オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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混ぜるな危険

ふぅー……スッキリしたぜー。最近は中々にストレスが溜まっていたからな!うん!でもワザとじゃないぞ!今のは事故だから!

 

中々に殴りがいのある野郎だった……何だっけか…………黒狼の……†武閃陰蝕†(無銭飲食)と同じチームで……リ何とかとかいう…………あぁ!

 

リカマセオスだ!!

 

エロヤーとかいうあのキモいやつ……リイケニエオスに何処か似てるんだよなぁ…………ほら!やけに鼻につく部分とか!

 

おっと…忘れていた……不幸な事故による被害者が一名、壁に埋まっているんだった……

 

今すぐ助けてやるからな!カベヤー!!

 

サンラクは上半身が壁に突き刺さった近付き

 

「おぉい、大丈夫かぁ?」

 

と指でツンツンしながら言う。

 

カベヤーは壁に突き刺さったままピクリとも動かない。

 

あ、あれ?

 

……………………し、死んでる……?!

 

…………………………………………。

 

……くッ!……俺は一人の命を救えなかったというのか……!

 

サンラクは悔しそうに拳を握りしめる。

 

……せめて無念なコイツの為にも墓を立ててやらんとな…………

 

そう思ってサンラクは周りを見渡し

 

あ、丁度良いお供え物があるじゃないか……。

 

地面で潰されていたリンゴを手に取り

 

カベヤーの腰辺りにそれを置く。

 

……………………安らかに眠れ……。

 

サンラクは両手を合わせ、黙祷する。

 

サンラクがそうしていると横から先程の赤エルフが来てサンラクを真似るように両手を合わせて黙祷をする。

 

それをサンラクは半目で見た。

 

ほぉ……中々に筋のいい煽りスキルだ……。さては空気を読んで俺と同じことをしたな?見込みがある。

 

壁に突き刺さった男に潰れたリンゴを供え、それに2人黙祷をするという怪しげな宗教団体がここにはあった。

 

「疑問:契約者、何をしているんですか?」

 

そんな怪しげな宗教団体に声をかける者が一人。

 

マジックアイテムの売店から帰ってきたサイナがサンラクに話しかける。

 

お?サイナか……

 

「見てわかんねぇか?」

 

肯定(当たり前):契約者(マスター)のような頭の回路が一部欠如している者の考えている事など、インテリジェンスの塊であるこの当機(ワタシ)には分かりかねます。」

 

「あ?誰が狂人だって?」

 

否定(いえ):契約者は狂人ではなく変人です。」

 

このポンコツロボット……中々に口が減りやがらねぇ……。

 

「それとその方々はお知り合いですか?」

 

サイナはサンラクの横にいた赤エルフと壁に突き刺さっている男を指さす。

 

「ん?あぁ……こいつはまぁ、助けたっていうか助けさせられたというか、不幸な事故が起きたというか……」

 

サンラクは赤エルフを見て言う。

 

「……?……………それではそっちの方は?」

 

サイナは壁に突き刺さった男を見る。

 

「……?……何言ってんだ?これはどっからどう見てもよく街で見かけるオブジェだろ?」

 

サンラクはやれやれと言った表情で言う。

 

「…………いえでm」

 

「これはかつて虫のようなクズ魔人、カベヤーを封印するために人間が作ったオブジェでな……かのリカマセオスが設計したとされている(早口)」

 

サンラクはサイナに被せるように話す。

 

「………………そのオブジェ、動いてますよ?」

 

サイナはジト目でオブジェを指さす。

 

「え?」

 

サンラクが見ればカベヤーは意識が戻ったのか手を使った必死に壁から首を抜こうとしていた。

 

なんだ生きていたのか……

 

カベヤーは必死に壁から首を抜こうとするが一向に抜ける気配がない。

 

「……何やら契約者が粗相をしてしまったようで…………仕方がない、手伝います。」

 

「おいやめろ!封印が解かれてしまう!!」

 

サイナはサンラクの言葉は無視してカベヤーの近くにいき、そしてカベヤーの腰付近を手で引っ張る。

 

分析():思っていたより上手くハマっていますね……」

 

サイナは引っ張る力を徐々に上げ、手に力を入れていく。

 

カベヤーが何やらバンバンと手で壁を叩き悶えているようにも見えなくは無いがまぁ多分……幻覚だろう。

 

「もう少し……」

 

サイナは手に力を入れながらそう呟く。

 

壁からはミシミシと軋む音がしてカベヤーもその音に習うように一定のリズムでバンバンと壁を叩く。

 

