個性把握テストも終わった翌日から授業が始まった。
ヒーロー科の午前の授業は主に必修科目。通常の高校や普通科と同様、英語などの科目の授業が行われている。
「じゃ、この英文の内間違っているのは?」
(((普通だ……)))
(関係詞の場所が違うから……4番!)
(クソつまんね)
「Everybudy hands up!もっと盛り上がれ!」
お昼休憩はクックヒーローランチラッシュのお昼を食べれるのだがとある生徒が来たことで一変した。
「次のハンバーグできたか!?」
「いえ、まだ焼いています!!」
「こっちの野菜炒めはあと少しです!!」
「ランチラッシュさん!!にんじんがそろそろ底を尽きそうです!!」
いつもなら余裕がありながら料理をして提供するのだがヒーロー科一年A組十六夜蓮が来たことで変わってしまった。
「おいしー!!」
A組全員で食事していたのだが十六夜蓮の周りに積み上げられた皿を見て呆然としていた。あの爆豪でさえ引いていた。
「このにんじんハンバーグもおいしー!!」
(((その体のどこに入っているんだ!?)))
「い、十六夜君、まだ食べるのかい?」
「ん?ズルルルルングッ」
ラーメンを食べていた蓮は皿にあった麺を吸い上げ噛まずに飲み込んだ。
「ちゃんと噛めよ……」
思わず轟がツッコミした。
「うーんまだ食べるよ!」
その声にランチラッシュとシェフ達が戦慄した。
(ま、まだ食べるのか!?)
「あの十六夜さんもうすぐ授業だしそろそろストップしたほうが良いかもしれないよ」
緑谷がランチラッシュの慌て様を見てストップをかけた。
「あ、本当だ。まだ六割ぐらいなんだけどなー」
(((あれで半分ちょっとだと!?)))
積み上げられた皿は120枚程、これからあの生徒が来るということに涙を流しているランチラッシュがいた。
午後、ヒーロー科の授業のヒーロー基礎学が始まった。
「わーたーしーがー!!」
「普通にドアから来た!!!!」
「ほ、本当にオールマイトだ……!!すげぇや本当に先生やってるんだな!!」
「画風違いすぎて鳥肌が……!!」
あ、あれは!!シルバーエイジのコスチューム!!??
多くの生徒がオールマイトに目を輝かせた。
「私が担当するのはヒーロー基礎学。ヒーローの基礎を作るため、様々な訓練を行う科目だ。単位数も最も多いぞ」
ヒーローの基礎を学べるということで多くの生徒が気合を入れた。
「早速だが、今日はコレ!戦闘訓練!」
「戦闘!」
「訓練!?」
最初の授業から戦えるということで爆豪や切島等が喜んでいた。
「そしてソイツに伴ってェ…こちら!」
オールマイトが壁を指すと全員のコスチュームが入ったアタッシュケースが出てきた。
「入学前に送ってもらった個性届と要望に沿って誂えたコスチューム!着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!」
「恰好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!! 自覚するのだ!! 今日から自分は…ヒーローなんだと!!」
蓮のコスチュームは赤と黒が混じった法被の様なコスチュームだ。下はスカートだがスパッツを履いているので大丈夫だ。
「始めようか有精卵供!戦闘訓練のお時間だ!」
「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」
飯田がオールマイトに質問してきた。
「いいや、もう二歩先に踏み込む!屋内での対人戦闘訓練さ!!ヴィラン退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪ヴィランの出現率は高いんだ。監禁・軟禁・裏商売……このヒーロー飽和社会。真に小賢しいヴィランは屋内にひそむ!君らにはこれから『ヴィラン組』と『ヒーロー組』に分かれて、2対2の屋内戦を行ってもらう!」
屋内戦闘ということは建物の被害を出さないように戦わないといけない。蓮はパワーの調整しないと建物自体を破壊しかねないと思った。
「基礎訓練もなしに……?」
「基礎を知るための実戦さ!ただし、今回はぶっ壊せばOKなロボじゃないのもミソさ」
「勝敗のシステムはどうなりますか?」
「ぶっ飛ばしてもイイんすか?」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」
「チームとはどのように分かれるんでしょうか?」
