オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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不幸な事故であり故意では無いのだ

アルシェ強化計画を実行し数日が経った。あれから午前は依頼の受注。午後からは俺との打ち合いというハードスケジュールをこなしている。

 

しかしその介もあって、アルシェはみるみる成長した、と思う。Lv表記は見えないので実際よく分からんが、本人は第4位階魔法の一つを使えるようになったとか……矢の本数が3から4になったとか……

 

本人は喜んでいたがどれぐらい凄いのかはイマイチだ。ちなみにあの矢の魔法……受けている内に面白い事が判明した。

 

一度アレを避けたところ、矢が進んでいた方向から急に曲がり避けた俺の所にまた飛んできた。妙に思い本気で走ってみると、あの矢も同じ速度で付いてきた。

 

アルシェに聞いたところ特に操作などの干渉はしていないと…………お分かりだろうか?

 

なんとあの矢は必中効果を持っていたらしい…………。聞けばあの矢の魔法は第1位階魔法、つまり初歩の初歩で習う魔法らしい…………。

 

その時俺が思った事は魔法って何でもありか?と心の中で叫んだ。

 

まさかあの矢が吸血幼女のときみたく必中効果があったなんてな………………

 

まぁウダウダ話してみたがアルシェ強化計画は順調と言っていい。使える魔法も一つ増えたし最初に比べればMPもスタミナも増えたと感じる。

 

そして今は久しぶりの休暇中?

 

流石に毎日身体を鍛えまくってたら身体を壊すと言ったのはサイナだった。NPCにそれ通用するのか?とも思った……

 

今までのサイナの立ち振る舞いやアイツの言葉を聞いていると、違和感を節々から感じる。なんていうか……現実的な考え方?みたいな。

 

もしかしたらアップデートでNPCの思考とか記憶とか一部が改ざんされているかもしれないな……。

 

おっと話が逸れたな。まぁ、そのサイナの提案で今日は特に依頼をこなさず、模擬戦をしない休暇日となった。

 

この休暇日……アルシェの場合は必要なものなのかもしれないが、俺の場合は依頼や模擬戦などでも特に疲れていない為、必要は無いことになる。

 

しかし俺は文字が読めないので俺1人で依頼を受ける事はできない。

 

このマップに来てからもモンスターを狩るか人を狩るかのバーサーカーな生活しかしてこなかった為、それを俺から取られると、え?休暇ってどうやって過ごせばいいの?という問題が出てきた。

 

宿屋に居ても落ち着かずソワソワしているとサイナが 外で売店などを見て時間を潰せ、という命令が出た。

 

で、今は外に出て売店を巡ってるって感じだ。

 

一応サイナも居るが、食品関連の売店を巡ってる俺に対して、アイツはマジックアイテム関連の売店を巡っている。

 

ここらのマジックアイテムは、性能に関しては戦闘で使えないぐらい悪いのだが、生活面を考えると何かと便利な物が多いんだな。

 

性能が悪いのに対し、生活面でのかゆい場所に手が届くという点では、中々に使える物が多い。

 

ま、そんなこんなで俺は食べ歩きをしながら街を散策していた。

 

途中、俺の姿を見て 亜人には物は売れない と言われ拒まれもしたが、覆面を外して人間であると伝えればすぐに購入できた。

 

サンラクは手に持っていたリンゴをひとかじりする。

 

アルシェの時もそうだが……この国は亜人に抵抗でもあるのだろうか?

 

道行く奴ら全員が俺をガン見してくるがやはり俺は罪な男。それが女の姿だろうと男の姿だろうと変わらないという事だろうか……

 

サンラクが道を歩くと、何故か人の波が割れるようにサンラクを避けて人が行き来する。

 

まぁこれはこれで歩きやすい。流石に道行く奴ら一人一人に人間です。と宣言する訳にもいかんよな。

 

サンラクの頭には覆面を外すという選択肢は眼中には無かった。

 

サンラクがそうやってリンゴを頬張りながら歩いていると……前から一人、サンラクの方へと必死に走ってくる赤髪の女がいた。

 

ん?