もう限界だと言わんばかりに壁もカベヤーの雑音もこれでもかと大きくなり、そして……

 

カベヤーの顔が壁の破片と共にあらわとなる。

 

カベヤーはやっと抜けたと少し安堵にも似た表情をする。しかしその表情が保たれたのは一瞬であった。

 

カベヤーが突然抜けたと同時、サイナが引っ張っていた力の行方が無くなり、そのまま後方へと流れる。

 

そしてもちろん掴まれていたカベヤーも一緒にその力と同様の方向へと向かう。

 

サイナは何とか止めようと足で踏ん張るものの、手に入っていた力は中々抜く事が出来ず、身体が反り返る。

 

サイナはそれでも身体を止めようとするが逆にそれがマイナスとなり力の行き場を無理矢理作ってしまった。

 

それはあまりにも綺麗にそして偶然にプロレスの投げ技である型へとハマる。

 

サイナがカベヤーの後ろから組み付き反り投げる体勢。

 

カベヤーはそのままの勢いで行き場の失った力達を一身に受け止め、地面へと衝突。

 

「ぐぶフッ!!」

 

そう、これがプロレス技お馴染みのジャーマン・スープレックスであった。

 

「「おぉー……」」

 

サンラクと赤エルフはその様子を見てパチパチと拍手を送る。

 

「………………私とした事が…………」

 

カベヤーは地面に頭を突っ込んだ状態となりカベヤーからツチヤーに進化。向きが変わっただけで先程のカベヤーとなんら変わりない状態になった。

 

「このままでは当機のインテリジェンスの沽券に関わる…………結論(なるほど):このまま土に埋めますか。」

 

「おい待て……」

 

サンラクは契約者(保護者)としてサイナの肩をポンと叩いてポンコツロボの暴走を止める……

 

「まだ息があるだろ?」

 

でもなかった。

 

理解(そうでした):……では当機(ワタシ)は穴を掘るので契約者(マスター)はサクッと殺ってください。」

 

「おぉけー」

 

外道2人組はお互いやる事を理解して作業に取り掛かろうとする。

 

だがしかし

 

「おい!貴様ら!!何をやっている!!」

 

人混みの中から大きな声で怒鳴りながら近付いてきたのは衛兵であった。

 

先程の騒ぎ(壁埋め土埋め)によって人が集まり、そしてこの現場を見た誰かが衛兵に通報したのだろう。

 

げっ!あのときの検問兵……。

 

「……貴様何処かで………………あ!!あのときの魚頭だな!!」

 

衛兵はサンラクの姿を見てある日の検問所での事を思い出す。

 

「やはり問題を起こしたか!!で、この現場はどう説明してくれるのだ?!」

 

衛兵は土に埋まったツチヤーとシャベルを持って構えているサイナを見てからサンラクへと睨みをきかす。 

 

「いやいや誤解だって!!俺は何もしてねぇ……!!これは偶然で起こった悲しき事故なんだよ…………」

 

そう、これはたまたま俺の手が滑ってカベヤーに当たり、そしてサイナが偶然ジャーマン・スープレックスをツチヤーに決めたことによって起こった悲しい事故……。

 

うん……!まったく悪くないね!!

 

「俺は咎めるならまず先に乱数の女神を咎めるべきだろ?な?」

 

「乱数……?何を言っているのか分からんが話は役所で聞いてやる!!」

 

「ちょ……待てって!おい赤エルフとサイナ……!俺が無実だってこいつに言ってやれ!!」

 

……………………

 

返事は帰ってこなかった。

 

コイツら……!……ってあれ?

 

サンラクが周りを見るとサイナと赤エルフの姿は何処にもなかった。

 

……あ、アイツら…………まさか全責任を俺に押し付けて逃げながったな……!!

 

「さっさと来い!」

 

ちょ……!…………どうする?逃げるか?嫌でも逃げたら逃げたで……手配書とか作られてもっと厄介に…………くそ……どうする?

 

「ちょっとごめんなさいねぇー、後ろ通るよ、通して通して」

 

何処からか場には合わない素っ頓狂な声が聞こえる。

 

そしてその声の主であろう男が人混みの中から現れる。

 

「よ!ルーキー。」

 

その姿はサンラクが最初に帝国へ来て世話になったワーカーの先輩。名前は確か……

 

「へ、ヘックラン……!」

 

ヘックランと言われた人物はガクンと首を落として苦笑いで言う。

 

「ヘッケランだ!」

 

おぉ……そうだったそうだった。

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