オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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必殺、裏切り天誅!!

「……動いたな……」

 

そう言った男は林の向こうへと弓を向ける。

 

そしてその方角から待っていたと言わんばかりにゾロゾロと出てくるモンスター。一匹は黄色味がかった肌色を持つ大型のモンスター。この場所ではオーガと呼ばれるらしい。そのオーガを取り巻くように緑色の肌を持つゴブリン達。

 

いち早くモンスターの存在に気付いたルクルットは先頭のゴブリンの頭に弓を放つ。

 

見事的中して仲間のゴブリンが動揺する。その隙をペテルがつきゴブリンに一太刀。

 

へぇー、中々コンビネーションは上手いな。道中、コイツら、つまり漆黒の剣の実力を測っていたのだが……正直弱すぎると思ってしまった。

 

ゲーム始めたての初心者プレイヤーぐらいの強さだ。いや、それは言い過ぎか?もうちょっと上ぐらい?

 

そう考えているとペテルが大声を出す。

 

「モモンさん支援を……!」

 

その声で動いたのかは分からないが、モモンは後ろに背負っていた二本のグレートソードを手に持ち、オーガの首筋へと剣を振るう。

 

そしてオーガの首と胴体が血を吹き出しながら分かれる。

 

……エンカするモンスターが全員雑魚モンスばかりだからモモンとポニテの実力がイマイチ分からない。

 

モモンは見ての通り剣士系の職業だろう。雑魚モンスとの戦闘で観察してみたが動きに少し違和感を感じた。

 

何だろうな……少しぎこちない様な…モンスターの首をはねたり胴体をぶった切ったりなど、結果的には良いんだが……その過程の動きが洗練されたものでなく見様見真似で何とか動かしてるような感じがした。

 

驚いたのはポニテで、あの身なりで魔法職だったらしい。腰に剣を携えてるから剣士系かと思っていたが、どうやら魔法を主体に使うらしい。

 

今のところ魔法を使った攻撃しか見てないが、恐らく剣も使えるのだろう。

 

まぁ、魔法職は敵に近付かれると厄介だからな。近距離での戦闘を考えてっていう事なら珍しくはないだろう。

 

2人の実力的に漆黒の剣より強いのは分かるが、俺よりは多分弱い。レベル30以上……?…今のところ分かるのはそれくらいか。

 

おっと……俺だけボーッとして戦闘に参加しないのは不味いよな?

 

おれは別離れなく死を憶ふを手に持ち逃げようとしているゴブリン3体を一気に切れ伏せる。

 

相変わらず柔けぇ……別離れなく死を憶ふの効果も相まって感触、刃先があたったかどうか分かりにくいからな。一々目で確認しなきゃならん。

 

ゴブリンが絶命した事を確認そして残りの逃げようとするゴブリンへの方向へと足を踏み込み刃を向け……

 

雷撃(ライトニング)

 

俺の方向へと青白く光る稲妻が見えた。

 

うおっ!!ッ!!ッぶね!!!

 

俺は踏み込んだ足をバネのようにしてその場から後ろへと飛ぶ。

 

俺に飛んできた稲妻は俺の目の前にいたゴブリン達に当たりビリビリ!と感電したように弾ける。

 

俺は稲妻が飛んできた方向を振り向く。

 

そこには涼しい顔で佇むポニテ。

 

「あのォ!!当たりそうだったんですけど!!」

 

「チッ……外したわね…。」

 

「聞こえてますよォ!!」

 

俺はニッコニコの笑顔でポニテへと詰め寄る。

 

野郎。明らかに俺を狙って打ってきやがったぞこのポニテ。てか明らかでもないわ!完全に自分で外したって言ってたやろガイコラァ!!

 

「モモンさん……あれは大丈夫なんですか?」

 

ニニャは喧嘩するサンラクとナーベを横目にモモンへと問いかける。

 

「…………。」

 

モモンは思うのであった…。

 

何かもうめんどくさい……。

 

――――――――――――――――――――――

 

俺達はンフィーレア・バレアレという男から依頼を受けて護衛任務をこなしていた。

 

このンフィーレア…………長ぇな…パッツンでいいや。

 

パッツンはモモンを指名して護衛を頼んできた。先に漆黒の剣が誘っていたこともあり、モモンは申し訳なく思ったのか依頼を漆黒の剣と受けてもいいかと提案。そして了承され今になっている。ちなみに俺は漆黒の紐なので当然着いてきている。

 

道中モンスターとの遭遇があったものの雑魚モンスばかりであり、戦闘となる際は俺の出番がほとんど無い。

 

しかし油断してはいけない。なぜならモンスターよりも危険なやつが味方にいるからだ。いやもはや敵だろ。何で毎回俺に魔法打ってくんの?明らかに狙ってるよね?てか言質は取ったからな。

 

俺を攻撃する度、ポニテはモモンに注意されるが一向に直らず、モモンもお手上げ状態で今はもう放置されている。

 

おい待て、お前が諦めたらダメだろ。誰がポニーテールの面倒を見る!育児放棄で訴えてやっからな?