 

赤髪の女は何者かから逃げるように怯えた表情で走っている。

 

サンラクは不思議に思いながらも流石に避けるだろうと思い、横に避けずにそのまま歩いていると

 

ドン!と

 

赤髪の女はサンラクにぶつかった。

 

サンラクはLvの差からかその衝撃に動じず、しかし赤髪の女は地面へ尻もちをついた。

 

赤髪の女は何にぶつかったのかと前を見る。そしてその姿を視覚に捉えた瞬間

 

「た、助けてッ!」

 

サンラクの足を掴み泣きそうな顔でサンラクへと必死に助けを乞う。

 

いきなりどうしたんだ?この様子だと誰からか逃げてきたとか?か……もしかしてイベントフラグ?…………

 

サンラクがそう考えているとある事に気付く。

 

…………!!?……こいつ……耳が…………

 

サンラクの目に映ったのは女の耳の先端が刃物のような何かで切断された跡。

 

それから女の姿をよく見ると、服装はぼろ雑巾のように汚れた布を服のように仕立てた物。

 

そしてさっきの疾走で怪我をしたのか、靴も何も履いていない足は砂利によって血まみれになっていた。

 

こいつ……一体……ん?

 

サンラクはまた女の耳を見る。よく見ればその耳は途中で切断されているのにも関わらず、普通の人間と長さが変わらない。いやむしろそれでも通常の人間より大きい程だ。

 

もしかしてこいつ……

 

「エルフ……?」

 

「おっと!!申し訳ありません。内の奴隷がとんだ御無礼を…………ん?」

 

サンラクが呟くと同時、人混みの中から切れ長の目をし格好が侍風の男が出てきた。

 

男はサンラクに目にすると、先程まで笑っていた表情を崩し、無表情になる。

 

「何故このような場所に亜人が?」

 

また亜人と勘違いされてんのか……。ていうか奴隷?

 

推定赤エルフを見ると、怯えた様子でサンラクの後ろで隠れ震えていた。

 

「なぁ、アンタ……もしかしてコイツの知り合いか?」

 

サンラクは男に話をかける。

 

「フン……亜人風情がこの私に話しかけないでください。その醜さが写ったらどうするんです?」

 

しかしその回答は罵倒と拒絶で返された。

 

サンラクは少し青筋を立てる。

 

「さぁ、さっさとこっちへ来い!お前をしつけてやる!」

 

男は赤エルフの腕を掴み、強く引っ張る。

 

「い、いや!!助けて!!」

 

赤エルフは必死に抵抗して近くにいるサンラクへと助けを乞う。

 

ん〜どうしようかな……さっき奴隷って言ってたしな。この国には奴隷制があるんだとして、あの男があのエルフ(?)の主人だとすると……下手に助けるのも不味いか……事情も分からねぇしこれに関わっていいものか……。

 

サンラクは助かるべきか否かと男とエルフのやり取りを見ながら考えていると

 

赤エルフが男の腕を振りほどき、そしてまたもや赤エルフがサンラクの後ろへと素早く隠れた。

 

ちょ!……お前なぁ…………。

 

もしかして強制イベなのか?無干渉でも絶対関わる事になるのか?

 

「助けて……ください……!お願いします……。」

 

赤エルフはサンラクの後ろでそう言う。

 

んー…………話ぐらい聞いてみるか?

 

「なぁ、さっきから気になっていたんだが……こいつはお前の奴隷で、お前はこいつの主人か?」

 

サンラクは対面に居る男に話しかける。

 

「何を分かりきった事を……さっさとそこをどいてください。ゴミ風情が、邪魔ですよ」

 

やっぱ奴隷だったらしい。何やら後半俺への罵倒も混ざっていたがまぁ、ここはクールに流してやるさ。

 

「あぁ……コイツの耳が途中で切られてんだが何かあったのか?」

 

サンラクは気になっていた事を口にだす。

 

「当たり前でしょう?この私、天武のエルヤー・ウズルスの奴隷となるのです。卑しいエルフの長い耳は私の名前に傷がつく。だから人間と同じ長さに切って差し上げました。むしろ感謝して欲しいですね。」

 

エルヤーと名乗る男は下卑た笑いでそう言う。

 

あちゃー……なんか色々キモいやつだな……えっと?名前はエ何とかさんだっけか?

