ツボに入ったのかしばらくネムと呼ばれた少女は笑いが治まらなかった。
やっと治まりエンリがネムに聞く。
「ネム、一体どうしたの?」
「あ、あぁ、ごめんお姉ちゃん。その、村の近くに魚と鳥の顔を持った人型のモンスターが出たって…。」
「それって……」
「間違いないでしょうなぁ…」
「ナニ?!ソレハタイヘンダァ!!早く倒しに行かなければ!!」
なんだ、お前ら…。何で俺をジト目で見てんだ?これっぽちも全然、微塵も、欠片も、毛程も覚えが無いね。
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まぁ色々あったが4日ほどこの村に滞在した。
ログインして何日も経っている。それなのに何故か強制ログアウトされなかった。それに、だ。バグか分からんが普通に寝れた。空いている部屋に泊めてもらい色々考えてたら寝てた。夢も見た。それに飯も食えた。元々は食えたがちゃんと腹に溜まるような感覚がした。それ所か…何ていうか言い難いが排泄が出来た。ここについては特に触れはしない。うん。
本当どうなってやがる。普通こんなゲームをしてたら身体に、つまり頭に影響が出るはずなのだが俺はめっちゃ元気だ。流石にただで泊まる訳もなく村の復興の為の木を切っては運び切っては運び、建物の修復。案外早く終わったもんで3m近くになる柵も作ってやった。もぉ、これ以上ないくらい元気で今ならリュカオーン単一で勝利できる気ガス。
流石に何日もこうしているともしかして?と思うことがある。ほら、ライトノベルとかで言う異世界転移。そういうもんに遭遇しちまったんじゃないか?って思ってしまう。
しかしそう考えると何故シャンフロの姿でここに居るのかとも思う。普通現実世界の身体で転移、だろ?何で半裸で覆面のままサンラクというプレイヤーなのか。
既に答えは出した。それは下手に考えないという事だ。これがゲームにしても現実にしても考えても仕方ない。なぜなら確かめる術などないからな。ならばこれはクソ程リアルなゲームとして考える事にした。
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「うぉぉぉ!!食っちまうぞぉぉ!!」
「「キャー 」」
「もっと速く!サンラク!!」
「うぉぉ!はえぇぇ!!」
それで今は村にいるガキ共の相手をしている。
頭にネム、肩にガキ2人、両手の腕を掴んまっている2人。そんな格好で残りのガキ達を追いかける。
俺は別に子供は嫌いじゃない。年下の従兄弟だってよく可愛がっていた。
そんな訳ですっかり俺はこの村に馴染んだ。
「みんな!そろそろご飯だよ!!」
「「「ハーイ!!」」」
その声でガキ共は家の方へと走っていく。
「またな、サンラク!!」
「またね!!」
「バイバーイ!!」
「おう、ちゃんと親の言う事は聞けよ、ガキ共〜!じゃないと〜………魚のモンスターがお前らを食っちまうからなぁァァ!!」
「「「キャー!!」」」
サンラクは魚の覆面に変えて子供を追いかけ段々と速度を緩めて止まる。
「悪いねぇ、サンラクくん。本当子供たちの相手をしれもらって助かってるよ!」
「いえいえ、こっちはタダでこの村に住ませてもらってる身ですんで、これくらいは当然っすよ。」
「そうかい。アンタが来て4日、すっかり馴染んだねぇ。最初見た時は亜人か?って驚いたけど」
「アハハ…」
「じゃ、アタシはこれで、また明日ね。」
「うっす。」
そう言いサンラクはエンリの家に行く。
今泊めてもらってるのはエンリの父の部屋。何やら亡くなってしまったとかで空いているのだとか。
「あ、サンラク!お帰り〜!」
「おう、ネム。さっきぶりだな。」
「お帰りなさい。サンラクさん。」
「ただいまっす、エンリさん。」
最初はサンラクは、子供といえど女2人が住む家にこんな変質者が、いや待て誰が変質者だコラァ!そうではなく男が泊まってもいいのかと思ったが、相手が了承してるし、別にゲームだしいいかぁ、と思い家に泊まらせてもらっていた。何かアップデート?かは知らんが元々リアルであったシャンフロが更にリアルになった気がする。キャラクターの表情とか性格とか、何か生々しい。
そして3人は食卓を囲んで食事をしていた。
本当に腹に溜まる感覚がある。今までは無制限に食べ物を食べれたが今は何か腹の感覚?的にどれぐらい食べれるかが分かるようだ。
色々とここに居て分かった事だが、ここはカルネ村というらしい。周辺にはエ・ランテルという首都があるらしい。新マップという事で色々行ってみたい。
という事で明日ぐらいには村を出ようかと考えていた。
「あのぉ、エンリさん?」
「どうかしましたか?」
「明日にはこの村を立とうと思います。すいません。折角色々してもらったのに…」
「そう、なんですね…いえ、大丈夫です!サンラクさんはこの村の為に色々してもらったんです。むしろ感謝したいぐらいです!」
「サンラク…出てっちゃうの…?」
「そんな顔すんなって、俺は元々よそ者だし、それに別に一生の別れって訳じゃないしな。多分直ぐ会えるしって、うお?!」
ネムがサンラクに抱きつく。
「すっかりネムはサンラクさんに懐いちゃいましたね。」
エンリは少し笑う。
サンラクはどうしたものかと頭をかいた。
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翌日の朝、サンラクはカルネ村の入り口へ向かう。
見送りはエンリとネムだけだ。
「他の人たちに挨拶しなくて良かったのですか?」
「ん〜、ちょっと辛気臭いのは苦手で、ね。」
「そうですか…村の子供たちはきっと悲しみますよ?」
「そっすかねぇ……ま、別に一生の別れじゃねぇんだ…じゃ、そろそろ」
「はい…また会いましょう!」
「またな、ネム。」
「また…会えるよね?」
「おう、きっと会えるさ。」
「約束…」
そう言いネムは小指をサンラクに向ける。
「おう、約束だ。」
サンラクはその小さな小指を優しく自分の小指包む。
そしてサンラクはカルネ村を去る。
少しロールプレイに熱中しすぎたか?まさかあそこまで懐かれるとは。俺もつい付き合ってしまった。まぁ、悪い気はしないから別に良いんだが。
カルネ村のエピソードが思いつかなすぎて話が薄くなりました。