色の変わった星とパステルカラーの姉妹   作:緑雨

65 / 122
ヒメSide2 おかしい、おかしい!

 

 おかしい、絶対におかしい。最近のミコトは明らかにおかしい。毎日のように茜ちゃんを家に呼び出してるし、私を部屋に入れてくれない。何かを隠してるのは間違いないんだけど、一体何を?

 

 この前の休日、私は蕾ちゃんと葵ちゃんを誘って3人で外食をした。帰ってきた時、ミコトは家にいなかったしどこに行ったのかのメモさえなかった。それで慌ててメールをすると、散歩してる』って短く返してくる。散歩する暇があったら庭いじりをしてるような人だったはずなのに、おかしい。

 

 ミコトが新しい趣味を見つけたとか、茜ちゃんと何かサプライズ的なものを作ってるならそれもわかるよ。でも私に対してサプライズすることなんてないだろうし、私以外に対してのサプライズなら私に隠す必要ないでしょ? つまり、これは隠さないといけないような不味い趣味があるのか、本格的にやばいことをミコトがしているのか、茜ちゃんを私の代わりの妹にしようとしているのか。そのどれかだと思う!

 

 別にミコトがちょっと変な趣味を持ってても私は(とが)めないよ? でもね、純粋無垢(じゅんすいむく)な後輩を部屋に連れ込んで自分の趣味に付き合わせてるんだとしたら放ってはおけないよ。逆らえない後輩を今まで生きてきた道から外れさせて、自分の為に操るとかっていうなら許せない。

 

 まぁ、ミコトに限ってそんなことしないと思うけどね。私はミコトがそこまで落ちぶれていないと信じてるし、茜ちゃんに何かあったら葵ちゃんと蕾ちゃんが気付くだろうし。だから、私に言えないような酷いことを茜ちゃんにはしてないと思う。

 

 だからわかんないんだよね、あの2人が何を隠してるのか。私は詮索(せんさく)とか得意じゃないし、葵ちゃん達の方が詳しそうだね。今度会えたら聞いてみよう、茜ちゃんから何か聞いてるかもだし。

 

 

 そんな決意を持って迎えた今日、朝からミコトが居なかった。すごく焦ったし、何か大変なことをやらかすんじゃないかって冷や汗もかいた。メールで聞いてみたら、部長が新作のコーヒーを作ったから飲みに行ってるだけさ』って返ってきた。

 

 一応心配だからマキさんにも連絡したけど、急にミコトを呼び出しちゃってごめんね? 頼まれてたコーヒーができたから登校前に飲んで欲しくって。今度、ヒメちゃんも飲みに来てね!』って返ってきた。ミコトが嘘ついてなくて少し安心したよ。

 

 それに最近ミコトが隠してたことってこれだったのかな、なんて思ったり。茜ちゃんも料理部だし、3人でこっそり作ってたのかも。新商品だからバラすわけにはいかなかったのかもって。でも、頼まれてたって言ってたし違うのかな…

 

 ミコトが先に家を出ちゃったから、1人で登校した。授業も適当に受けて、お昼になったらいつものように屋上に向かった。そしたら途中で茜ちゃんから昨日は行くって言ってたんですけど、行けなくなりました!』ってメールが来て、続けざまにミコトから急用、ごめん』って送られてきた。

 

 絶対、2人で何かするんだろうな〜って思いながら1人寂しく屋上でお弁当を食べてたら、急に扉が開いた。誰かと思ったら葵ちゃんと蕾ちゃんだった。

 

お、2人〜!」

ヒメさん、こんにちは。今日は1人なんですね?」

うん。ミコトも茜ちゃんも、来るって言ってたんだけどさっき急にメール来てさ。やっぱ行けへんくなった! ってさ。何かクラスであった?」

特に何もなかったです」

 

 特に何もなかったってことは、来れないことはちょっと前から決まってたのかな? それに蕾ちゃん達にも隠してるってことはあの2人は何か秘密の関係ってことかな。やはり、ミコトが茜ちゃんを懐柔(かいじゅう)して妹にしようとしてるのか。

 

 そしたらどうしよう、私は鳴花家を追い出されるのかな。そうなったら茜ちゃんと入れ替わって、琴葉家に行こう。鳴花ヒメも良い名前だけど、琴葉ヒメも良い名前でしょ?

 

ミコト、茜ちゃんを妹にしようとしてるのかな。そしたら私が琴葉家に行くか」

お断りさせていただきます」

うぇ!? 断るのぉ!?」

 

 おかしい、おかしいぃ! 葵ちゃんならお姉ちゃんは渡しません』って言うと思ったのに、断るほうが優先なの!? 茜ちゃんが居なくなることより、私が琴葉家に来るほうがいや、ってこと?

 

 ショックだなぁ… 私って葵ちゃんに何かしちゃったかな。茜ちゃんを誑かしたこともないし、蕾ちゃんにいたずらしたこともないし、勿論葵ちゃんに迷惑なんてかけた覚えはないよ。多分、知らず知らずのうちに葵ちゃんに嫌なことをしてたんだろうね…

 

ごめんね、葵ちゃん。私、葵ちゃんに嫌われるようなことしちゃってたんだね…」

別に嫌ってませんよ?」

そうなの? じゃあ、どうして私は琴葉家に入れないんだ…」

部屋がないです。お姉ちゃんの部屋は使わせたくないですし、リビングで人を寝かせる気はありません。無論、私の部屋は定員オーバーです」

茜の部屋、ゆかりさんに使わせてなかった?」

ゆかりちゃんは帰りたくないって駄々こねて外で寝た前科があるから、特別にお姉ちゃんの部屋で寝かせてるだけ。本当はゆかりちゃんも寝かせたくないよ、でも玄関の前で寝てるところを見られたら困るし」

そんなこともありましたねぇ…」

 

 ゆかりさんってそんなことするんだ… でも、嫌われてるわけじゃなくてよかった。葵ちゃんがお姉ちゃん大好きっ子なのはわかってたし、部屋がないって言われたら納得しちゃう。よし、嫌われてないなら今度近くのカレー屋さんに誘おうっと。

 

 …うん? ちょっと待って?

 

蕾ちゃんが知ってるってことは、ゆかりちゃんが外で寝たのって最近…?」

…あ」

…今の話はここだけの話にしてください、絶対に本人に言わないでくださいよ」

わかった、言わない」

 

 ゆかりさん… 皆、人に言えないようなことってあるもんなのかな。それならミコトと茜ちゃんのことも探らないほうがいい、のかな…

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。