後でクッキーでも焼いたろうっと。
左上の足場… ん、左上に足場なんてないんやけど。あかりと話しとる時は忘れとったけど、このボス戦のMAP平らや。ぺたんと何も無い一直線や。ギミックを解いたら足場が増えるってわけでもなさそうやし、あかりが間違えたんかな? 勉強したくて適当に話しとったんかな? まぁ勉強のほうが大切やし、怒りはせんけどね。
その後は何度かあかりから話しかけてきたけど、近くにできたカレー屋さんの話とか、しゃぶしゃぶのお店が潰れた話とかそんなんやった。腹減ってきたなぁ… 葵、食べ物買ってきてくれへんかな。
そんなこと思っとったら丁度よく葵が帰ってきた。ようし、食べ物もらうでー!
「ただいま」
「おかえり」
「あおいー! なんかすぐに食べれるもん買っとらん?」
「ないよ。夕飯はまだだし、お菓子とか食べてて」
「そんなぁ、お腹すいたー」
「僕もお腹すいてきたな…」
「…2人して悲しそうな顔で私を見ないでよ。荷物片付けたり勉強するから無理だよ。というか、そんなに食べたいならお姉ちゃんが作りなよ、料理部でしょ?」
「たしかに、茜って料理部だったね。お願い茜、何でも良いから美味しい料理作って欲しいな」
「ん〜、そこまで言うなら作ってあげよう。うちが腕を振るって作るでぇ!」
…作るつもりなかったんやけど乗せられてもうた。すぐに食べたいからおにぎり、ってわけにはいかへんよなぁ。う〜ん、エビフライでも作るかぁ。エビフライなら絶対美味しなるしええやろ、すぐにできるし。完全食や。
それからちゃちゃっとエビフライを作ってあかりと食べたんやけど、葵は部屋に行ったきり戻ってこーへん。荷物置きに行っただけやあらへんのかな。ちょっと心配やし見に行くか〜。
「あおい〜、エビフライできとるで〜」
…返事がかえってこんなぁ。こんな時間に寝とるんか? 今寝ると夜に寝れへんくなるし、ちょいと起こしたるかぁ。にしても珍しいなぁ、葵が昼寝なんて。さーて、寝顔でも覗いたるぞー。
「入るで〜」
ま、返事はないんやけど。お〜、気持ちよさそうに寝とる。スマホ持ってきて写真撮ればよかった。 …机に葵のスマホあるやん、これで撮ったろ。
よーし、上手く撮れた。これで設定押して、壁紙を変更っと。うし、葵の寝顔を待ち受け画面にしてやったで。開いた時にビックリするやろなぁ、うひひ。それじゃ、起こすか。
「あおい〜、起きてや〜。今寝たら夜に寝れんくなるで〜」
「…んぅ? お姉ちゃん?」
「せやで〜、お姉ちゃんやで〜!」
「…勝手に部屋入らないでよ」
「なんで〜や、葵を心配して起こしにきたんやで〜?」
「それはわかったけどさ… ほら、起きたから出てってよ」
「なんでそんなに出てってほしいん?」
「んぇ、なんでもないよ! ほらほら出てって出てって」
「むぅ…」
これはなーんか隠しとるな。でも探ったりはせんよ。何を隠しとるんかは気になるけど、葵が悪いことをしないのはわかっとるから。高校生なんやし、お姉ちゃんに言えへんことの1つや2つあってもええ。秘密が1つもないって方が恐ろしいやろ、ある意味。
ま、そうは言っても気にはなるなあ。何を隠しとるんやろ。こういう時ってスマホの待ち受け画面を見られたないとか、部屋にある好きなもんのグッズが見られたないとかそんなんやと思ったんやけどスマホはさっき見てもうたしなぁ。あかりとの同部屋やし、物を隠すんは無茶があるしなんやろー?
ふむ、そうなると… 絶対に見られへん場所に隠しとるか、あかりと一緒に隠しとるかのどっちかやな。前者ならうちを追い出す理由もないし、後者か…?
ちょ、ちょいまってぇや。あかりと一緒に隠すって何を? 一緒に暮らしてるうちに隠すことって、よっぽどプライベートなことやろ? なぁ、もしかしてやけど…
付き合ってるんか? 2人
いやいやいや、そんな雰囲気あらへんよなぁ。確かにあかりと葵は幼い頃からずっと一緒に遊んどったし、よくお風呂にも一緒に入っとったけど! 確かに同部屋も葵から提案しとったし2人でよく外出しとるけど! 違うよなぁ、そんなわけあらへんよなぁ?
だめや、最近の2人を思い出すとそうとしか思えへん! こ、こういう時にうちはどうすればええんや!
待て、落ち着くんや、冷静になれうち。お姉ちゃんとして何をすればええんか考えるんや。妹の幸せを拒む姉などおらん、2人が付き合っとってもうちは今までどおりに接するんや。2人に気を使わせちゃいけへん、うちはお姉ちゃんなんやで? 2人が自分から話してくれるまではゆっくり待とう、それがええ。
「それじゃあ、うちはリビングに戻っとるな」
「うん… あっ、そうだお姉ちゃん。話さないといけないことがあったんだった、忘れてたよ」
「んんん!? それ、今じゃなきゃいけへんの?」
この流れで話さないといけないことって、あれしかあらへんやん! ほら、付き合いたてのカップルが家で『実は私達、付き合ってるんだ』ってやつやん! それで『お父さん、交際を認めてください』って言うんやろ? 我が家に親はおらへんけど、うちにそれをやるつもりなんやろ?
「うん、早いほうがいいからね」
「頼む、心の準備だけはさせてくれ!」
「そんな準備するほどのことじゃないけど…」
「大事なことやろ、覚悟を決めるからちょっと待ってくれ!」
そう言ってうちは部屋を飛び出した。リビングに行って気晴らしにゲームをする。あ〜、全く勝てへん! 集中できへんよ、こんな状況じゃあ! おち、落ち着くんやうち。すー、はー、すー
「お姉ちゃん待ってよ、そんな長い話じゃないから」
「…わかった、あんまり先延ばしにしても良くないもんな。話して」
「季節も秋になって、これから寒くなってくでしょ? 衣替えを少しずつしようと思ったんだけど、そのついでにぬいぐるみとか洗っちゃうから、お姉ちゃんも洗って欲しいのがあったら持ってきてもらえる?」
「…は? そんな話?」
「うん。まだ少し暑いけど、これから寒くなってくみたいだからさ。早くしたほうがいいでしょ?」
………………はぁ?