葵Side拾 夢って引き継ぎ制なの?
夜のことだった。あかり君が張り替えられたメモに気付くことも無く眠りにつき、私も追うように眠った。私は課題が終わったけど、お姉ちゃんが終わらせてないだろうから教えないとなぁって考えながら。
「んぅ…」
目が覚めちゃったな… 今
「えっと、誰?」
「んぇ? もう朝です?」
「…あかり君?」
「あかりだよ? 一緒に寝たじゃん、葵ちゃん」
「あかりちゃん、だよね」
「うん、そうだよ?」
…やけに目覚めがいいし、あかり君が隣で寝てるなんておかしいと思ったよ。これ夢だ、あかりちゃんだもん。昨日熱中症で倒れたときに見た夢に似た夢なのかな、別にどうだって良いけどさ。どんな夢だとしても、好き勝手にできるのが夢でしょ? 目が覚めたら終わっちゃうんだしさ。
さーて、今回は何をしようか。昨日はあかりちゃんを触ったり、髪に頭を
「何時だろ… 葵ちゃん、まだ夜ですしもっと寝ませんか? まだ体調もあまり良くないんですし」
「…そうだ、体調が悪いんだったね」
「して欲しいことがあったらなんでも言ってくださいね」
「なんでもしてくれるの?」
「私のせいでもあるんですから、なんだってしますよ!」
「…なんかされたんだっけ、私」
「ほら、先週学校で倒れた時に私が怪我させちゃったじゃないですか。担いでたら頭から落としちゃって。あれがなかったら葵ちゃんは徹夜で勉強をしないですんで、体調崩すこともなかったんですから。悪いのは私ですよ…」
頭から落としたって、もしかして私が前の夢でしたこと? 確か、担いでもらってあかりちゃんの髪に顔を
え、夢って引き継ぎ制なの? それは困るなぁ、好き勝手にしたら次回のスタートが
現実よりも気をつけないといけないって、悪夢じゃん。寝てるのに疲れるなんて嫌だよ、
…別にいいか、次回がどんな状況でも。夢なんだし、嫌なことが起きても
「そう言えばそうだったね。何をしてもらおうかな?」
「な、なんでもしますよ! 葵ちゃんの為ならなんだってしますから!」
「…例えば?」
「食べたい物を作ったり、食べさせたり、しますよ」
「食べ物ばっかじゃん」
こういうところはあかり君と同じなんだね。もしもあかり君が生まれた時から女の子だったらこうだったのかな? あかり君も友達が病気になったら助けに行くようなタイプだしね。でも、病人に密着して寝るってことはしないか。夢の中だし気にしないけど、現実でそんな事されたら引き剥がすかな。うつすわけにはいかないし。
「ほ、本当になんでもしますよ」
「じゃあ… 暖めて欲しいな」
「布団持ってくればいいですか?」
「いや? 人肌で暖めて欲しい」
「それなら幾らでもしますよ、はいギュー」
あ〜、幸せを感じる。頼んだらあかり君も『えぇ…』って言いながらやってくれるとは思うけど、嫌な感じも出さずに何でもやってくれるのは夢の特権だよね。柔らかい感触も、温もりも、噛み締めよう。悪夢なんて言ったけど間違いだった、やっぱ良い夢だよ。
暗いから顔がよく見えないけど、目の前に顔があると恥ずかしいからこのままでいいかな。暗いとぼんやりとしか見えないから恥ずかしくない。あかりちゃんの胸のせいでちょっと距離があるから、丁度目の前に顔があるんだよね。よくドラマだと頭が横並びになって、相手の耳の真横から
さて、夢の時間は無限じゃないんだ。限りある夢だから
それじゃあ何をしようか。抱きしめてもらってるし、あんまり動けないから出来ることは限られちゃうな。でも… 今の至近距離で見つめ合ってる状況、私が顔を前に出したらどうなるかな? これは現実じゃあ絶対にできない、やるしかないでしょ。
「ねぇ、あかりちゃん。なんでもいいんだよね?」
「はい、なんでもしま… んぐっ」
「…ぷはぁーっ、何でも良いって言ったのは、あかりちゃんだからね?」
「急にはずるいですよ…」
さっきは暗いほうが良いって言ったけど
「初めてが病気で寝込んでる時って…」
…落ち込んでるね、これ。初めてだったのか、夢の中とはいえ申し訳ないな。確かに
「ご、ごめん… 初めてがこんなんじゃ
「そうですよ、夜景見ながらとかの方が良かったです」
「ほんと、ごめんね」
「許しませんよ、今度連れてってくださいね」
「どこに?」
「夜景のきれいな場所ですよ! 今のはノーカンですから」
「…私と2人で?」
「それ以外にあるんですか?」
え、私と2人で行くの? ファーストキスのやり直しをしに?
っと、頭がクラクラする。もう時間なのかな。それか、今の話が衝撃的で脳が