「で、どうやって鍛えるんだ?」
「とりあえずアルシェ様にはこのアーミレット・ガルガンチュラの体内物質を摂取してもらいます。」
サイナはそう言って何処からか緑色のゲルゼリーを取り出す。
げッ…………そういえばヘタレニーネの時にもこれ使ってたか…………
「………………こ、これを?……食べても大丈夫なの?」
アルシェはそのゼリー状の何かを見て少し顔が青くなる。
「肯定:食べても人体に影響はありません。」
サイナは淡々と言う。
アルシェが不安そうにサンラクを見る。
確かに食べても害は無いが……噛む事に伝わるあの独特の食感………………食べていると吐きそうになる。
多分これからアルシェはあのゼリーを食いまくるという苦行に見舞われるが………………強くなるためだ……!
俺が言えるのは……頑張れ!!
アルシェがサンラクを見るとサンラクはにこやかにアルシェに向かってサムズアップをしていた。
サンラクの反応に少しムカつくアルシェ。
そんな様子を察してかサイナがこう提案する。
「
アルシェはニヤリと少し笑う。
「そう……それなら別に問題無い。」
いきなり流れ弾が飛んできたサンラクは焦った様子で喋る。
「ちょ、待て待て!俺は別に要らねぇだろ?!」
「否定:もちろん契約者にも訓練には手伝ってもらうので、ついでです。」
「いやふざけんな!ついでなら尚更だr……」
サイナはサンラクが口を開けた一瞬を見計らってその開いた口にゼリーをねじ込む。
「ぶっ!?…………」
そしてサイナはサンラクが吐き出さないようにと口を手で塞ぐ。
行方を失った口内にあるゼリーは喉の方向へと戻りそして呑み込まれる。
「……!!…うッ……!」
き、気持ち悪ぃ!……柔らかいものの弾力があって…………液体であるものの個体である……なんていうか…………ゴムとスライムの中間みたいな……!
しかも無味だから余計に気持ち悪い!!
「だ、大丈夫?……」
サンラクがうずくまっていると横からアルシェが声を掛けてきた。
サンラクはしばらく無反応でいるとアルシェの後ろに迫る悪魔がこちらを笑いながら見ていた。
「………………あぁ……大丈夫だ……。」
サンラクは悟られないよう返事をする。
アルシェに近づく悪魔、しかしその影に本人は気付かなかった。
「よ、良かっt…………」
後ろの魔の手によってアルシェの口にねじ込められる緑色のゼリー。
「うッ!?!!…………」
サイナはまたねじ込んだ物を吐き出さないようにと口を手で塞ぐ。
「……たぁんと味わえよぉ!!」(ゲス顔)
アルシェの目に映るのは下卑た笑いを浮かべる外道。
――――――――――――――――
俺たちは無事あのゼリー食い終わった訳だが……
「魔法の矢(マジック・アロー)!!」
アルシェの杖の先に3本の光の矢が現れる。
その矢は狙う対象へと方向を定め放たれる。
放たれた3本の矢は対象であるサンラクへと迫る。
しかしサンラクが木刀を振ると3本同時に矢が弾かれる。
「……!!」
アルシェがその光景に驚いていると視界に入っていたサンラクがいつの間にか消えていた事に気付く。
アルシェが何処に行ったと目を動かして探していると
「後ろだ!」
気付いた時にはもう遅く、アルシェの首元を木刀が触っていた。
「参った……」
アルシェの言葉によりサンラクは木刀を構えるのを止め警戒心を解く。
「あの光の矢……ただ真っ直ぐに突き進むんじゃなくて、一本は正面、一本は後ろ、もう一本は上からとか複数の矢を活かす攻撃にした方がいいぜ?」
「……そんな事できるの?」
アルシェは眉を寄せて言う。
「知らねぇ。俺は魔法職じゃねぇし……ただそれぐらいしないと実戦では使えねぇぞ?
