この小説は疑いようのないフィクションです。
当然ですが。
小説投稿は初めてになりますが、
読む側だった妖怪として
少なくはない語彙を
頑張って生かすつもりです。
私なりに一話ずつ、
丁寧に完成させていくつもりなので
読んで主人公にシンクロしてもらえると
いいなぁと、けっこう思っています。
あなたに合ったら楽しんでください。
※注意です。
ちなみに転生の描写は結構痛そうですが、
主人公ですし仕方ないと思ってます。
可能な限り鬱な描写を排除します。
実装されているウマ娘ちゃんは、
ストーリーはゲーム≧アニメ、
そしてレースの勝敗は史実を基準に書きます。
怪我は重くても必ず治ります。
作者が治します。
お願いだからみんな無事でいて…
前置きが長くなりました。
こんなに長いと校長先生になってしまいます。
主人公は、
私たちと同じくゲームが好き。
そして人嫌いだった人物。
表面上は普通を取り繕っていますし
心から善人になる努力も頑張っていますが、
『自分のせい』と大小いくつかの後悔を抱えています。
そんな主人公がウマ娘に転生したら
どう生きて、どう変わっていくのか。
彼女とともに風を感じてくれると嬉しいです。
では、本編をどうぞ。
一日疲れたなぁ。
私は今日もまたそう思いながら、
すっかりと日の落ちた街で大きな道路脇の歩道を
足元の光と闇を交互に踏みながら歩いていた。
前方の遠くから3人の笑い声が近付いてくる。
集まった人間は正直苦手だ。
目的が分からなければ関わりたくない。
そもそも私には推しのいるゲーム『ウマ娘』があり、
変なトラブルに巻き込まれて、時間を費やしたくない。
考えながら歩いている間に3人との距離は近くなったので、
普段は使うこともない、近くの地下通路に踏み出した。
その瞬間、目の前の蛍光灯が眩しいほど光ったように見えた。
後ろから、聞きなれているが、いつもよりはるかに大きな轟音。
私は蹴った空き缶のように吹き飛ばされ、
転がって、階段の下で止まった。
息ができない。前が見えない。耳は中でキーンと鳴って聞こえない。
このまま、死んでしまうのかな。
まだまだ元気な両親や、少ないけれど大切な友人たち…
悲しませてしまうのは嫌だ。帰らなきゃ…
見えない前に手を伸ばしたが
何にも触れることはなく、冷たいタイルに落ちた。
そして、瞼が、無慈悲に光を奪った。
瞼や体が急に軽くなり、起き上がると、
心地よい風の抜ける、草原だった。
「目が覚めたんですね。」
女性らしい声がしたほうを見ると、
長い黒髪で顔が口元以外隠れている、不思議な姿の人物がいた。
巫女のような白と赤の服装に、金の柄や装飾がついている。
どう見ても医者ではない。
「…どなたですか?」
苦しさの消えていた喉で真っ先に聞いた。
不思議な人物は、『やっぱり』という顔をして答えた。
「私は、あなた方でいう女神、というのが近いでしょうか」
女神様らしい。信じがたいが、状況からして本当だろう。
先程の苦痛を思い出し、じわっと全身が痛んだ気がした。
「女神様。私は…死んだんですか?」
「いいえ、まだ死に切ってはいませんでした。
体も修復されていますよ。」
他人事のような言い方で女神は即答した。
人間と神の概念の違いだろうか。
だがしかし、それならなお疑問だ。
「なら、なぜ私はここに?」
「それは、あなたが善人を目指して
小さな善行を積み続けたから。
そして、憧れる姿を明確に見つけたからです。」
女神様がそう言いながら別の方向に顔を向けた。
そのかなり先に小さく、しかし速く動く存在が見える。
私は目がそんなに良くなかったはずなのに、
驚くほど鮮明に映ったそれは、走る少女だった。
それもただの少女ではない。
