更新が大変遅れ申し訳ない。
反省しています。
被災はしていませんが、
色々とやることで追われていました。
少額ですが150円ほど募金してきました。
前回の話の続き。
ゲームするナイトを見守るライト。
その時間はまるで普通のようで、
でも何より大切なことを知っている。
……追記ですが。
文字数が…超、多くなりました。
今までで突出して1番です。
おそらくかなり読みにくくなっています。
また、某ゲームのオマージュが
多分に含まれています。
読む時は、
覚悟の準備をしておいてください。
…それでは、どうぞ。
銀色の板の真ん中に
ガラスの窓が縦に並んだ、
シンプルな家の扉をナイトが開けると、
ナイトのお母さんが出迎えてくれた。
「ただいまー」
「おかえり〜」
「お邪魔します!」
「ようこそ〜ゆっくりしていってね。」
ナイトのお母さんは
のんびりした印象でナイトとは対照的だが、
親子の仲はとても良い。
『犬神』も別のデータで
時々プレイしているらしく、
盛り上がることも多いそうだ。
そういう話を聞くと、
家族でゲームを共有するのが
少し羨ましくなる。
私の父はそもそも家にいないことが多いし、
母もゲームに理解はあるけれど
プレイすることには興味がないみたいだ。
妹だけは、最近私のゲームを
興味津々と言わんばかりに覗いてくるので、
しばらく何個かクリアしたゲームを貸してあげよう。
気に入ってくれると嬉しいから。
「起動するね」
ナイトが早速、
テレビに繋がれていたゲーム機を起動する。
機械が静かに立てるウォーンという唸りが
なにか心地よい。
和風のタイトル画面と和楽器のBGM、
エコーの掛かったタイトルコール。
何度聞いても不思議と落ち着く。
『犬神』の大まかなストーリーは、
力が弱まってしまった犬の神様が
案内役でお喋りな相棒の一寸法師と旅をし
謎を解いたり妖怪を退治しながら
失った力、信仰心、平和を取り戻す物語だ。
ちなみに犬の神様は喋れないため、
喋るのは一寸法師や他のキャラである。
「速駆丸と競争で行き詰まっちゃった。
トゲ車輪?の道が難しくて…
そこまでは進んだよ。」
「慣れないと難しいから…手伝おうか?」
「おねがい、ライト」
速駆丸は鬼ヶ島の通路を
いくつも管理している門番、
速さ自慢のオオカミ妖怪だ。
主人公の神様にそっくりな姿をしていて、
競走に勝つことで進むことができる。
ナイトのデータが起動すると、
セーブポイントの目の前に
競走を始めるスイッチ、
そして黄色の立て札があった。
『コノ先 刺ス車輪の廊下』
その先はトゲの付いた車輪が
何箇所も左右の壁からせり出し動いている
明らかに危険な短い廊下で、
ギリギリの隙間を突いて
速駆丸より速く通らなければいけない。
こんな通りづらく危険な場所を
通ろうとする者なんて、
果たして主人公以外に存在するのだろうか。
実際にかなりの難所で、
私も毎回苦戦する。
速駆丸と一寸法師が話し出す。
『ココマデデスカイ?旦那ァ。
ソンナコトハネェハズダ。
ミセテクダセェ、最高ノ旦那ヲ!』
『あたりめェよ!
さっさと始めンぞ!!』
速駆丸は、
スピード勝負にはアツイ奴だが
競える相手は主人公が来るまで
誰もいなかったらしい。
出会いから変わっていく素直な言葉からは
競える相手のいる嬉しさも伺える。
…ウマ娘に繋がる運命的なものを感じる。
ナイトは普段は冷静に見えるけれど、
2人の時は意外と弱音を吐く。
そんな親友に頼りにされる時、
私はすごく嬉しくなってしまうのだ。
だから、もちろん今回も。
「わかった。…見ててねっ!」
ゲームの中で助走を付けてから
仕掛けのスイッチを起動し、
車輪の動きをよく見て、
合わせて隙間を狙い飛び込む!
