オーバー×フロンティア   作:牡羊様

31 / 64
アテンションプリーズ!!

「だァかァらァ!!俺はただの旅人だってぇ!!!」

 

バハルス帝国、検問所。その部屋の一室の検問室でサーモン頭の半裸の男が叫んでいた。

 

「嘘をつけ!!何処の旅人がそんな怪しげな格好をしているんだ!!この亜人種!!」

 

サーモン頭の男を衛兵が問い詰める。

 

「だァレが亜人だ?!!俺は人間だよ!ホレホレ!!」

 

そう言ってサンラクはサーモンの頭を取っては付けてを繰り返す。

 

「いや、人間だったら尚更怪しいだろ!!」

 

「うるせぇ!!俺のアイデンティティを否定すんじゃねぇ!!これが無くなったら只の半裸の男になっちまうだろォが!!!」

 

サンラクは衛兵に顔を近付け威圧する。

 

「ちょ、臭ッ!!生臭い!!おい、近づくな!!」

 

ガミガミと2人の口論は続いた。そしてこの不毛な争いはこ一時間程が経ち、他の衛兵が仲裁に入ることで終結した。

 

サンラクの所持品には怪しいものなどは何もないという事で今回は見た目の注意だけで終わり、無事サンラクはバハルス帝国に入ることが出来た。

 

――――――――――――――――

 

ほう、ここが帝国か…………中々に賑わっている。

 

サンラクは大勢の人がいる大通りを見る。

 

結構活気があっていい所じゃないか……

 

てか、早速見た目についての問題が出てきたなぁ……エ・ランテルの時は検問に引っかかるという理由でわざわざ女になったんだっけか……

 

まぁ、いいや。時間は取られたが入国は出来た訳だしな。

 

それに恐らく、サーモンの覆面を被ってたから検問に引っかかったんだと俺は思う。ほら、外国人は生の魚に抵抗感があるっていうしな。

 

つまりサーモンではなく鳥ならばいいのだ!!チキンなら外国人も受け入れてくれるだろう。

 

郷に入っては郷に従えって言うしな!

 

サーモン or チキン!プリーズ チキン!!Yeah!!

 

そうしてサンラクはサーモン頭からチキン頭に取り替える。

 

で、だ。エ・ランテルからここまで来たのは、他の理由もあるが強いモンスターとエンカするため。

 

だがまた冒険者になってちまちまランク上げなんてやってられねぇ……そんな気力は残ってねぇ

 

だったらどうするか……色々調べたところ、冒険者みたいな職業が他にもあるんだとか…………

 

それが ワーカー だ。

 

これの違いとしては、冒険者みたく組合が居ないこと。組合が居ないから依頼の受注などは個人でやらなければならない。なので依頼内容が自分の力に見合わないという事もある。まぁ、組合が居ない分、受注者に直接報酬が入ってくるから冒険者よりは儲かりやすいっていうメリットもある。

 

簡単に言えばハイリスクハイリターンってやつだ。

 

その点で言えば俺は死なねぇし自分の力に見合った依頼を自分で受注できる。まさに俺にピッタリの職だな。

 

そんな事を考えながらサンラクは道を歩く。

 

………………。

 

…………………………。

 

………………そういやさ…………。

 

冒険者みたく組合が居ないんだったらよぉ…………

 

……ど、どうやって依頼を受ければいいんだ……?

 

やっべー……!!完全に頭から抜け落ちてた……!!

 

ど、どうする……?あ、そうだ!こういう時は人に聞けば…………

 

「あ、あのすいませぇん……!」

 

「ひっ……」

 

サンラクは通りかかった中年女性に声を掛けるも引きつった顔をしたまま早足で歩いていった。

 

えぇ…………

 

サンラクは切り替えて次は近くにいた男性に声を掛けようとするが…………

 

目が会った途端 逃げるように何処かへと退散していった。

 

え、えぇ…………

 

次はあの人、次はあの人……!!と声を掛けようとするがスルーされるか逃げられるかのどちらかだ。

 

な、なんでだ…………何でこうも避けられるんだぁ……?

 

くっ……もしかしてチキンが駄目なのか?そうなのか?サーモンもチキンも駄目なベジタリアンだったのか?!

