オーバー×フロンティア   作:牡羊様

29 / 64
気骨が折れるとはこの事

ナザリック地下大墳墓 第十階層 玉座の間

 

壁や天井、地面までもが見とれるほどの見事な装飾が施されている。

 

壁には至高の41人でありアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバー、それぞれの紋章が飾られている。

 

そしてその最奥の玉座に鎮座するこのナザリック地下大墳墓の主。

 

モモンガもといアインズ・ウール・ゴウン。

 

アインズは冒険者モモンという肩書きで外の世界の調査、本音は息抜きで外にでていた訳だが、外で得た情報を共有するため、一度ナザリックに帰還していた。

 

帰ってきたらアルベドがあの手この手でアインズの感情抑制を誘発してきた事はもちろんの事。

 

今は他のNPC達がアルベドを沈めた事によって落ち着き、アインズもやっとのことで玉座に座って休憩をしていた。

 

…………あのカジットとかいうマジックキャスター……調べさせたらズーラーノーンとかいう秘密結社?に関係があった……。

 

死体は安置所に置いてきたが……仲間の報復と反感を買って攻めてきたりしないだろうか……?

 

いや、反感を買ったのは私達ではなく冒険者モモン、恐らくバレてはいないと思うが……いや油断は禁物だ。

 

またデミウルゴス辺りにズーラーノーンについての調査をお願いしておくか……。

 

いや、外の調査はセバス達に任しているんだったな……。案外聞いてみれば分かることもあるかも……?

 

アインズはそう考えていると玉座の間の長い通路にコツコツと鳴り響く音が聞こえる。

 

噂をすれば何とやらだな……。

 

音の方向に顔を上げると玉座へと歩いてくる3人組が見える。

 

そして玉座の前へと来ると白髪の男が跪き頭を垂れる。そして後ろにいた2人も同じようにする。

 

「セバス、シャルティア、ソリュシャン……ただいま帰還しました……。」

 

白髪の男、セバスが喋る。

 

「うむ、ご苦労だった…」 

 

そしてアインズもそれに答える。

 

「何とありがたきお言葉…………」

 

「………………。」

 

そして沈黙が流れる。

 

「………………………………。」

 

……え、これ以上何言ったらいいの?何でこんな静かなの?何か言わないとダメか?

 

分からないよ!この後の返し方とか……!どうすればいい……?そうだ適当に話を振って…………

 

「アインズ様……シャルティア様がアインズ様へと伝えたい事があると……」

 

アインズが口を開こうとしたが先にセバスが口を開いた。

 

「え、あ……うむ!聞こう。」

 

そしてシャルティアが喋り出す。

 

「あ、アインズ様…………お話をする前に…どうか私とアインズ様だけで話をする事を許してはくれないでしょうか……」

 

その声は震えていた。そしていつもの廓言葉を忘れて喋っていた。

 

アインズは首を傾げ、その申し出を許す。

 

そしてセバスとソリュシャンを外させ、玉座にはシャルティアとアインズだけしか居なくなる。

 

「……して、どうした?シャルティアよ……」

 

「は、はい!!……じ、実は…………」

 

シャルティアは話す。現地人の武技やスキルを調査する為に人間達を襲った事……そしてシャルティアのスキルである血の狂乱により理性を失い、顔を見られたまま何人かの人間を逃がした事。

 

そして喪服を着た女と対峙した事も。

 

――――――――――――――――――

 

「い、以上にだりばずッ……!」

 

話を終えた頃にはシャルティアの顔はぐしゃぐしゃになり、泣いていた。

 

…………色々ツッコミたい所もあるが……喪服の女……話を聞いている限り明らかに心当たりある人物が1人居るんだが…………

 

「あ、アインズ様ッ!!……わ、わたじはどのような罰でぼ受けまずッ!!どうが、私にばずをッ!!」

 

え、えぇ…………罰って言われても困るんだよなぁ……確かに名前を名乗って逃がしたのは不味いかもしれないけど……別に言ってしまえばそれだけだからなぁ……

 

結果的には調査も、人間をさらうこともできた訳だし……

 

でも本人は…………あの様子だと無罪放免と言ってもこの失態を引きづりそうだよなぁ…………

 

だったら適当な罰を与える方がいいか……

 

って言っても特に何も思いつかない…………

 

こういう時は……

 

「罰については後々考えよう……」

 

秘技!1度持ち帰って検討させていただきます!!

 

「しかしシャルティアよ……私はそれ程重い罰をお前に与える気は無いとだけ言っておこう。」

 

「?!……な、何故…………!」

 

「よいか、シャルティアよ。失敗など誰にもある。それこそ私にだってある……大事なのはその後だ。

 次に失敗しないようにどうすればいいのか、よく考えて、工夫する事が大事なのだ。

 その点で言えば泣きながらも正直に私に話してくれたお前は、自分がした過ちを反省していると言える。」

 

まさかこんな歳で偉そうにこんな事を言う日が来るなんてな……ちょっと台詞がクサすぎたか……?

 

アインズは内心気恥ずかしくしていると

 

「…………ア”…!アイン”ズざまぁァ!!!」

 

シャルティアは先程まで引っ込んでいた涙がまた溢れ出し、アインズの胸へと飛び込んだ。

 

「うお…?!…しゃ、シャルティア……?!」

 

「アイ”ンズ様ぁ…!…わたじの不敬をお許じぐだざいぃ……!!」

 

……………………ま、いいか……。

 

「次は反省を活かすのだぞ……。」

 

「はいぃ”……!」

 

…………そういえば話を戻すと、喪服女ってミラクだよな?多分人違いとかでも無いだろう……あんな服装居ないし殴り合いならナーベラルより強かったし……

 

アインズはシャルティアが泣き止むまで体勢をそのままにし、シャルティアの話の続きを考えていた。

 

アインズは知らない……。実は玉座の間の大きな柱の影に隠れてシャルティアとアインズの様子を鬼の形相で見ている者が居ることに…………

 

また詳しく聞くつもりだが、まさかシャルティアとやり合える程強かったとは……

 

柱で睨む鬼は次第に柱を掴む力が強くなり、バキバキと音を立てて段々と削れている。

 

これからは本腰を入れてミラクの調査や監視をした方がいいのかもしれない……一緒に過ごした感じでは特に人間性としては問題が無かったと思うが……

 

俺達の敵になるのか……それとも友好的な関係を作れるか……

 

もう限界だと言わんばかりに隠れる事を止め、柱の影から1歩踏み出す。

 

ミラクについてはNPC達に伝えておくか……要注意という事と、緊急時以外は手を出すな、と。

 

実力がまだはっきりしない以上、下手に怒りを買ってしまう事は避けたい。

 

……これぐらいかな…………ッ?!

 

え、ちょ、アルベド……?!

 

アインズが思考の海から帰ると目の前にはアルベドがおり、その顔は気味が悪いまでに青く笑っていた。

 

え……何?え?……あ、アルベド?ちょ

 

アルベドは無言のままアインズの胸へと勢いよく、そして力強く飛び込んだ。

 

「「ごふッ……」」

 

アインズとシャルティアは、自分の骨が何本か折れた様な音が聞こえた気がした。

 




この場面……口と目から血を流しながら頑張って書きました……

なんだろう……アインズパートはとてもSAN値?が削られます……!

明日も投稿します!是非見てください!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。