オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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サンラク視点に戻ります


メンタルは叩いて強くする

「……うっ…………」

 

窓から入る陽の光によって目が覚める。

 

周りは薄汚く入ってくる光によって舞っている埃が見える。

 

サンラクはベッドから降り自分の服装を確認する。

 

やっぱ喪服のままか……。未だにログアウト出来ないって、そろそろ深刻に考えた方がいいのかもな……。

 

サンラクは朝起きると自分の姿を確認し、現実世界に戻れたかを確認する、という事を毎日行っていた。今では習慣化し、もはや日課と言っていい。

 

…このマップに来てからどれぐらい経っただろうか…?5日?いや6日?多分一週間ぐらいか?

 

人の体って何日飲まず食わずで生きられるんだっけか?確か水が3日ぐらいで食べ物は3週間ぐらい?そんな感じだった気はするが……ダメだな…ゲーム知識はゲームで役に立っても現実では役に立たねぇ……。

 

サンラクは身体を伸ばしたり飛び跳ねたりなど異常がないか調べてみる。

 

俺の身体…つまり脳には未だに悪い影響は感じられない、か……。

 

このままゲームの中に居たら…………

 

……死ぬのか…?…

 

サンラクはそんな事が頭に過ぎり、頭を振る。

 

ダメだな。変に深刻に考えると帰って逆効果。只でさえ新マップで雑魚モンスとしかエンカせずモチベが下がってんのに更に下げてどうすんだ!!

 

ポジティブに考えようぜ!……えっと…あぁと…………

 

……あぁ、そうそう。今日はモモン達と依頼を受けるんだっけか?

 

早く冒険者ランクを上げて上の依頼を受けれるようになれば少しは強い敵とやれんだろ。

 

そうだな……。とりあえず今後の目標はランクをアダマンタイトにする!だな。

 

うん。やっぱモチベを上げるには丁度いい目標を定めることが大事だな。

 

モモン達はもう起きているのだろうか?呼びに行った方がいいか?しかし相手がまだ眠っていたら気まずいな。

 

てかアイツら付き合ってんのかな?ま、珍しい事じゃないけどとりあえず爆発してくれ。

 

部屋に行ったら2人とも裸で寝てるとかになってたr……

 

うおっ……危ねぇ危ねぇ。深淵へと落ちていく所だったぜ。

 

おのれ、ディプスロ。深淵を覗く者は深淵に覗かれているというが、俺の場合は深淵(ディプスロ)が俺を引きずり込んで深淵(ディプスロ)が覗いてくるみたいなもんだからな。

 

おっと待てや。のこのこと俺の脳に入ってきやがって、喰らえアラドヴァル!!

 

寝起きだからかそうやって意味不明な事を考えていると、勢いよくドアが開かれる。

 

「?!……」

 

「…チッ………。」

 

そこには黒髪ポニテの女が立っていた。

 

え、何?いきなり……こわっ……なんで何も言わないの?なんで舌打ちしたの?

 

……てかノックぐらいしろよ。一応年頃の青少年の部屋だぜ?女だけど。

 

そうサンラクがナーベを凝視しているとナーベが口を開く。

 

「……モモンさ…んを待たせるな、病原菌が。」

 

え、勝手に人の部屋に入ってきて第一声がそれ?もはや虫ですら無くなったんだが。

 

人を病原菌って、あれじゃん、学校でよくあるイジメじゃん。

 

シンプルに傷つくぞポニテ。なんか機嫌悪くない?いや昨日もだったけど今日は昨日より殺気が凄まじい、というか……何で?

 

何もしてないのに何で好感度がマイナスにプルスウルトラしてんの?

 

サンラクはこれがナーベの只の八つ当たりである事を知らない。

 

ナーベはまるで本当に生理的に受け付けない物を見るような顔でサンラクに付いてこいと言う。

 

サンラクはそれに従ってナーベの後を追う。

 

まじで傷つくぞ。本当に。いくらクソゲーでメンタルを鍛えて来たといっても、異性の相手にこうも馬の糞を見るような顔をされると流石の俺も夜通し泣ける。

 

しかし、そんな俺をわざわざ迎えに来てくれたということはモモンに頼まれたか、実はツンデレ説。

 

俺は後者を推したいね。

 

ということで俺はポニテに確かめるべく聞く。

 

「わざわざ私を迎えに来てくれたんですか?」

 

俺は満面の笑みで言う。

 

そして答えは……

 

「……死ね。」

 

……前者だったらしい。

 

そしてナーベの辛辣な言葉は俺のメンタルへとクリティカルヒット。

 

拝啓、お母さんお父さん……。俺はもうダメみたいです。部屋にあるゲーム達はどうか捨てないでください。部屋にルアーが飾られたり温室の昆虫ハウスになるのは御免です。マネキンも許しません。

 

サンラクが遠い目で歩いていると、どうやら1階に着いたらしく目の前のテーブルには全身黒鎧の大男が座っていた。

 

「おはようミラク。昨日はよく眠れたか?」

 

モモンが言う。

 

「おはようございます。はい、お陰様で。」

 

昨日はよく眠れたが今日はよく眠れないかもな……

 

俺はポニテを一瞥して気持ち半泣きになる。

 

「……ナーベがまた何か言ったのか?」

 

俺のそんな様子に気付いたのかモモンが問う。

 

別にチクってもいいが…ここでチクるとまた好感度が下がる。なのでここは大人の対応を取る。

 

「イエイエ、トクニナニモ…!えっと……こちらこそ待たせてしまってすいません……!」 

 

「……大丈夫だ。私達もさっき起きた所だ。朝食は食べたか?」

 

「いえ、まだです。」

 

「そうか…朝食は既に頼んでおいた。朝食を食べたらギルドへと向かうとしよう。」

 

「ありがとうございます。モモンさん達は食べないんですか?」

 

「ん?……あぁ、私達は既に食べた。気にするな。」

 

つまりさっき起きたってのは嘘かな?少し寝すぎてしまったか?だとしたら申し訳ない。

 

もしかしてポニテもそれで怒ってたのか?

 

ゲームだけど普通に寝れるし目覚ましも無いから結構長く寝ちゃうんだよなぁ……昔の奴らはどうしてたんだろうか?まさか定番の鶏の鳴き声で起こされるなんて事はないだろうし。

 

ま、いいか。今度から気を付けよ。

 

よし。朝から色々俺のメンタルに堪える所があったが、切り替えていこぉや!

 

サンラクは席につき運ばれた食事を食べ、そして3人は冒険者ギルドへと向かった。

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