『ヴァウッ!』
『ヴァウッ!』
…ダメージを受けたボイスが2回。
キャラが仰け反ってタイムロスも2回。
経験者としてカッコつけたものの、
なんとかギリギリという攻略だった。
…詰めが甘い、という自覚はある。
「さすがライトだね」
「もっとカッコよくクリアしたかった…」
「ふふっ」
ナイトは笑って
さっきよりへにょへにょになった私から
操作を交代すると、
とても丁寧に仕掛けを試して解いていく。
判断と手際の良さは、
彼女がまだ小学生であることを
簡単に忘れさせてしまいそうだ。
ちらりと、それに向けられる顔を見る。
画面に向けられる真剣な瞳は、
吸い込まれそうなほど深く穏やかな藍と、
光に輝く、明るく鮮やかな水色。
空のようで海のようなその不思議な目は、
綺麗な瑠璃色の髪と合い、
どこでもよく映えて美しい。
「ライト、ボスまでは
あとどのくらいあるかな?」
「あ、えーと…もう少し!
次の速駆丸が終わったら
すぐボスだよ!
最後だけど難易度は低いから!」
「わかった」
こちらを少しだけ振り向いて訊き、
またゲームの操作に戻る彼女も、
外よりずっと不器用で心地よい。
私があれこれ考えているうちに、
ナイトが最後の競走の場所まで辿り着き、
速駆丸と一寸法師が会話を始めた。
『ココマデキタンデスネ、旦那。
…アッシ、旦那ト競ウノ、
楽シクテ、嬉シカッタッス。
旦那ハ、ドウデシタ?』
『何だよその…もう終わりで、
すぐ消えちまいそうな言い方はよォ?』
『…アッシハ、門番。ソシテ元ハ道具ダ。
門番トシテ旦那ヲ通シチマッタラ、
アッシハ用済ミ。消エル定メダ。』
『……お前…』
『サァ、漢ト漢ノ、最後ノ真剣勝負。
アッシハ、悔イヲ残サナイ勝負ヲ、
今コレカラ、旦那トシタインデサァ。』
『…最後に見せつけてやろうぜワン公!
速駆丸が最後に競った相手は
最強最速だったってなァ!』
…また私は涙が出そうだ。
真剣勝負を通じて絆が芽生えても
共に居続けられない運命だとしても、
だからこそ、最後まで全力で戦う。
…これからの私たちの進んでゆく道で、
きっと同じものに出会うだろう。
「…ライト?どうしたの…?大丈夫?」
「う、うん…」
たまたま振り返ったナイトも
なんとなく寂しそうに見えた。
いつかナイトも、
年月が経ってこのゲームを思い出したら、
きっともっと深く刺さって
一緒に泣いてくれる気がする。
「じゃあ、いくね。」
「…うん!」
ナイトの操作する犬神が、
最後の、仕掛けのない真っ直ぐな通路を
風のように駆け抜けていく。
速駆丸との距離が、わずかに開いていく。
そのまま、ゴールの扉を、
犬神が先に駆け抜けた。
『旦那。』
速駆丸の身体が、
バラバラと、付箋のような紙になって
少しずつ風に飛ばされていく。
『…アッシ、負ケチマイマシタ。
デモ、コレデ悔イナンカネェ。
最後マデ旦那ト全力デ競エタコト、
アッシノ、宝物ニナリヤシタ』
『…お前も、速かったぜェ。
今まで見た誰よりも。
そうだよなワン公?』
『ウォンッ!!』
『ソウカイ…ハハ…気持チガイイナ。
…贈レルモノナンテ持ッテネェガ、
セメテ一輪ノ花ヲ、
旦那ノ旅ニ添エサセテクダセェ。
アリガトウ、旦那ァ…』
最後の一片が床に落ちる。
そして静かに、美しい花が咲いて、
静かに散っていった。
画面が2割ぐらい涙で見えない。
『最後まで漢らしい奴だったなァ。
忘れられそうもねェけど…
ワン公、お前も絶対忘れるんじゃねェぞ。
ポアッとしてやがるからなァ』
『ウォンッ!!』