あと矢を放った後の動きも考えとけ。例えば相手が矢を見ている隙に違う魔法を撃ったりとか……もし相手が詰めてきたらどう対処するとかも…………」
「…………多分、あの矢を正面から弾ける人はほとんど居ないと思うけど……」
「馬鹿言うんじゃねぇ……!……世の中には化け物という化け物がうじゃうじゃ居るんだよ!平気な顔で銃弾を刀で弾いたり!頭にTASを埋め込んで人間を疑うレベルの動きをしてきたり!どこへ竹刀を打ち込もうとも必ず100%の答えを導き出しカウンターを入れてきたり!etcetc…………」
そんなサンラクは顔が真っ青になりブルブルと震えていた。
「……そ、そうなんだ…………凄い人達と戦ってきんたんだね……」
2人でそんな会話を交わしているとサイナがやってきた。
「疑問:何を休んでいるんですか?早く次の模擬戦を始めてください。」
先程のゼリー流し込みの後、ウィンプのときみたくアルシェをモンスターとひたすら戦わせるのかと思ったが、サイナが提案したのは俺との模擬訓練だった。
「いやサイナよぉ……さっきも言ったけど俺もとい開拓者が相手になっても経験値が入らねぇから意味ねぇだろ?」
そうこの模擬戦、意味が無いのだ。
プレイヤーである俺が相手になると本来経験値を稼ぐ側であるプレイヤーはNPCと戦っても一方的にプレイヤーに経験値が入るだけでNPCには入らない。
まぁ、それは言わずとも分かるシステム的なこと。
サンラクは思っていた事を喋る。
「否定:何を言っているんですか?経験を積むために模擬訓練をしているのです。」
サイナは本当に不思議そうな顔でサンラクに言う。
「いやそれはそうだが俺は開拓者だ。俺が相手になってる時点でレベルは上がらんだろ?」
おかしいな……NPC達はそういうシステム的なメタい所は設計される段階で何故だろうと納得するよう作られていると思ったんだが…………
「………………一度考えてみましたが、やはり契約者の発言が理解出来ませんでした。つまりこの模擬戦は意味が無い、ということですか?」
サイナは本当に困ったような顔で言う。
「まぁ、そういう事だ。俺以外の……例えばモンスターなら経験値が入ると思うぞ。」
「……
「いやだから…………」
「話が終わりませんね……つまりこの模擬戦で得るものがあれば納得してもらえるのですね。」
「……まぁ得るものがあればな?」
「では再度模擬戦を始めてください。きっともう効果は出ていると思います。」
サイナは少し不機嫌そうにサンラクに言うとアルシェに目配せして模擬戦を始めさせる。
「開始。」
サイナの掛け声により模擬戦が始まる。
先手はアルシェ。
「
またそれか……同じ技は何度も……
「……!」
少し速くなったか?それに威力も…………
しかしサンラクはいとも簡単にその3本の矢を弾く。
サンラクが矢に気を取られているとアルシェが目の前から居なくなって居ることが分かる。
「
誰も居ない場所から声が響きその場所から青い電撃がサンラクへと放たれる。
「見えてんぞ……!」
サンラクは電撃の方へと自分から向かい、体に数cmという距離で電撃を避けながらその電撃の発進源へと近づき
「ほいっ……」
誰も居ない空間にデコピンをする。
「ッ!!……」
今まで誰も居なかった空間から額を抑えて堪えているアルシェが現れる。
「な、なんで見えるの……?」
「……まぁ、一応この頭装備もただの飾りじゃないからな…………」
サンラクは自分の鳥の覆面を指し言う。
多分無くても見えたけど…………
そんな事より…………
「どうでしたか?」
「…………どうだろうな…?…今の一回だけじゃ、手応え的には正直微妙だわ。」
「頑固ですね。だから言ってるじゃないですか?意味はあると。」
サイナはため息混じりに言う。
まぁ経験値が本当に入ってるか否かは置いといて、実際戦う事には意味がある。戦いにおける頭の使い方とか。
ん〜、さっきは見間違いだよな?
まぁ、ゆっくり見ていくしかねぇかな?でも前までは絶対プレイヤーから経験値なんて発生しなかったもんな……。なんかもうよく分かんねぇ……。思うんだがアップデートでの仕様変更のせいで大分クソゲー化してないか?
いや、今更か……。シャンフロなんて一皮剥けばクソゲーだったことを忘れてた。
ある程度ここで関係値を作っておかないとワーカーの例の地下探索で生存ルートが難しくなってしまうので、ここら辺は書いてます!
あと、書いてて思うのですが……サンラクって下手したらアインズより人に対して容赦なさそうというか
サンラクというキャラのカルマ値自体は善だろうけど、内心は恐らく悪よりかな?と。
だから見ず知らずの人を救うような事で面倒事に巻き込まれるならアインズより無干渉でいそうですね……!
しかも今は現地人をNPCとして見てるので現実の人間よりも命が軽いと思ってそう……
このままでハッピーエンドは作れるのか?