色の変わった星とパステルカラーの姉妹   作:緑雨

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茜Side1 酸っぱい梅の味

 

 穏やかな朝日に包まれ、目を覚ます。今日は何を食べようか、どこに遊びに行こうか。そんなことを思いながらカレンダーを見る。『勉強会』の字が映る。 …憂鬱な目覚めだ。

 

 時計を見てもまだ7時半。勉強会まで時間があるし、なんとか仮病を使えないやろうか。熱を測ってみてけど平熱。それなら、顔色を悪くするしかないな!

 

 副部長… うちは料理部に所属してるんやけど、その副部長がくれた梅干し。一口で2、3個食べればあまりの酸っぱさで体調を崩せないやろうか。ぱくっ。

 

 酸っぱい。でも、なんか体が良くなっとる気がする。それから葵がくれたミントに齧りついたりしたけど、全く体調不良にはなれず、勉強会をサボれへんかった…。8時になってからリビングに向かった。

 

あれ、あかりはまだなん?」

うん。お姉ちゃん、電話してもらっても良い?」

任せとき〜」

 

 あかりが体調不良なら勉強会は中止かもしれん。下心を込めながら電話をかけると、あかりの声はいつもより細く、か弱かった。もしかしたら風邪かもしれん。内心ガッツポーズ!

 

 でも結局体調不良やなくて、あかりは遅れたけれども来てしまった。葵が部屋に駆け込んでくる。

 

お姉ちゃん! あか、あかり君が! 性転換してるよ、性転換!」

そうなん… えっ?」

今から呼んでくるけど、すっごく可愛くなってるから! 外国に引っ越して結婚したくなるくらい!」

 

 この妹は何を言ってるんやろうか。危機として語っているようで、実際は嬉々としている。ガッツポーズもしとるやん。病気と思って喜ぶうちより下心が全開の妹が不安になってきた。

 

 せやけど、葵は無駄な嘘はつかん。きっと本当なんやろなぁ、女装でもしてきたんやろかと思いながら待つと、想像以上に女の子だった。いや、ほんとにほんとに女の子だった。

 

 それからご飯を食べて買い物に。ひたすらに下着を買う妹の姿に呆れながら、店員さんを呼んであかりのスリーサイズを測ってもらうことになった。

 

お姉ちゃん、あの誠実そうな青髪の人に頼もうよ」

 

 そう言って葵が指差した先にいたのは、見知った顔で。何を隠そう副部長や。不味い、それだけは不味い。あの人は誠実そうでひ弱そうに見えて、本当は変な人なんやから。

 

 ついこの前も、頭に梅を生やすのと、口から梅の枝を咥えるのと、目から梅光線を出す。どれなら私にもできるかな」っておかしなことを言ってたもん。

 

いや、今は大人しい人よりも明るい人の方があかりにはええんちゃうかな? ほら、あの人とか!」

ピンク髪の人?」

せや! え?」

 

 副部長だけは不味いと思って適当に指差した先にいたのは、ピンク髪の店員さん。見覚えがありありのあり、なんやけど。たしか、副部長の双子の妹さん… じゃなかったかな。ま、まぁ、副部長程変なこと言わないやろうし…

 

 妹さんは明るくて優しい感じの人やった。あかりのこともちゃんと測ってくれたし、余計なことは言わなかった。うちのことには気付いてたっぽいけど、黙っててくれたし、助かった… バイトなんやろうけど、公私混合してない立派な子やなぁ。うちの妹は公私混合しまくりやで。

 

 それから葵とじゃれあいながら買い物を済ませて、家に帰った所で電話がかかってきた。部長からの電話。なんやろ? すぐに電話に出た。

 

もしも〜し! 茜ちゃん、聞こえてる?」

聞こえてるますよ〜、部長。今日ってなにかありましたっけ?」

いや〜? だけどねぇ、さっき副部長にあってさ? これから暇らしいからうちの喫茶店で料理作ろうと思ってさ、茜ちゃんも来るかな〜? って思ったの」

あ〜、行きます。お店の場所知らないので、取り敢えず学校まで行きます。それで迎えに来てもらってもいいですか?」

あ、知らないんだっけ? それじゃ、迎えに行くね〜」

 

 葵に洗濯を頼んで、家を出て学校まで一直線。まだお昼を食べてないし、部長が作ったご飯でお腹を満たそう。そんなことを考えながら小走りで走る。

 

 学校に着いたときには、もう部長副部長が腕を組んで仁王立ちで待っていた。近付くしかないけど、悪目立ちするような待ち方はしないでくれへんかなぁ…

 

来たんだね、茜。飴ちゃん要る?」

梅の飴ですか?」

うん。それ以外にないでしょ」

ここから喫茶店にむかうんだーけーどー、茜ちゃん! 3人しかいない部活なんだし、先輩後輩とかなしにして、ラフな感じで喋っても良いんだよ〜?」

そんな…」

そうだよ。料理部は全員、対等な関係。呼び捨てで呼んだり、ニックネーム付けたり、冗談を言ったりするような関係がいいんだよ」

ミコトはもうちょっと敬った方がいい」

 

 こんな愉快な2人が、うちが所属している料理部の部長と副部長。部長は金髪の弦巻(つるまき)マキさん、副部長は青髪の鳴花(めいか)ミコトさん。下の名前はいつもカタカナで書くけど、漢字で書くこともあるらしい。料理部の名簿では、うちの名前もカタカナにされとる。

 

 マキ部長は実家が喫茶店で、今が3年生。大学にはいかないで実家の喫茶店を継ぐんだって。明るくて優しい人で、いい人やと思う。

 

 ミコト副部長は梅を崇拝してる変な人で、今が2年生。家でも梅を沢山育てていて、よく梅で作ったものをくれる。でも恥ずかしがり屋みたいで、基本的に部長からのプレゼントって言う体で色んな人に配ってるんやって。

 

 部長はコーヒーとか、喫茶店で見るような料理を作るけど、副部長は梅を使った野菜メインの料理をよく作る。うちは揚げ物とか、葵が好きなチョコミントを使った料理を考えとるよ? 今のところ、チョコミントが合う料理は見つかっとらんけど。

 

 3人で話しながら、喫茶店に向かう。途中、コーヒー豆の代わりに梅を使ったコーヒーを喫茶店で出すのはどうだろか」なんていう馬鹿げた議論があったのは、忘れとくで。

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