オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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紛うことなき変態

ヘッケランねぇ……見ず知らずの俺を助けるとは中々に良い奴だったな。

 

そういえば依頼内容を先に聞けば良かったかなぁ……まぁ依頼者に聞けばいいか……

 

サンラクはもの前に立ち、門の近くにいた執事服を着た男性に声を掛ける。

 

「掲示板にあった依頼を受けに来たワーカーなんだが……依頼者に会いたい」

 

サンラクはそう言い、依頼書を見せる。

 

「ふむ……なるほど確かに……では少々お待ち頂きたい。」

 

執事らしき男は一礼して家の方向へと歩いていく。

 

多分、依頼主は貴族かぁ。そりゃそうだ。一般人はこんな豪邸でしかも執事なんて居ねぇよ……

 

でも見る限り、役人はあの人しか居ないっぽいが……

 

正直貴族とはあんま関わりたくないってのがあるが……色々と厄介だし、冒険者のときも実際そうだったし

 

お、どうやら来たようだな。

 

「ふん……貴様がワーカーか……。」

 

実に偉そうな奴だ……

 

出てきた男はやはり貴族の格好をしたお偉い様らしい。

 

男は値踏みするようにサンラクを観察して

 

「やはりワーカーなど蛮族……何故アルシェはこのようなもの達に依頼など出したのか……」

 

聞こえてんぞコラ!誰が蛮族じゃコラ!吊るすぞコラ!

 

どうやら依頼主はこの男ではなく別であるらしい。

 

「後は頼んだぞ……!」

 

そう言うと男はさっさと何処かへ行ってしまった。

 

「お名前をお伺いしてもよろしいですか?」

 

「ん?あぁ、サンラクだ」

 

「サンラク様、こちらへ……」

 

サンラクは執事の言う通りに歩いていく。

 

――――――――――――――――

 

「今から全員、根絶やしにしてやるよォォ!!」

 

サンラクは左手にスコップを持ち、右手を構える。。そして低い姿勢をとり、標的を狙う。

 

地面にスコップを食い込ませ、現れた弱点部位をすかさず掴み抜く。

 

ふぅ……雑草抜きのコツは地中にある根ごと抜き取る事が大事…………

 

「じゃねぇぇぇ!!」

 

なんで俺が雑草抜きなんかしなきゃならねぇんだ!!

 

……まさか依頼内容が雑草抜きだったのか?!ふざけんじゃねぇ!新天地って心躍らせて来たのに何だこれ!ワーカー初仕事はただの雑草抜きですか?!

 

…………てかあの野郎(ヘッケラン)、この事黙ってやがったな……!良い奴だなと思った俺が馬鹿だった……!!

 

……だが依頼を受けちまったのは俺の方だ……今更放棄なんて出来ねぇ……信用にも関わる……!

 

こうなったらヤケだ……!この庭の雑草ぜぇんぶ!!俺が引っこ抜いてやらァァ!!

 

燃やせヴォーパル魂ぃ!!うおぉぉぉ!!

 

サンラクは常人離れしたスピードで手を動かし、雑草を抜き取る。

 

「ねぇねぇ、あなた何してるの?」

 

「あぁ?……」

 

サンラクの後ろから聞こえたのは女の子の声。

 

サンラクは振り返り後ろを見る。

 

後ろには赤と青の服を着た瓜二つの顔を持つ幼女。

 

「この人、鳥の顔が付いてる!変なの〜」

 

赤い服の子供が言う。

 

「ね、この人、人なのに鳥の顔!変なの〜」

 

青い服の子供が言う。

 

……なんだコイツら……この家の子供か?見る限り顔がそっくりだな。双子っぽいが……

 

「ガキんちょはお家でオママゴトでもしときな……俺は今仕事してんだ。」

 

サンラクはそう言い、散れ散れと手を払う。

 

「お仕事?ウレイリカもやりたぁい!」

 

「クーデリカもやりたぁい!」

 

何だこのガキんちょ共……

 

「あのなぁ……俺じゃなくお父さんお母さんに構ってもらえ」

 

サンラクは家の玄関を指差す。

 

見ると恐らくこの子供の親であろうさっきの偉そうな男と女が、壺を持った怪しげな男と話していた。

 

……子供そっちのけで何やってんだアイツら…てかあれ訪問販売か?

 

俺の家もよくあったな……まぁ、基本的に虫関係以外興味の無い母さんだから何も動じなかったが…………

 

「お母様が外で遊んでなさいって」

 

「お父様が外で遊んでなさいって」

 

おいおい両方とも育児放棄か?ちゃんと子供の相手ぐらいしてやれよ……

 

「そうか、じゃああっちで鬼ごっこでもしてな。」

 

そしてサンラクは雑草抜きの作業に戻る。

 

土を掘って根っこを抜く。土を掘って根っこを抜く。

 

「…………おいコラ、何してんだ?」

 

「鳥の顔、フサフサぁ!」

 

ウレイリカが楽しそうに言う。

 

「お腹、カチコチぃ!」

 

クーデリカが楽しそうに言う。

 

ウレイリカとクーデリカはサンラクの顔と腹筋を触る。

 

