「
アルシェは杖を構え、そして呪文を発する。
するとアルシェの杖の先からバチバチという音と共に白い稲妻が目の前にいる敵へと迫る。
「「ぐおォおぉおオォお!!」」
稲妻はトロールの集団へと命中。
「サンラク!」
「おうよ!!」
全線を張っていたサンラクが掛け声と共に稲妻を浴びた集団へと走り、
そして集団の中へと飛び込みトロール達へと一閃。トロール達の体が真っ二つとなり血しぶきが吹き出す。
「次ぃ!!」
サンラクはそう叫び、またトロールを後ろへ行かせまいと全線を張る。
その間にアルシェがトロールの集団へと狙いを定め、魔法を放つ。その繰り返し……
――――――――――――――――
「はァはァ…………」
「お疲れさん……!」
サンラクは魔法の連投により体力を消耗したアルシェにそう声を掛ける。
「はぁ……なんで……貴方は……あんなに動いていたのに…………」
アルシェは息切れをしながらも、トロールの大群を一人で抑えていたのに涼しい顔でつっ立っているサンラクを不思議に思い口にする。
「ん?俺が何で疲れねぇのかって?…………そりゃあ、鍛え方だよ。ほら見ろ!このたくましい筋肉を!!」
そう言いサンラクはマッスルポーズをとる。
「…………なんかウザい………」
アルシェはそんなサンラクをジト目で睨む。
まぁ、実際実力の差っていう所があるな。言っちゃ悪いが、やはりアルシェもそんなに強くない……というか思ったより弱かった。
「私が魔法を打たなくても……貴方なら一人であの大群を相手に出来たんじゃ?」
「んな事ねぇよ……お前の魔法が無けりゃ、トロール達が無限に再生して切っても切っても終わらなかったっつーの!」
ここのトロール……再生能力が半端ねぇ……みじん切りにしても時間が経てば肉片から再生して元通りになりやがる……。
まぁ、切っていく内に再生速度が遅くなっていたから切りまくれば何とかなりそうではある。
アルシェからトロールの弱点は聞いたが、炎や酸などの再生を防ぐ攻撃が有効……
アラドヴァルでぶった斬りゃ解決するが…まぁ、このマップの鍛冶屋がポンコツなおかげで修理したい武器も直せねぇ……
だからわざわざ修理の必要ない剣を使ってる訳だ。
いざとなれば使うときは使うが、なるべく温存はしておきたい。
だから後ろで魔法を打ってくれる奴が居て助かった。
「サンキューな!」
サンラクはアルシェにサムズアップをする。
「…………まさか……あの数を一人で相手に出来る強さ…………しかもほとんど本気を出てないように見えた。」
「だから腕にはそれなりには自信があるって言ってんじゃねぇか」
「その格好で言われても誰も信じない……」
「おいコラ、誰が年中半裸の変態だって?」
「…………貴方の実力は分かった……そして私がまだまだだという事も……」
そんなアルシェは少し落ち込んでいるように見えた。
「……別にそんなん気にすんな、これから強くなればいいさ」
サンラクは励ましの言葉をアルシェに送る。
「貴方から見て……私の強さはどのぐらい?」
慰めの言葉……っていう感じじゃねぇな
「はっきり言うが……正直俺から見たら弱すぎる」
「……そう……………………。
サンラク……少し図々しいかもしれないけど依頼内容を変更したい。」
アルシェは真面目な顔になりサンラクへと言う。
「………………別に構わねぇよ。どうせあのままの依頼内容だったらルーキーの俺じゃ、こなせないままだったんだしな。」
「……ありがとう……。そして頼みは、私を強くしてほしい。」
まぁ、話の流れ的にはそう来るよな……ただ…………
「強くする事はできるかもしんねぇ……だが先に言っとくが俺は魔法職じゃねぇ。だから魔法云々は分かんねぇ……。それでもいいならその依頼、受けてやるぜ?」
「……何でも構わない…私がワーカーとして働けるぐらいの強さを手に入れれば……」
「決まりだな……。とりあえず今日は日が暮れ始めてる。このトロール達の部位をさっさと持って帰ろうぜ。」
「分かった……」
そうして2人は倒れているトロール達の死体から体の一部を剥ぎ取る。
「ずっと思っていたのだけど……貴方のその剣…………明らかに金属では無いような材質をしてそうだけど…………」
サンラクが境光の宝剣でトロールの部位を切断していると横からアルシェがそう喋る。
「ん?これか……。まぁ、そうだな。分かりやすく言えば魔力を放出して刀身にしてるって感じか?いやちょっと違うか……?」
サンラクは何処ぞのブオンブオンという音を出しながら光る剣を振り回す宇宙人を想像する。
今はアイテムの詳細が載ったとかカーソルが出ないからなぁ……あれ?そう考えると新武器とか作っても能力の詳細が見れない?