 

まさか帝国がそんなベジタリアン国家だったというのか?!クソ……!!……どうすれば…………

 

サンラクはあまりのショックに道のど真ん中で四つん這いになって落ち込む……。

 

…………せっかく新天地と気分を上げていたのにぃ…………あぁ、ダメだ……もぉ……やる気が…………

 

「おいおい、兄ちゃん……どうかしたのか?」

 

四つん這いのサンラクに声を掛けたのは金髪で20代ぐらいの男性。

 

「こんな所で塞ぎ込んじゃって……話ぐらいは聞いてやるぜ?」

 

男はにこやかに言う。

 

「…………どぅゆーらいくチキン……?」

 

サンラクは少し小さな声で言う。

 

「え、何?……どぅゆー何だって?」

 

「どぅゆーらぁいくチキン!!!」

 

「え、何?ごめんどういう……」

 

「イエスか?イエスと言え!イエスorイエス?」

 

サンラクは目をガン開きにして男に迫る。

 

「え、なに怖い怖い……ちょ、分かったから……い、イエス……!!」

 

「よっしゃぁ!!今日は七面鳥の丸焼きじゃぁァ!!」

 

「え、いや、だから何?!」

 

――――――――――――――――――

 

「なるほどな……だからあそこであんな感じになってた訳だ」

 

サンラクは男に事情を説明して相談に乗ってもらう事にした。

 

「お前、運が良いな……!話しかけたのが俺で丁度良かったな……!」

 

「ん?つまり?」

 

「俺はワーカーをやってるヘッケラン・ターマイトってんだ!ヘッケランでいいぜ」

 

「おぉ!まじでか!!」

 

たまにはいい仕事するじゃねぇか乱数の女神!

 

「着いてきな!ルーキー、先輩が案内してやろう!」

 

そうしてサンラクはヘッケランと名乗る男に着いていった。

 

――――――――――――――――――

 

「ほら、見えてきたぜ」

 

ヘッケランは古い木製の掲示板を指差す。

 

「あれがワーカーが依頼を受けるときに使う掲示板だ。依頼者はあの掲示板に依頼書を貼って、それをワーカーが受け取って依頼をこなす。有名になれば名指しでの依頼が入ってくるようになるが……まぁ、今は下積みからだな。」

 

「ほうほう……じゃあ俺はあの掲示板から適当に依頼を選んで受ければいいんだな?」

 

「ま、そゆことだ。分かってると思うが、ワーカーは危険な仕事。依頼内容はちゃんと見ろよ?もちろん、依頼内容以外にもやけに報酬が高かったりとか依頼者の名前が書かれてなかったりとか……って聞いてねぇな……!」

 

ヘッケランがサンラクを見ると、既に掲示板を見に行っていた。

 

サンラクは掲示板に貼られている紙を見る。

 

どれどれ…………そういえば俺文字読めねぇんだった……ま、適当でいいか。

 

「取ってきたぜぇ……あとはどうすればいいんだ?」

 

サンラクは持ってきた依頼書をヘッケランに手渡す。

 

「後はこの紙に書かれている住所に行って細かい依頼内容を依頼者から聞けば受注完了だ。」

 

ヘッケランは依頼書を受け取り内容を見る。

 

「……実はさ、俺文字が読めねぇんだけどその紙に書かれている住所まで案内してくれねぇか?」

 

「え、お前さては適当に依頼書選んできたな…………ま、いいか……この内容なら別にルーキーでもできるし……いいぜ!……確かここは……」

 

そしてサンラクはヘッケランにまた案内され着いて行った。

 

――――――――――――――――――

 

「ここっぽいな……」

 

「やけに大きい建物が多いな……金持ちの住宅街か?」

 

「まぁあながち間違ってないというか、ほぼあってるな……ここら辺はお貴族様の家が多いんだ。気を付けろ、貴族ってのは厄介な奴が多い。その紙の依頼者も恐らくお貴族様だ。」

 

「ご忠告どうも……。ここまで案内してくれてありがとな、先輩!」

 

サンラクはお礼の言葉を述べる。

 

「いいってこった、ワーカーはただでさえ危険な仕事だ。昨日居たヤツが明日には居なくなってるなんてザラだ。長生きしろよルーキー!」

 

サンラクとヘッケランは別れの挨拶をして各々違う方向に歩き出した。




危うく投稿を忘れそうになりました!

ワーカーの受注依頼の仕方はめっちゃ適当ですがどうか許してください!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。