「ッッッッ!!!………………はぁ……俺の負けだ……お前らにつきあってやるよ……」

 

「「ヤッタァ!」」

 

双子は手を挙げて喜ぶ。

 

「……で、何すんだ?」

 

「ざっそうぬき!」

 

「クーデリカも!」

 

「…………別に楽しくないぞ……」

 

「大丈夫!」

 

「楽しめる!」

 

…………まぁいいか……1人から3人になったんだ。数字だけ見れば、人手が3倍だ。ガキの手だが…………

 

そしてサンラクはウレイリカとクーデリカに雑草抜きのやり方を教える。

 

――――――――――――――――――――

 

「クーデリカ見て!泥だるま!!」

 

「ウレイリカ見て!泥バーガー!!」

 

「「かわいい!!」」

 

双子はキャッキャッと笑い合う。

 

隣の双子は雑草抜きに飽きて泥遊びをしている。

 

案の定、子供には雑草抜きはつまらなかったらしい……2つ抜いたあたりから土を触っていた。

 

貴族の娘さんが泥遊びなんてしててもいいものかねぇ……

 

サンラクは未だそれを横目で見ながらも雑草抜きを続ける。

 

そしてサンラクの体にツンツンという何かが突っつく感触がする。

 

「ねぇねぇ、変な鳥の人!」

 

ウレイリカが話しかける。

 

「変な は余計だ。俺はサンラクだ!リピートアフターミー サンラク」

 

「「りぴーとあふたーみー サンラク!!」」

 

またもや笑い合う2人。

 

本当に元気だなぁこのガキ共。

 

サンラクは家の玄関を見る。

 

まだくっちゃべってんのかあの両親。しかも双子が何してるかも見てなさそうだな…………。

 

こんな育て方で将来グレたりしないもんだろうか……。まぁ、他人の俺が偉そうにって感じなんだがな。

 

「ねぇねぇ、サンラク!」

 

クーデリカが話しかける。

 

「どしたぁ?」

 

「泥だんご!作ったから食べて!!」

 

「ウレイリカの泥だんごも!」

 

双子はサンラクに泥だんごを渡す。

 

「ん?あぁ……」

 

サンラクは双子から泥だんごを受け取り覆面の鳥の嘴を開け、食べる……様に見せる。

 

実は嘴の中に入れたと同時、インベントリアに閉まってるんだよなぁ……これこそイリュージョン!

 

「「美味しい?」」

 

「……!!!……こ、これは……う、う、う、うめぇぇぇ!!」

 

「やったー!!」

 

「美味しかったー!!」

 

…………いつの間にかこのガキ共のペースに乗せられて、ついついノリに乗ってしまう……。

 

まぁどうせあの両親は見てねぇし、少しぐらいサボっててもバレやしねぇよ。

 

て、気付いたら日が落ちかけてんな……

 

「ほら、ガキ共!子供は家に帰る時間だぞー。」

 

「ガキ は余計だ!ウレイリカだ!りぴーとあふたーみー ウレイリカ!!」

 

「ガキ は余計だ!クーデリカだ!りぴーとあふたーみー クーデリカ!!」

 

…………変な言葉を覚えやがったなぁ……このガキんちょ……

 

「……はぁ、ウレイリカ!クーデリカ!もう暗くなりかけてるから子供はさっさと帰れ」

 

「「嫌!」」

 

「このガキ共…………遅い時間まで遊んでる悪い子はぁ……俺が食ってやるぅッ!!」

 

サンラクは鳥の覆面から魚の覆面に変え、ウレイリカとクーデリカを脅かす。

 

ウレイリカとクーデリカは毛ほども驚いた様子も見せず、笑いながらサンラクから逃げる。

 

サンラクはなるべく家の玄関へと逃げるようにウレイリカとクーデリカを追いかける。

 

「あ、お姉さま!!」

 

ウレイリカがそう言う。

 

「お姉さま、お帰りなさい!!」

 

クーデリカがそう言う。

 

双子の視線の先、恐らく双子の姉であろう少女が立っていた。

 

双子は少女を見つけるやいなや、直ぐに飛びついていき抱きしめた。

 

サンラクも少女の存在に気付き、目線をやると相手もこちらを見ている事が分かった。

 

しかしその目線は強く、警戒するようであった。

 

…………あれ?……何でそんな針みたいな鋭い目で俺を見るんだ…………。

 

不思議に思いサンラクは自分の姿を見る。

 

魚の覆面に上半身半裸……しかもスボンは短パン……

 

よくよく考えると、あの少女は俺が依頼されたワーカーとは知らないわけでぇ……

 

相手目線では自分の家の敷地で見知らぬ魚面を被った半裸の男が可愛い妹達を追いかけ回していた………………

 

なるほど…………………………

 

少女は持っていた杖を俺に向けていた。




個人の意見ですが、アルシェは一番救われて欲しいと思っています!

Web版では結局ナザリックで妹達と幸せに暮らしているんでしたっけ?ただ原作では死んでほしくなかった!!

あまりいい知らせでは無いかもしれませんが自分の活動報告に今後の小説の投稿?について書いておくので良ければ見てくださると助かります!
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