サンラクが1人そう焦っていると
「もしかして13英雄の残した魔剣とか?」
アルシェがそう言う。
「ん、いぃや。それは違うぞ。これは俺が集めた素材で作ったもんだ」
「そ、そう……。それにしては切れ味が馬鹿げてるような……」
アルシェは境光の宝剣でスパスパとトロールを切っていくサンラクを見ながら言う。
そんな談笑をしつつ、部位の採取は終わる。
そしてサンラクとアルシェは一度街へと帰還する事になった。
――――――――――――――――――
とある宿屋の一室。
サンラクはベッドへ寝転びながら考え事をしていた。
アルシェ強化計画か……エムルのときみたいにひたすら強いモンスターと戦わせて危なくなれば俺が助けるを繰り返す。って感じでいいんだろうか?
強ければ強いほど、Lvも上がるし倒さなくても経験値が入る。
問題は強いモンスターが居ないっていう所なんだが……
どうしたもんかね……。
そういえば……買い込んでいた魔導書が何冊か余ってたか?
何があったっけな………………ていうか、インベントリアのカーソルが無くなったせいで今あるアイテム全部が把握出来てないんだよな……一瞬でアイテムを取り出せるようになった分、そこは不便になった。
……仕方ねぇ…見つかるか分かんねぇけど、魔導書があるか自分の目で確かめに行くか……
サンラクはそう思って自身のインベントリア内へとエンタートラベルする。
――――――――――――――――――
「……久しぶり来たら散らかってんなぁ……」
サンラクの目の前に広がるは金属製の床に無限とも言えるほど奥が見えない白い空間。
そしてその所々に素材、アイテム、武器防具などの今までサンラクが格納していた物。何より目を引きつけるのは壇上に飾られた様々な架空の生き物に似せ作られたロボット。
さぁて魔導書はー、と。
サンラクは魔導書を探そうとアイテムを一つ一つどかす。
「おっ!これか?!」
サンラクはめぼしい物を見つけ手に取る。
サンラクは中身を開き確認する。
……なるほどなるほど…………やっぱこれっぽいな…………
サンラクは魔法の効果を知るため、その本を熟読する。
カウンター系の魔法か………防御と攻撃が同時に出来るし、中々に強力だな……ただ、防御のキャパはMPに依存するし攻撃力もMPに依存……今の状態でこれを覚えても、今すぐ使えるような魔法ではないか…………
そう頭で思考し、本に集中しているとサンラクの肩に少しひんやりとしたものが乗っかった事を感じ取る。
サンラクは気の所為だろ、と思いまた本へと集中する。
しかし、サンラクの肩に乗っかる物は次第に肩を圧迫するように段々と重くなる。
いや、重くなっているのでは無い。圧迫する力が強くなっているのだ。
そんな痛みを肩から感じ、流石に無視出来なくなったサンラクは肩に乗っている物を払い除けようとする。
「……!!…ちょ……!いたッ!いたいって!!」
サンラクはようやっと肩に乗る物体を手で掴みそしてその正体を確かめる。
ん…………手?
サンラクが掴んだ物は人間の手。しかしそれは薄い布地の手袋を付けており、そして手袋越しに分かる感触は普通の手とは異なり少し硬い……まるで人形のような…………
サンラクは掴んだ手を目で辿り、そしてその手の持ち主を見る。
その顔は人形のように自然から生まれたとは思えない人工的に造られたと思えるほど整った容姿。
そしてその顔はサンラクがよく知っている横で共に戦っていた相棒の顔。
「Hey
サイナであった。
という事でサイナ参戦!!
正直もっと先の方で登場させる予定でしたが、ずっとインベントリア内に居てもらうのも申し訳なく……まぁ、本当はただ丁度サンラクがインベントリア内に入ってくる口実が出来ただけですが……
サンラクの持ち物、装備やアイテム、そしてインベントリアがサンラクと一緒に転移させられたのならサンラクが契約者である征服人形のサイナが一緒に転移させられてもおかしくないのでは…!!という軽々しい発想からきました!
サイナ=サンラクの持ち物判定みたいな…
実際、契約者のインベントリア内に征服人形は行き来できますしね!!
ちなみにサンラクが転移してからサイナ自信の任意のインベントリエスケープとイグジットトラベルが出来なくなっている状態です!なので転移してからずっとインベントリア内に閉じ込められている模様…