 

そんなこんなで俺達は薬草採取の為に道無き道を進んでいた。

 

「モモンさん!強そうな方だとは思っていましたが、あれほど強いとは思っていませんでした!!」

 

目をキラキラさせながら言うニニャ。

 

「きっと王国最強の剣士にも匹敵しますよ!」

 

続くように言ったのはペテル。

 

「ナーベちゃんの魔法も凄かったなぁ!ミラクちゃんも色んな意味で凄かったよ!」

 

そう言うのはルクルット。

 

「そうであるな……その大剣を扱う程の剛腕と剣技。そして、ナーベ殿の魔法を避けれる程の身のこなし。」

 

うむ、と言わんばかりに言うダイン。

 

ルクルットは少し苦笑いをしていた。

 

おい、ダー〇ィン。ポニテが俺に魔法を打ってきた事には触れてくれないのか?

 

「……やはり護衛を頼んで正解でした。」

 

馬を引きながら近寄ってきたのはンフィーレア

 

「薬草採取がてら知り合いに会うためにカルネ村に寄ろうと思っていたんですが、あなた方のお陰で無事、カルネ村へと到着出来そうです」

 

ん?カルネ村って言ったか?つまりカルネ村が目的地なのか……思ったより早く戻ってくることになったな。

 

ま、この姿じゃ俺って分からないだろうが……

 

「モモンさん達のお陰でモンスター狩りもサクサク進みそうです」

 

ペテルが言う。

 

「……しかしモンスターの数もさほど多くないみたいですね」

 

モモンが言う。 

 

「ここら辺は 森の賢者 という強大な魔獣のテリトリーなんですよ。だから他のモンスターは寄り付かない。」

 

ンフィーレアが答える。

 

森の賢者……名前からして強そうだ……雑魚モンスばっかだから会えるなら会ってみたいね。

 

サンラクはそう思ってンフィーレアに質問する。

 

「その魔獣の特徴などは分かりますか?」

 

「特徴……ですか…」

 

ンフィーレアは思い出すような仕草をして答える。

 

「そうですね……姿などはあまり明らかになって居ないのですが、人の言葉を理解し喋ることができ…魔法すら使用する恐ろしい魔獣だとか……一説では数百年の時を生きる蛇のしっぽを持つ白銀の四足獣だとか……」

 

へぇー、人の言葉を喋れんのか……まぁ、俺にとっちゃ珍しくはないが多分珍しいんだろな。

 

何より喋れるってことは知能があるって事でメタ的な事を言うと重要キャラの目印みたいなもんだ。

 

そんなこんなで日が沈んできたので、俺達は野営をする事になった。

 

――――――――――――――――――

 

パチパチと音がする。

 

俺達は簡易的な焚き火を囲み、スープができるのを待っていた。

 

「はいよ」

 

ルクルットが皿にスープを分け、各々に渡す。

 

「……やっぱモモンさんとナーベちゃんって付き合ってんの?☆」

 

チャラ男のいきなりの爆弾発言。

 

俺は思わず飲んでいたスープを吹き出しそうになる。

 

普通そういう事は聞かねぇだろ。おいチャラ男。付き合ってようが付き合ってなかろうがどっちにしろ気まづい雰囲気になるのは間違いない。

 

そう思ってポニテとモモンの方を見ると……ナーベがプルプル震えてた。

 

「な……なッ、こ、恋人っ!モモン様にはアルベド様というという方がッ!」

 

「ちょ、おまっ!」

 

ナーベのその反応にモモンが焦っている。

 

「へぇー、モモンさんには決まった相手が居るのかぁ……」

 

へぇー、ポニテとは付き合ってないが他に付き合っている相手が居るのかぁ……

 

サンラクとルクルットは同じようにニヤニヤしていた。

 

だが解せぬ。モモン…爆発する運命は変わらぬぞ?

