オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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一石二鳥

「ヘッケランだ!」

 

ヘッケランは改めてサンラクへと名前を名乗り、次に衛兵の方へと体を向ける。

 

ヘッケランは衛兵の肩へと手を回し馴れ馴れしく話す。

 

「なぁ兄ちゃん……今回は見逃してくんねぇかぁ?」

 

「な、なんだ貴様は!……さてはコイツの仲間か?」

 

衛兵は少し動揺して話す。

 

「まぁまぁ…………」

 

ヘッケランは衛兵に手を差し出し周りから見えないように隠しながら手の中にある物を見せる。

 

「……!!」

 

そこには銀貨数十枚が握られていた。

 

衛兵はその銀貨の意味を理解し、そして素早く自然な動きでヘッケランかれ賄賂を受け取る。

 

受け取るとヘッケランは衛兵から離れ、そして衛兵は後ろを向く。

 

「ゴホン…………今回はその男に免じて許してやろう。だが、次は無いぞ!」

 

衛兵はそう言って何処かへと去っていった。

 

そして衛兵に連られてか人の群れもやがて散っていく。

 

サンラクはその一部始終をジト目で見ていた。

 

何が次は無いだ。賄賂受け取って逃がしてやがる癖に……まぁ今回はありがたいがな。

 

「助かったぜヘッケラン。危うく牢屋暮らしになる所だったぜ。」

 

「へっ、久々に見たらそんなんになってるもんだから最初見たときは驚いたぜ?」

 

最近のお互いの近況を話し合いそんな談笑を2人楽しく喋っていた。

 

そしてその途中、会話が切れ話す内容が無くなってきたときに、サンラクの目つきが強ばった物となり疑問に思っていたことをヘッケランに切り出す。

 

「………………でよぉ、知り合いとはいえ1日だけしか会ったことの無い相手にあんな賄賂まで渡して助けたんだ……。何か裏があってそうしたんじゃないか?」

 

「おっ、話が早くて助かるね。」

 

ヘッケランは平気な顔で返す。

 

「あそこの土に埋まっているアイツ分かるか?」

 

ヘッケランは土に埋まったツチヤーを指さす。

 

見れば衛兵達がツチヤーを囲んで土から抜こうとしていた。

 

「性格はさておきだな……剣の腕なら帝国でも負け無しって噂だ。」

 

そうなのか?実際殴ってみたが受け身の一つも取れてなかったぞ。いや事故で手が滑っただけだが。

 

「不意打ちとはいえ、そんなアイツの顔面に一発入れてぶっ飛ばしたときは驚いたぜ?横にいた嬢ちゃんも中々だった……あれ?そういや嬢ちゃんは?」

 

「ん?サイナは……」

 

応答(呼びましたか?)

 

「うおっ?!いきなり出てくんなよ!!」

 

先程まで何処かへ姿を消していたサイナはサンラクの後ろから現れる。

 

「お前さっきはあの赤エルフと逃げやがったな?」

 

否定(失礼ですね):戦略的撤退です。」

 

サイナは無表情でサンラクに返す。

 

あれ?そういえば赤エルフは居ないのか……?

 

「おぉい!話、戻してもいいか?」

 

ヘッケランは話が逸れそうになっている所をパンと手を叩いて話を戻す。

 

「まぁ、結論から言うとよぉ、俺のワーカーチームに入らないか?」

 

…………なるほどそう来たか。

 

「実は最近新しいワーカーチームを結成したんだ。俺合わせて3人。本当は4人パーティでマジックキャスターを一人入れようと思ってたんだが…………

 

あのエルヤーを一発でノックダウンさせた腕っぷし。そして何より、エルフを助けてあのクソ野郎に一発入れたって所に俺は痺れたぜ?」

 

ヘッケランの口調を考えるに前者というより後者の方が本音っぽいか。

 

「どうだ?一緒にパーティ組まないか?」

 

ん〜せっかく起こしたイベントフラグだが……色々考えると

 

「……すまんな。丁重に断らしてもらうわ。」

 

サンラクはそう素っ気なく返す。

 

もしパーティを組んだとして、エルヤーを強いと定めてるコイツと組んでも、ただ俺が1人前出るだけで終わりそうだ。はっきり言って足でまといになる。

 

それに今は臨時パーティだとしてもサイナとアルシェも居るしな。無責任にパーティを解消して、はい解散とはならんだろ。

 

「……そうか…正直残念だ。」

 

「まぁ、賄賂とはいえ金を出してまで助けて貰ったんだ……その分の金は返すぜ?」

 

サンラクは硬貨を取り出そうする。

 

「おいおい、そんなんじゃ俺の格好が付かねぇだろ?金はいいさ。良き先輩からの贈り物と思ってくれ」

 

ヘッケランはそれを止めさせる。

 

「そうか?…………だったら俺が聞ける範囲で言ってくれりゃ何でもやるぜ?頼み事でも何でも」

 

ヘッケランは少し考えた後

 

「特には思い付かんな…………さっきも言ったとおり、パーティメンバーを探してんだ。出来ればマジックキャスター辺りが好ましいが、まぁもし身近にパーティに入りたいって奴が居たら、歌う林檎亭って所まで来てくれや。俺たちは大体そこを拠点にしてるからよ。」

 

「了解だ。助けてくれてあんがとな!」

 

「おう!気にんすんな!じゃまたな!」

 

そしてサンラクはヘッケランと別れる。

 

「当機のメモリには無い顔でしたが、契約者とはお知り合いで?」

 

先程まで空気に徹していたサイナが話が終わった事を理解して話しかける。

 

「まぁな。初めてここに来たときに親切にしてもらった。」

 

サンラクはヘッケランの会話を思い出しながら言う。

 

正直ヘッケランには借を作りまくってて悪いとは思う。何か俺に出来ることがあればいいんだが……

 

俺がチームに入るのは却下。実力差があるし、今は臨時パーティがある。それにアルシェの依頼の事もある。

 

結局ワーカーについては俺もアルシェも手探り状態。元々の依頼も早い内に片付けておきたいんだが…………

 

ちなみに一度アルシェからこのまま一緒にワーカーチームを結成してワーカーをするという提案が出たがこれは既に却下した。

 

理由はまぁヘッケランの時とほぼ同じ。

 

今は臨時パーティがあると言ったがいつまでもこのパーティで活動する気は無い。臨時なのだ。あくまでアルシェの依頼をこなすまでの臨時。

 

色々やることはいっぱいだな……。

 

ん?待てよ…………ヘッケランは話を聞く限り、ワーカーという仕事に就いてまぁまぁ古株っぽい。そしてパーティメンバーを1人募集中。マジックキャスターつまり魔法職なら尚更良いと…………

 

対してアルシェはワーカーという仕事についての知識を経験者から貰い、借金を返したい……。しかも魔法職である、と。

 

……………………天才か?

 

なるほど……これで俺が抱える複数の問題というかToDoリストを消す事ができる……!

 

サンラクはフフフと不気味な笑い声を覆面の中で呟く。

 

サイナはそんな契約者の様子を、まぁ、いつもこんなものか……で流した。




実は何ヤーが残した実績はまぁまぁデカかったりする

まずはヘッケランとのイベントフラグ!これでやっと原作路線に戻す事ができます!!

そして力の証明!何ヤーがぶん殴られた事により何ヤーと同等、もしくはそれ以上の実力があることを示せます!不意打ちですが

何よりこの小説に身を呈して笑いを届けてくれた…ありがとう…何ヤー……黙祷黙祷
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