「このマントヤバくない?」
「ンンンン~聖徳太子ィィィ!」
個性『ネビルレーザー』を持つ青山優雅のみ関係ない質問していた。
オールマイトはカンペを取り出してルール説明をした。
・ヴィランチームは建物のどこかに核兵器(ハリボテ)を隠し制限時間いないに守り切れば勝利
・ヒーローチームはヴィランを全員捕まえるか核兵器を回収(触れる)すれば勝利
・破壊行為をしすぎるとストップが入る
・チーム分けはくじ引き
・青山君のマントは輝いている
「チーム分けはクジなのですか!」
「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いし、そういう事を見据えてじゃないかな……」
「そうか…! 先を見据えた計らい…気がつかずに申し訳ありませんでした!!」
チーム分けは以下の様になった。
緑谷・麗日 VS 爆豪・飯田
十六夜・葉隠 VS 轟・障子
峰田・八百万 VS 常闇・蛙吹
尾白・口田 VS 耳郎・上鳴
瀬呂・切島 VS 青山・芦戸
「頑張ろうね透ちゃん!」
「うん頑張ろー!」
透明人間の葉隠になった。
そして始まった一戦目だが、爆豪が緑谷ペアに奇襲をし緑谷と戦った。
フルカウルを駆使し爆豪と互角の戦いをしたが爆豪の爆破を利用しハリボテの前まで壁を破壊して上昇した。上昇した際の小石などを飯田に無重力で軽くした柱で投げ飛ばした。怯んだすきに麗日が回収した。
そして、蓮と葉隠がヴィランチームになり核兵器の設置を行った。
「よいしょ、ここでいいかな蓮ちゃん?」
「あ、うん、いいけど……ねぇ透ちゃんもしかしてコスチュームってそのブーツと手袋だけ?」
「え?うん」
「(や、やっぱり……)」
蓮は気を通して葉隠の姿がはっきり見ていた。尚、顔もばっちり見えていた。
「……もしかして緑谷君も?」
「え、なに?」
「あのね透ちゃん、あたし気を通して多分全部見えてる。出久君も……」
「え、嘘!?私が裸ってことも!?」
「うん」
「あ~だから緑谷君あんなに顔真っ赤だったのか」
「と、とりあえずお互いの個性を教えよう!あたしは馬のことなら大抵のことはできるよ。嗅覚と聴覚も優れている。スタミナとパワーも常人以上。後は気が使えるかな。昨日話していた索敵もできるよ」
「おー索敵と戦闘が同時に使えるのスゴ!私は透明人間で手袋とブーツも脱げばほぼ見えないよ!」
「ありがとう!相手の個性は確か目蔵君が手をいっぱい作ってた」
「轟君は氷を出していたね」
2人は個性把握テストでのことを思い出していた。
「あ、でも障子君、手以外に口と目も作っていたよ!」
「てことは、もしかしたら索敵ができるかもね……」
「ならここで迎えたほうがいいかもしれないね」
「わかった!」
『それでは…屋内戦闘訓練…!開始!!』
「始まったね!緊張する……」
「大丈夫だよ……ん?」
なんだろうこの感じ……なにか……冷たい……まさか冷気!?
「葉隠さん捕まって!!」
「え?キャ!」
蓮は構わず葉隠を抱え宙に浮いた。既に足元には氷が張っていた。
「あっぶなーあれ当たってたら私ダウンだったかも……」
「すごい強力な個性だ……ビル全体が凍っている」
コスチュームを纏っていない葉隠はいるだけで体力が奪われていた。
「さっぶー……」
「葉隠さん手を」
「え?」
蓮は葉隠の手を掴むと気を送った。
「うぉ!温かくなった!」
「一時的だけど寒さに耐性がついたよ」
「ありがとう!」
「いえ……焦凍君と目蔵君一緒に行動している。真っすぐこっちに来ている」
「やっぱ凍ってないか……」
「うん、冷気を感じたから避けれたよ」
蓮は部屋から出て轟と障子を相手しようとした。
「じゃもう一度するだけだ!」
轟の右足から氷を繰り出した。蓮は左前に飛び出した。
「手数では俺が上だ!」
「でもスピードはあたしが上だよ!!」
左前に出て障子の前に出た。
「ヌン!!」
個性『複製腕』で耳だった腕を手にして蓮の体めがけて殴り掛かったが
「な!?」
腕が蓮をすり抜けてしまった。
「奴はいまどこに!?」
「!轟近くに葉隠がいる!!」
「障子一旦こっちに来い!」
障子が轟の側に来て周りを氷で覆いつくした。
「いったん離脱だ!」
氷の壁を張りこちらに来れないようにした。
「あいつのスピード……まさか残像を作る程速いのか」
「まだ、近くにいる……この氷の反対にいる」
ビシィ
「この音は……」
何かが割れている音がした。この状況じゃ一つしかない。