『アイツのおかげでここまで来たんだ、
サッサと鬼ヶ島のヌシを
ボッコボコにして帰ろうぜェ!』
速駆丸の覚悟を見届けて、
威勢がよくなる主人公。
ナイトはそんな主人公を、
その先、鬼ヶ島の頂上へと進ませた。
いきなり奇妙な緑色の霧が
辺り一面に立ち込めたと思いきや、
それが凝縮したように集まり、
紫に変わったと思った刹那、
いくつもの尖ったものがこちらを、
主人公を狙い、刺してきた。
霧が晴れ、その内からは
九つの筆のような太い尾を持ち、
その尾全てと顔に不気味な笑みの面を付け、
全長も15mはありそうな
大きな大きな九尾の狐が現れた。
「これが鬼ヶ島の主…!」
「そうだよ、私は見た目がかなり好き」
「わたしは…うーん、どうかな」
戦い方はシンプルで、
素早く動く相手の後ろに回って
九つの尻尾を全部壊せば勝ちだ。
攻撃頻度自体は少ないものの、
突進、引っ掻きの近距離技は速く、
尻尾は本体が気絶していても
コチラを狙って攻撃してくる。
『ヴァウッ』
「また食らった…!」
先程まで丁寧に謎を解いていたナイトだが
今度は声を出して苦戦している。
「ナイト!いけそう!?」
「がんばるっ!!」
「ぶっ倒しちゃって!」
「無理だったら、頼むねっ!」
私は声援を送る。
なんだか懐かしいような、
新しいような。
不思議な温かい気持ちに包まれた。
「3本目っ!…4本目っ!」
「いいよー!!あと半分!!」
…コレはトレーニングの掛け声みたいだ。
…まぁ、問題ないか。
「えーっと、
回復アイテム回復アイテム…」
『ヴァウッ』
「あだだっ!」
外での冷静さはどこへやら、
コロコロと変わる顔が面白い。
まだ私しか知らない、
年相応で表情豊かなこの少女は、
魅力的で、いい親友だと思う。
「よし!あと1本!」
「やっちゃえー!!」
ついに最後の尻尾が壊れ、
九尾だった狐が力尽きた。
犬神のウォーンという
勝利の高い遠吠えののち、
鬼ヶ島が崩れていく絵が流れる。
煙が不穏さを乗せて飛んでいく描写が、
まだ物語の続きを感じさせる。
「倒せたよ、ライト!!」
「バッチリ見てたよ!!
攻略おめでとう!!」
「ありがとう!!」
友達とのゲームは最高のものだって
私はよく知っている。
もちろん、今この瞬間も噛み締めて。
いつの間にか
窓から差し込んでいた光の濃い橙が、
この時間の終わりを告げる。
同時に、記憶の奥底から
薄れていた前世の1番大きな後悔を、
今更、鮮明に呼び起こす。
それは、あの日までの『友達』の記憶。
私はあの時──
…長くなってしまいましたが、
ご覧いただきありがとうございます。
今回の話は、
よくある放課後のゲームの集い。
私にとっても懐かしいものです。
…しかし、その純粋に楽しい時間に、
また影を落とす前世の記憶。
一体何があって、どう向き合って
ナイト達との繋がりに
どう生かしていくのか。
今度こそ、後悔せずに進めるのか。
しっかりと書いていきたいです。
…更新は不定期になりそうですが……
『犬神』は元ネタが有名ですし、
もはや言うまでもないと思います。
私からもここでは名前を出せませんが…
題名はもう、『ほぼ同じ』、とだけ。
スイッチ版が時々セールをしているので
まだ知らない人もオススメです。
個人的に
『人生に一度でもいいから
クリアして欲しいゲームNo.1』です。
特にとあるシーンに、
かなり似せて書いてしまいました。
思った以上にウマ娘っぽかったなと。
もし始める方は、
これから見つけてもらえると嬉しいです。