サンラクは最初のリス地を離れしばらく走っていた。
「最初の村発見〜!!」
恐らく村であろう場所をサンラクは発見する。
走る速度を上げて近くに行く。
近くに行くと村人であろう人の姿。
やっぱ第一印象って大事だからなぁ。ちゃんと敬意を持って接しながらも舐められないように堂々と。
「へぇい!!第一村人!早く逃げないと食っちまうぜ!!」
つまり冗談を言って場を和ませ紳士的な対応で殴り合む。喧嘩は万国共通のコミュニュケーションだしな。
そう大きな声で叫び凄まじい速度で走ってくる鳥面を被った半裸。そんな姿を見て叫ばない村人など居るはずもなく。
「えッ?!なッ、ひ、ひィィ”ィィィ”!!」
村人は腰を抜かした様子でへたり込む。
おいおいそんな化け物を見るような顔をしないでおくれ、ほれ、これ被り物だから、ね?
サンラクは鳥の覆面と鮭の覆面を高速で付けては外し付けては外す。
「ひィィィ”ィ”いぃ!!」
村人の反応が面白いのでしばらく観察していると、何やら第二村人?が村から出てきた。
「ど、どうかしたんですk…?! モンスター?!ッ!!」
2人目の村人はサンラクの姿を見た途端驚き持っていた笛を鳴らす。
ん?警笛?
その笛の音はまるで空間に響くように鳴り響く。
その音が鳴り響いたと思ったら近くの森から続々と現れる数十体の見ただけで分かる通りのゴブリン。
「我らゴブリン隊!!エンリの姉さんの為参上仕った!!」
何だ?コイツら、モンスター?エムルみたいに言葉を話せるのか?てか、恐らくゴブリン達を呼んだのであろうエンリ?って人はテイマーか?
そう思いゴブリンを呼んだ当の本人を見る。
エンリと呼ばれた人物はおどおどとして何が起きてるのか分からない様子だ。
「エンリの姉さん!ご命令を!!」
「あ、えっと…あの人から私達を守ってください!!」
ゴブリン達はその言葉で一斉にサンラクの方を向き武器を構える。
あ?やんのか己ぃ!こちとらプレイヤー最高レベルで最大最速ぞ?お?やんのか?
ま、冗談はさておき流石にこれ以上敵ムーブをしてるとカルマ値が悪に寄りかねない。せっかくの仇討人をクビになるなんてまっぴらだ。
ということでサンラクは両手を上げ覆面をとって平伏のポーズをする。
「オレ、テキジャナイ。オマエラクワナイ。オーケー…?」
エンリ達はそんなサンラクの様子に一瞬、ポカンとした表情をしてサンラクの顔を見る。
「え、人間…?」
いやぁ、さっきはちょっとしたスキンシップみたいなもんで、あ、はい。すいません。ちょっと驚かしたかっただけっす。だっていい表情するもんで、つい。ね?
色々面倒なことにはなったが何とか納得してもらい謝ったり謝罪したりでサンラクは村に入る事ができた。
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「はぁ…もうあんな事は止めてくださいね?えっと……」
「サンラクっす。いやぁ、すいません。」
「はぁ、サンラクさん。」
「姉さん、いいんですかい?こんな奴、村に入れちまって?」
そこには人間、覆面で半裸の人間、ゴブリンと珍妙な光景があった。
俺はゴブリンをジト目で見る。こいつも俺もほとんど変わらないみたいな所があるけど、な?
「さっきは助かりました。えっと…」
「おれぁ、ジュゲムっていいます。」
「助かりました。ジュゲムさん。」
他にもゴブリン達は居たが顔を合わせるという事で今はリーダーであるジュゲムだけ、エンリのそばに居た。
「ところでエンリさんはテイマーなんですか?」
「あ、いえ…私はただの村娘です。さっきはある方から貰った笛で…」
「アイテム…?」
はて、シャンフロにそんなアイテムがあったか…。
「ある方っていうのは?」
「アインズ・ウール・ゴウン様という方です。素晴らしい御仁で一度この村を救っていただいたんです!」
へぇ…だからたまに家が半壊してたりするのか…アインズ・ウール・ゴウン、ね。あんましプレイヤーネームっぽくないからNPCか?
「あのぅ、サンラクさん、ですか?どちらから来たんでしょうか?」
「ん?俺?」
流石にプレイヤーとは名乗れないよなぁ。ま、遠くから来たって言えば何とかなるだろう。
「結構遠くから来たもんで、ここが何処かも分かってないんすよ。」
「…? 旅人?ということですか?」
「ん?いやよく知れた開拓者っすね。」
「開拓者?ですか…。あまり聞きませんね、どんな事をされるんですか?」
ん?開拓者を知らない?おかしいな。NPCなら大体分かってくれるんだが…
「未知を解き明かして明らかにする。いわば誰も行った事の無い場所を進む先駆者っすかね?」
「それは…とても危険、ですね。」
「そっすかね?まぁ、俺達が死んでも特に問題なんて無いっすからね。」
俺達は開拓者だ。死んでも生き返るし特に問題など無い。
サンラクはそう思って発言したのだがエンリを見ると少し悲しげな表情で怒っているように見えた。
「…そんな事、言わないでください!……す、すいません。いきなり怒鳴ってしまって…」
もしかして地雷踏んだか?
そう思ってサンラクは慌てて言葉を喋る。
「いや、こちらこそ…あぁ、何かすいません」
気まづい雰囲気が続く。ジュゲムがサンラクを睨みジト目で見る。
何だこのゴブリン。やんのか?俺はピザ留学を阻止してクリアした実績があるんぞ?
そんな気まづい雰囲気を無くそうと何を話そうかと考えていると。
「あの、その傷はどうしたんでしょうか…?」
サンラクはその言葉で自分の体を見る。
「ん、あぁこれ…犬のションベn…じゃなくて、ざっくり言えば呪いっすね。」
「呪い…ですか?」
「あるモンスターとの戦闘中にかけられたもんで…おかげで装備が付けられなくなりやして」
「そんな事情が…すいません。てっきり…そういうご趣味なのかと…」
「アハハ、よく言われます(涙目)」
エンリくん、そういうことは心に留めておくもんだよ。
サンラクはそう思いある事に気付く。
あれ?そう言えばリュカオーンの刻傷の呪いの効果発動してなくね?NPCと会話出来てるし明らかに俺より弱いモンスターも寄ってくる。
「エンリさん。俺って何か怖くないんすか?」
「…?怖い?最初は怖かったですけど、普通の人と分かってからは特に?」
「ジュゲムは?」
「モンスターが人間を恐れてどうすんだ?」
そりゃ、そうだ。
呪いの効果が無くなってる…?つまり装備を…着れる?
そう思いサンラクは装備をインベントリエリアから取り出しそれを着る。
「お姉ちゃん!って、その人は?」
「あ、ネム。この人はサンラクさん、という人で…」
サンラクが服を着た後、近くにやってきたのはネムという恐らくエンリの妹であろう子供。
「どうもっす、サンラクでーす。」
サンラクはネムの前に立ち、筋肉を見せるようにマッスルポーズをとって………あ、服が破裂した。
「ぷっ……」
ネムは吹き出す。
あ、やっぱ服は着れないのな、おのれリュカオーン。