 

「それよりも……貴方はなんですか?私達とは全くの無関係。まさか同じ亜人と情が湧いて助けようと?フ……フハハハハ!!」

 

エルヤーは突然笑い出す。

 

えぇ……なんか話がいきなり飛躍してるし突然笑い出すし……ヘルヤーだっけか?もしかしてやばい奴か?

 

「これは傑作だ!!まさか虫以下の価値しかない亜人が人間様の真似事をしようとしているとは!」

 

サンラクはその様子をジト目で見る。

 

「…………おい、コイツ頭大丈夫か?」

 

サンラクは後ろに居た赤エルフにわざと何ヤーに聞こえる声で話しかけ、エルヤーだかヘルヤーだかを指さす。

 

赤エルフは一瞬ポカンとしてから言葉の意味を理解して頭をフリフリと横へ振る。

 

どうやら頭は大丈夫じゃないらしい……

 

「まぁ、一回落ち着こうや……えっと?エフヤー?」

 

「…………エルヤーです。まぁ、頭の小さい亜人程度が私の崇高なる名前を覚えれるとは思っていませんが……

 そろそろどいてもらえませんかね?私は貴方と違い忙しいので」

 

きちぃ……そしてきめぇ……。まぁ話してて分かる通り、こいつが厄介な亜人差別主義者なのは分かった。

 

「とりあえずこれ食って落ち着けよセルナー」

 

サンラクはそう言って手に持っていたリンゴを何ヤーに渡そうとする。

 

何ヤーがそれに気付き、リンゴへと手を伸ばそうとして

 

そしてサンラクの手にあったリンゴは何ヤーの手によって弾かれ地面へと転がる。

 

そしてエルヤーは転がるリンゴを勢いよく踏みつける。

 

「お前……私を馬鹿にしているのか?さっきからこちらが下手に出て接してやったというのに……いいか?本来ならば亜人などという下等生物が私のような高貴な人間と話せているだけで幸福だというのに……それに私の名はエルヤーだ!!」

 

お、おぉ?いきなりキレだしたな……思ったより効いていたのか?

 

「えっと?エロヤーくん?少し頭を冷やして落ち着けよ……」

 

「チッ!!もう我慢ならん……!ここで斬り伏せて見せ物にしてやる!!」

 

そう言ってエロヤーは持っていた刀に手をかける。

 

おっと……どうやらそっちで語り合おうという事らしい。いいぜ?俺もそっちの方が好きだ。

 

ただ………………見るからにコイツ弱そうなんだよな。しかも道の真ん中で……人が多いからあんま騒ぎすぎると厄介か?

 

だが大丈夫だ。俺はクールでビューティーな男。この火種を一刻も早く消す方法を知っている。

 

いかに自然に……そして優雅に…………

 

「あ!!クールすぎて手が滑ったァァァ!!」

 

これは喧嘩じゃない……そう、口論の中で起きた不幸な事故なんだ……

 

「ぶフッ!!…………」

 

サンラクが日頃雑魚モンスエンカで溜まっていたストレスを拳に込めてエルヤーの顔面へと右ストレート(死なない程度の手加減)をお見舞いする。

 

何ヤーはサンラクのあまりに強い拳によって何本か歯が飛んでいき、そして身体で抑えきれなかった衝撃で何ヤーの身体は宙に浮き、近くにあった木造の壁に激突し、身体半分がその壁に突き刺さった。




ここら辺で書いてておもうのですが、自分で話を考えるって難しいな、と改めて感じます。

やはり原作者様方は本当に天才だな、と書いてて感じますね!

早く原作路線に帰りたいです!

ちなみになんですが、投稿を重ねていく内にある事が変わっている事にお気付きでしょうか?

実は一話分の文字数が段々と増えていってるんですね!

最初は2000文字をボーダーラインに書いてたんですが、中盤でボーダーラインが3000文字となり、なんと今じゃ4000文字を超えることも!

いつか5000に到達するんじゃないかと震えています……

クッソどうでもいい話をしましたがどうかこれからも暖かい目で見守って頂ければありがたいです!!
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