ー茜Sideー
やってまいりました、12月の22日! うちの愛しの妹、葵の恋人である紲星あかり君の誕生日! といっても、することは
でもこの日は驚きスタートやった。咲かんと思ってた花が真っ白な花を咲かせとったん。あかりの誕生日を祝っとるみたい、持っとるなぁあかりは。それから葵と2人でおにぎり作って、途中でミコトさんから連絡来たから玄関の鍵開けて、4人でおにぎり食べて、仲良く遊び始めたん。何をしようかちょっとだけ悩んだんやけど、皆で協力するタイプのアクションサバイバルゲームに決めて、さぁ始めるぞって時に急に葵が部屋に行ってな? 仕方なく3人で始めたんやけど、葵は何か忘れ物でもしたんかなぁって思いながらコントローラー握ってるところが、今でございます。
「茜、危ないよ」
「んあぁ、ごめんごめん、気ぃ抜いとった」
「戻ったよ、コントローラー貰える?」
「はいよ、何しとったん?」
「別に何もしてないよ、本当に」
怪しい… でも追求なんてせんで、心当たりがあるんや。だってあかりの誕生日やで? 誕生日プレゼントの準備とか、サプライズで撃つクラッカーの準備とか、そういうことやろ。勿論、うちもええもん用意してるで。絶対喜んでくれるはずやし、今から楽しみや。
「お姉ちゃん、なに笑ってるの」
「なんでもあらへん、さぁゲームやろー!」
「おー!」
「…本当、楽しくて良いね」
「鳴花家は静かそうですもんね。琴葉家ではこれが常ですから」
「だろうね、誕生日だからってわけじゃなさそうだ」
外は快晴、家の中もそれ以上に晴れやか! 今日はまだ始まったばかり、エンジン抑えめに長く楽しむでー!
ー葵Sideー
待ちに待った、あかり君の誕生日。祝うかのように白い花が咲き、空は雲一つなく、誕生祭は最高のスタートを切った。ミコトさんも来て、皆でおにぎりを食べながら私は1つ大事なことを思い出した。あかり君に渡そうと思って用意したプレゼント、シワが付いてないかな。気になって部屋に戻って、軽くアイロンをかけた。新品だけどプレゼントだってバレないように私のクローゼットにかけてたから、心配になっちゃった。
黒いルームウェア、所々に橙のリボンが付いてて可愛いと思ったから買ったんだ。喜んでもらえるかな? なんなら、今渡して着て貰っても… いや、やめよう。今着せると皆に見せることになっちゃうからね、最初は私だけが楽しみたいし。プレゼントって言っても、自分が見たいから渡して着せるわけだからね。そういうもんでしょ?
事前に買っておいた袋に入れて、リボンで飾ってプレゼント袋の出来上がり。ベッドに置いて、駆け足でリビングに戻ってゲームに混ぜてもらう。さぁ楽しもう、プレゼントを用意してたってバレないようにしないとね。あかり君は鈍いし大丈夫だろうけどさ。
それから少し遊んでいると、ゆかりちゃんがやってきた。勿論だけど、ゆかりちゃんへのプレゼントも用意してあるよ。身長もスリーサイズも知らないから服は無理だったけど、趣味は知ってるからね。ゲーム用のヘッドセット、そこまで高くないやつ。親からの仕送りで生活してる以上、そんなに高いの買う余裕はないから。バイトも長期休みの時にちょろっとする程度だし… バイトするよりあかり君と遊びたいし…
「そうだ葵ちゃん、部屋に荷物を置かせてもらっていいですか?」
「いいよ、ベッドには置かないでね」
「わかりました、奥の方に置いてきますね」
「今のうちにトイレ行っとくかー」
「お茶貰っていいかな?」
「お茶くらい聞かずに飲んでいいですよ、ジュースも聞かないで飲んでいいです」
「いや、どこにあるかわからないから教えてほしくて」
「あぁ、普通に冷蔵庫に入ってますよ。開けてすぐ右です」
「ありがとう、助かったよ」
「あれ、ここにお菓子なかったっけ?」
「お姉ちゃんが食べたからないよ」
「そう、なんですね…」
ゆかりちゃんが置きに行った荷物って、多分あかり君へのプレゼントだよね。ゆかりちゃんに渡すプレゼントも部屋に置いてるけど、見られないといいなぁ。ゆかりちゃんはもし見つけちゃっても見なかったふりをしてくれるって信じてるけどね。いい子だから、私より。私もお姉ちゃんよりはいい子だけどね?