 

「ゴホン……あまり詮索はやめてくれませんか……」

 

モモンが咳払いをして言う。

 

「このバカッ! 」

 

ポカンと優しくしかし強く、ルクルットの顔面にペテルの拳がめり込む。

 

「だってナーベちゃんが付き合ってるか知りたかったんだよ〜」

 

拳の先から力の抜けた声がした。

 

やがてめり込んでいた拳は顔から話されイテテと呟くルクルット。そしてルクルットは鼻を抑えながらサンラクに向き直り

 

「ミラクちゃんは付き合ってる人とか居ないの?☆」

 

「お前また!」

 

コイツ全然反省してやがらねぇな。

 

「イマセンヨ…^^」

 

高校男子で思春期の俺には、このカミングアウトは中々来るものがあるな。

 

「そっか……俺と付き合ってくだs!」

 

「すいません」

 

俺は脊髄反射の如くチャラ男を振る。

 

「くっ!ナーベちゃん!俺と付き合っt」

 

「消えろヤブカが」

 

おぉ〜、ナイス反応だポニテ。初めてお前と何かが通じ合えた気がするぞ。今なら幕末で即興パーティを組んでやらんこともない。ただ天は気まぐれだ。天がそう言うのだから仕方ない……裏切り天誅してやるよ。

 

そんな風に思っているとモモンが喋りだした。

 

「そういえば……皆さんは漆黒の剣というチーム名ですが、誰も黒い剣を持っていないようですが…… 」

 

「あぁ、それね……」

 

またもやニヤニヤするルクルット

 

「あれは…若気の至りです……」

 

ニニャが赤くなる。

 

「実はですね…………」

 

ペテルが説明をしてくれた。

 

どうやら漆黒の剣というのは昔いた英雄と呼ばれる人物達が使っていた4本の剣の事らしい。ニニャは英雄譚などが好きだったのか、そういうのを見つけるのが夢だったらしい。いつかその剣を見つける という目標を掲げて 漆黒の剣 にしたと……。

 

別に恥じるべきものでは無いと思うがね。誰しもが憧れを持ち、それを目標とする。そう考えたらあまり恥ずかしい事では無いように思えるが……

 

ん?……待てよ……英雄の漆黒の剣…………………

 

アラドヴァルじゃねぇか!!

 

サンラクの頭に浮かぶのは黒い刀身、高熱の炎であらゆる物を溶かす剣。

 

や、やべぇ……4本の内の一本を俺が持ってるって言ったら……気まずいな。おっけー!この事は墓まで持って言ってやるから安心しろ!!

 

そうサンラクが内心焦っていると4人が黒い剣を取り出した。

 

「ただ黒く塗った剣ですが、今はこれが俺達の 漆黒の剣 です。」

 

「いつか本物を見つけやるのさ」

 

「もちろんなのである。」

 

「ま、まぁ……いつかは絶対見つけます。」

 

4人が黒い剣を掲げる。

 

うん、めっちゃ気まずいよ。誰か話を変えてくれ。

 

「本当に皆さん仲がよろしいのですね……昔を思い出しました。」

 

おっと、ナイスだモモン。そのまま漆黒の剣の話を止めてくれ。

 

「モモンさんも昔は仲間が?……」

 

ニニャが言う

 

「はい、とても素晴らしい仲間達でした。」

 

そんなモモンはどこか寂しく、嬉しげな様子で言葉を続ける。

 

――――――――――――

 

「………………最高の友人達でした」

 

へぇ、そんな職業もあんだなぁ。全部の職業は把握してないが、中々他のゲームでも聞かないような職業もあった。新要素っていうのも考えられるな。

 

……友人達()()()ね……何か訳ありそうだな…

 

「きっといつかまた、その方々に匹敵するような仲間が出来ますよ」

 

ニニャが気を使ってかそう言う。

 

「そんな日は来ません」

 

その声は大きく、少し怒号が混じっていた。

 

場が静かになり、静寂に包まれる。

 

「……すまない、私はあちらで食べるつもりだ」

 

静寂を破ったのはモモンの声。

 

そしてモモンは焚き火から離れた場所へと行く。その後をナーベも追う。

 

「…………」

 

ニニャは静かに下を向いていた。

 

あちゃ〜、地雷だったかぁ……どうしたもんかな……

 

そして俺達は気まずい雰囲気のまま寝ることになった。




ずっと勘違いして使ってたんですが、今は真界観測眼じゃなくて永劫の眼に進化してたんですね…にわかでした…!!

今になって変な設定にしなければ良かったと後悔しています
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