「マジかよ。あいつ氷壁を破壊する気か!!」
「正解だよ!!」
氷壁を破壊し突っ込んできた蓮は轟の左側に向かった。
「(やっぱり焦凍君、左から氷が出ないんだ!)」
「チッ!(左側に立たれた!?俺の氷が左から出せないのを見つけたのか!?)」
「轟!!」
左側に立たれたのをカバーするように障子が左腕全てで蓮を叩き出そうとするが
「ビクともしないだと!?」
「その一瞬が命取り!」
蓮は頭を下に下げて障子の足を払った。
体が一瞬で浮いた瞬間に障子の背中から天井に向けて蹴り上げた。
「グハッ!?」
天井にぶつかったことで障子は気絶した。
「ッ!(まずい、障子がいなくなった。葉隠がどこから出てくるのか分からなくなっちまった……)」
「さぁどうするヒーロー!まだ、あたしの仲間が周りにいるよ!」
「お前を捕まえて核兵器を回収する、それだけだ!」
氷撃を繰り出すも今度は気弾で破壊された。
「今だよ!葉隠さん!」
「な!?」
突然首元を捕まれ後ろに引っ張られたことにより体勢が崩れた。
「轟君確保!!」
『……勝負アリ!! ヴィランチーム WINっ!!』
「いつから葉隠がいたんだ?」
「障子君が気絶したあたりで近づいたよ!轟君が警戒していたけど」
「あたしをもっと警戒させるようにしたの!」
「俺の警戒心を使ったのか……」
「うん、それに右側しか氷を出していないこともかなり最初でわかったよ。ビル全体を凍らせたのも右腕から、あたしに攻撃するときも右足だったから!危なかったのは左側から氷がでなくて「左は使わねぇ!!」!?」
「ど、どうした!?轟君!?」
「あ、いや……すまねぇ、急に大声出して」
「いいよ気にしないで。でも左使えるのになんで使わないの?」
「親父の……エンデヴァーの力は絶対に使わねぇで一番になる。俺の今の目標だ」
エンデヴァーは確かNo2ヒーローでヘルフレイムという炎の個性だ。親父の個性ということは炎の個性が使えるのだろう。
轟の目は何か憎悪みたいのもを宿しながら左は絶対に使わないという意思がみえた。
「……ねぇ焦凍君。一つ質問ね」
「なんだ?」
「もし、周りが氷で一般人が助けを求めていても炎は使わないの?」
「え……俺は右で助け「本当に言っているの?」な!?」
「確かに右の氷の個性は強いけど炎の個性で早く助けれる人もいるんだよ。それなのに右だけで助ける?ヒーローってのは持てるものすべてを使って命懸けで誰かを助ける仕事だよ!右だけじゃ絶対に「お前になにがわかる!?」……」
「俺はお母さんの力だけで……」
「……焦凍君、君のその力はもう君の力だよ!元がエンデヴァーのものでも、それは焦凍君自身の個性だ!右だけでヒーローになる?バカなこと言わないでよ!!」
「それもで…俺は……」
「ここにいる全員が自分が考えているヒーローを目指しているんだよ!!焦凍君にもあったはずだよ自分が考えていたヒーロー像!全力で目指しなよ!!」
「……おまえなんでそんなに……」
「あたしが知っているヒーローは言ってたんだ。”余計なお世話こそヒーローの本質”だって。それにあたし、困っている人を見逃せない”お助け大将”だから!!」
「さて、障子少年以外大した怪我がなし!」
全員の対人戦闘が終わった。
「みんな凄い戦いしていたぜ!!それじゃみんな着替えて教室に戻るように!戻ったらみんなの個性を話し合うのもいいかもしれないぞ!!」
みんなが更衣室に向かっていると轟が蓮を止めた。
「さっきは、諭してくれて助かった。少し忘れちまっていた。なりたいヒーロー像を。俺も全力で目指すよ、ヒーローに」
「……よかった、頑張ろうね焦凍君!」
教室では爆豪、緑谷以外が反省会をしていた。
「あれ、出久君は?」
「爆豪追いかけていったぞ」
勝己君を?
耳に集中すると「人から授かった個性なんだ!」……
なに言ってんの!?あ、でもオールマイトのことは言ってないしセーフなのかな?近くにオールマイトの気も感じるし。
「それにしても緑谷も十六夜もすげぇよ!」
「私も一緒にいたけどすごいパワーだったよ!」
「あの残像には驚かされた……」
「……えへへ!って目蔵君もう大丈夫なの!?」
「あぁ、気絶だけだからな。リカバリーガールに軽い治癒されたぐらいだ」
思いっきり天井に蹴り上げたのにアレ無事だったのか……
「にしても蓮の個性は派手だよな」
「パワーにスピード、おまけに索敵もできるなんてすげぇよな」
またもこの日大量の質問攻めになり疲れながら帰るのだった。