ヒトではないとわかる、頭の上の長い耳。
束ねられているように風になびく尻尾。
その特徴は、忘れたことはない。『ウマ娘』そのものだ。
「あなたは、ウマ娘に転生することになりました。」
衝撃的な一言が飛んできた。。
確かに、友情や真剣勝負に憧れはあった。
純粋さがうらやましいとも思った。
自分がそうなれるとしたら嬉しいことだ。
しかし今、自分にはそれよりも遥かに大事で心配なことがある。
「でも、女神様。私には、家族や友人がいます。
私がこのまま転生して、死んだら、
そのみんなにきっとつらい思いをさせます。
悲しませたくはないです」
私がそういうと、女神様の口はにっこりと笑った。
「だから優しい善人を目指すあなたを選んだのです。
大丈夫、あなたの魂は二つに分かれ、
片方は元の世界に帰りました。
なのであなたがいた世界のことは、心配いりませんよ。」
何が大丈夫なのかわからないが、
すでに私は帰れず、転生するしかないようだ。
ひどい追い込みだ。ひとでなし。などと正直思った。
ヒトじゃないが。
女神様は親切心のつもりだろうか。
わからない。純粋に見える笑顔が怖い。
「それでは、行ってらっしゃいませ」
突然足元が液体になり、飲み込まれた。
私の体は静かな紺色の深淵へ、緩やかに沈んでいった。
心残りの彼らに、また、会えるだろうか。
紺へ溶けて消えてしまう視界の中、
確かに私は涙を流したのだった。
また誰かの夢だ。
物心つく頃からずっと、半年に一度見る。
やたら重みのあるそれは確かに私の中に混ざって、
どちらが正しい自分なのかもわからなくなってきた。
──あまりにも現実的だから。
前世の記憶。
最近読んだマンガに、そんな言葉があった気がする。
マンガみたいに人格を丸々受け継いではいないけれど、
その言葉が何というかピッタリとハマっている。
そんなことを考えながらまた流れていた涙を拭き、
カーテンの隙間からの光で
金に輝く髪を見つめていると、
朝ごはんの皿が並ぶ音が聞こえた。
いつも通り、隣の部屋の寝坊助な妹の元へ。
金色の毛を持つ妹の寝顔はとても可愛いと思っているが、
「朝ごはんだよ」と揺らして起こす。
それから、美味しそうな匂いのする食卓に向かうと、
そこで母が耳と尻尾を忙しなく動かして待っていた。
「おはよう、お母さん」
「おは…よぉ…」
「おはよ!今日は小学校の参観日でしょ?
絶対行くからね!美味しいご飯食べて、頑張っていきなさい!」
にんじんハンバーグを作ってくれていた。
妹もそれを見てすぐに目が覚めた。
私も妹も、母の作るにんじんハンバーグが大好きだ。
二人ですぐに食べきってしまったが、
母はいつも「たくさん食べて大きくなるんだよ」
と言って笑ってくれる。
そして二人で、髪をとかして、歯を磨いて、
顔を洗って、服を着替えて、準備万端。
忘れ物もナシ。
「ライト、ラッキー、いってらっしゃい!」
戻れない過去を吹き飛ばすような背中を押す母の声の後に、
今日も玄関のゲートは開かれる。
ウマ娘班の誰より速く、私たちが登校するのだ。
「「いってきます!」」
私の今の名前は『プラスライト』。小学3年生。
ひとつ下の妹の名前は『プラスラッキー』。
姉妹で光と幸運を与える…らしい。
2人揃って金の毛で、
本当に、名前の通りになれる気がした。
そんな私たちは、尻尾を揺らしながら
今日も街の朝へ踏み込んでいく。
更新頻度は予定では3週間くらいに1回、
土曜の昼に一話追加と遅めですが、
見合うクオリティに頑張ろうと思っています。
ちなみにファン数(いいね)でやる気とやる気効果がアップします。
更新頻度も多分変わります。
作者は夢だけでなく欲望も大事にしています。