ー茜Sideー
「はっくしゅ!」
なんや、誰がうちのことを噂して… あかりか葵かミコトさんやろな。遊んでる最中なんやからうちのことを話しとってもおかしないもんなぁ、うちって話題の中心になりがちやし。トイレも済んだし、戻るかぁ。
「…もうすぐ出来るからお皿出して」
「ありがとう葵」
「誕生日じゃなくても言ってくれたら作るから、気軽に言って」
「なんか作っとんの?」
「卵焼き、お姉ちゃんにはあげないよ」
「そんなに食い意地はっとらんよ」
「うそつき」
嘘なんてついとらんよ〜? なにか怒らせてもうたんかな、声がちょっと怖い。威圧的な感じで嫌やなぁ、多分うちが悪いんやけどさ。ま、あかりとミコトさんに何か言われとるわけではないし大丈夫やろ。本当にまずかったらあの2人が冷たい目で見ながら遠回しに罵ってくるし。葵は軽いことでも怒るからなぁ、血が繋がっとるから躊躇わずに怒れるんかもしれんけど。
「戻りました、続きやりましょう」
「待ってたよ、少し作戦を考えたから聞いてもらえるかな?」
「ほぅ、なんでしょう?」
「まぁまぁ、落ち着いて聞いてくれよ」
「おじゃましまーす!」
おっと、ヒメさんがご来場や。まだ9時にもなっとらんけど、皆して早いなぁ。何なら、少し遅れるかもってヒメさんは行っとったはずやのに。皆して気が急いとるんやろな。ようわかる、うちも遊びたくてしゃーないもん。
ー葵Sideー
皆、あかり君の誕生日が祝いたくて思いが身体を突き動かしてるんだろうね。人によっては用事があったり面倒だったりするかもだから、何時から遊ぶか事前に決めなかったのに朝から集合だなんてね。
それから私達は、揉めることもなく楽しい時間を過ごした。友達の誕生日パーティーで揉めることはないか、私達じゃなくたって。あかり君の隣もキープし続けられたし、本当に楽しかった。お昼には喫茶マキに皆で行って、事前に頼んでおいたラザニア祭り。いつもと同じ味なのに、前食べた時よりも美味しく感じるのはなぜなのか。皆、好きも嫌いも違うのに今だけは同じだったと思う。あかり君のために多めに頼んだのに、私も食べ過ぎちゃったよ。
その後は家に戻ってまた遊んだ。6人で一緒に出来るゲームって多くはないけど、ヒメさんが色々と持ってきてくれたんだ。友情破壊ゲームと揶揄されるようなボードゲームだって、今日だけは笑顔でやれたよ。まぁ、あかり君とゆかりちゃんが勝てるように手を抜いたりとかはできないんだけどさ。運だからね、所詮。それに勝ちたいし。
「…もう結構な時間だね、外も暗くなってきた。ヒメ、そろそろ取りに行く?」
「! そうだね、ちょっと取りに行ってくる! 1時間もせずに戻るから、楽しみに待ってて!」
「私も行く、待っては… くれないか。それじゃあ、私も少しの間失礼するね」
「は〜い、待ってますねー!」
「…ゆかりちゃん、何取りに行ったか知ってる?」
「秘密です、後でわかりますよ」
知ってるんだね… なんだろうか、突然いなくなったから気になる。普段なら迷わず追いかけるけど、今は行けないな… 仕方ない、楽しみに待たせてもらうとしようかな。
ー茜Sideー
なんや、なんでミコトさんとヒメさんは家を出てったんや。取りに行く… あ、あかりとゆかりさんへのプレゼントか! もう6時やし、そんな時間やな。ようし、うちもそろそろディナーを作るかぁ! ラザニアもお腹から居なくなってきたところやし、腕によりをかけてかけてかけまくるでー!
「料理作るね、3人で仲良く遊んでて」
「うちも作る!」
「…いや、大丈夫。私が1人で作る」
「なんでーや、うちにも作らせてや」
「私もやりましょうか?」
「誕生日の人は座ってて」
「キッチンに入るんやないで、2人共」
「あ、はい、わかりました…」
人が多くてしかも大切な日、料理人として1番気合いも入るし楽しいやんか! うちの料理で皆が笑顔になってるところも見たい、絶対に作りたい。でも葵はうちに包丁にすら触れさせる気はなさそうやな… 先にキッチンに入られてもうたし、秘策を使うしかあらへんか…
ー葵Sideー
あかり君と恋人になってから初めての誕生日なんだ、絶対に私の料理で満たしてあげないと… お姉ちゃんも作りたそうにしてるけど、私が先に作るって言ったからね。早いもの勝ちだよ、私が作る。
「なぁ葵、2人で一緒に料理せーへん?」
「私1人で大丈夫だよ」
「…うちも料理したいねん。あんな、あの2人に聞かれへんように小さな声で言うんやけどな? うちにも作らせてくれたら、今度あかりを1日あげるで」
「そんな権利ないでしょお姉ちゃん」
「任せてーな、それに小さな声で返事したってことは興味あるんやろ? なぁ、料理させてくれへん?」
「…いいよ、一緒に作ろう」
…下心なんてないよ? お姉ちゃんが作りたがってるから、一緒に作ろうっていう妹の優しさだよ?