「美味いなぁ、あかりも料理上手いんやなぁ」
「ありがとう、お口にあって良かったよ」
朝からチャーハンなんて珍しいとは思ったけどあかりが作ったって聞くと納得や。葵の朝ご飯は基本一汁三菜やから。麺料理とか、チャーハンみたいな1つだけで完成しとる料理はあんまりでてこーへん気がする。
「こんなに作れるんなら毎日作ってくれてもええんに」
「あ、それ葵にも言われた。プロむぐぐ…」
「葵、急にあかりの口塞いでどうしたん?」
「なんでもない、なんでもないから。ちょっとあかり君、部屋に来て?」
「ぷはぁ。わかったけど何かするの?」
「ちょっとお話。ごめんねお姉ちゃん、おかわりはあそこにあるから」
「うん、それはわかったけど…」
あかりは何を言おうとしてたんや、なんで葵は口を塞いだんや。急に2人でお話って、今のやりとりに何があったんや… うちに隠しとること、もしや夢で見たように付き合ってるんか? やっぱりうちの直感はあっとるんや!
となると、あかりが付き合ってることを言いそうになったから慌てて葵が口を塞いだんかな? そんなら、葵はうちに伝えるタイミングを考えとるってことやん。つまり、今後葵に呼び出されたらその時が『妹さんをください!』って言われる時ってことやな。
いつ言われるんや、今からドッキドキなんやけど。今晩かもしれんし、明日かも、明後日かも、はたまた来年かもしれんわけやろ。くぅ、2人がいちゃついとるんを早く見たい! いつ言われても交際は認めるから早く打ち明けてくれんかなぁ!
ま、これで違ったらどうしようもないんやけど… そうや、2人に打ち明けられた時に最高の返しができるようにうちも修行しとかんと。でも周りに頑固そうな親父さんなんておらんし、誰を真似すればええんか… うちと同じような立場の人に聞くんが1番かな?
葵みたいに可愛くてモテそうな妹がおって、その妹と2人で暮らしてて、うちみたいに妹のことが大好きなお姉ちゃん… あ、知り合いにおるわ。あの人ならあかりのこともよー知ってそうやし相談するには最適やな。
ただ、他の人に話すんなら裏取りはしっかりせんとな。万が一にもあらへんやろうけど、あの2人がラブラブなカップルやなくてただ単に仲の良い幼なじみやったら大変なことになる。外堀を埋めるのとは少し違うかもやけど、うちが勝手に動いて迷惑かけたら嫌われるやろうし、人生かかることやから最悪の場合葵に絶縁されるかもしれん。
でも、2人にバレへんように証拠を集められる自信ないなぁ。うちの周りで探偵みたいなことが得意で、人の噂話とかが好きそうで、しかも隠し事が得意な人。 …あ、おるわ。蕾があかりの偽名だって調べあげた人が。
よし、善は急げや今すぐ行こう。葵に勉強を教えてもらおうと思ったけど、あの人に頼んでも問題あらへん。というか葵よりも丁寧に優しく教えてくれそうやし。部屋に戻って、机に置いたままになっていた教科書とノートを手に取ってうちは家を飛び出した。ノートの端をちぎって、『ミコトさんと遊んでくる!』って書いて置いといたし問題はない、はず。
勉強するなら喫茶マキで何か食べながらするんが楽しいんやけど、マキ部長はあかりのことを知らんし話すわけにはいかん。ミコトさんの家が遠くなくてよかったわ、今日もまだ暑いし走ったら倒れてしまいそうやし。
よーし着いた、ピンポンを押したし扉の前で待ってよう。急に来ちゃったけど、門も開いてたし大丈夫やろ。前に葵がこの家に来た時は、門の横のピンポンを押したうえで門を開けて玄関の扉前まで行ったらしいけど、うちはアポ無しやから門の前で待ってよう。というか、アポがあってもピンポン押したんなら門の前で待っとるべきやろ。
「は〜い、どなたで… 茜ちゃんか、入って入って」
「おぉ、このピンポンの上についてるやつから声出てる。これカメラだけやないんや」
…これが付いてるのに葵はピンポン押してすぐ中に入ったんか。ピンポンの上のカメラで見てるんやろうし、誰も映ってなかったらピンポンダッシュにしか見えんやろ、これ。その時はあかりが出たって言ってたし、2人とも知らんかったんやろうなぁ。
「お邪魔しま〜す。あ、ミコトさん。ちょっとお話があるのでよろしいでしょうか?」
「かしこまってどうしたんだい? 私はいつだって暇してるし、可愛い妹の話を聞かないわけがないだろう?」
「私も聞いていい話? それとも、聞かないほうがいい話? 聞かないほうがいいなら私は大食いランチを制覇しに行ってくるけど」
「できれば、2人だけで話したいので、お願いします」
「は〜い、ケーキ食べてこよ〜」
そう言って、ヒメさんはうちの隣を通って外に出ていった。すぐに気を使って外に行ってくれるなんて、やっぱりヒメさんは大人やなぁ。自由で適当な感じのミコトさんとは全然違うし、不思議な感じや。
「…それで、何があったんだい? ヒメに聞かせられないってことは、あかり君についてだと思うけど。あってる?」
「半分あってます。まどろっこしい話もあれなんで結論から言いますけど、実はあかりと葵が付き合ってるんじゃないかって思いまして、相談に来ました」
「あの2人が… 確かに仲は良さそうだよね。付き合ってるって言われても納得する」
「まだ決定的な何かを見たわけでもないんですけど、絶対そうやと思うんです! それで、一緒に調べてほしいっていうのと、2人が付き合っとったらうちが2人にどう接するべきなんかなっていうのを教えてほしいんです」
「もちろん、このミコトお姉ちゃんに任せてほしい。それに色恋話が嫌いな人などいないからね、作戦を練って調べようじゃないか」
流石はミコトお姉ちゃんや! やっぱり頼りになる!
「茜、2人が家にいない時間にこっそりカメラと盗聴器を仕掛けよう。知り合いに用意して貰うから、少し待っててくれ」
「あ、はい…」
え、カメラと盗聴器をすぐに用意できる知り合いって何? ガチの探偵さんか犯罪者さんやろ、ミコトお姉ちゃんってそんな人の知り合いなん? 恐ろしい…