その姿はさながらバーバリアン
「双剣斬撃!!」
ヘッケランが両手に構えたショートソードを目の前の敵に振りかざす。
目の前に立ちはだかる巨大な骨のドラゴンはその斬撃によって力尽きたようで、巨体を支えていた足はフラフラとバランスを崩し、地面を揺らして倒れた。
「………………うおぉっしゃァァ!!」
ヘッケランがそう叫ぶ。
「やりましたね……!」
ヘッケランに呼応するようにロバーが言う。
「…………や、やった…………。」
アルシェが息を吐くように呟く。
「お疲れ様、アルシェ!ナイスだったわ!」
アルシェへと労いの言葉をかけるのはイミーナ。
「よぉし!お前ら!よくやった……!!」
ヘッケランが全員の方を向いて喋る。
「今夜は新たな仲間の歓迎会も含めてパーッとやろうぜ!!」
「いいわね!久しぶりに贅沢しましょう!!」
イミーナが言う。
「飲みすぎは良くないですが……まぁ、1日ぐらいは付き合いましょう。」
ロバーも言う。
ヘッケランが言った歓迎会。その言葉表す意味は全員、言わずとも理解していた。
「…………ありがとう……。」
アルシェはそう呟く。
そしてその言葉を聞いた3人はお互いがお互いの顔を見て、少し笑い合った。
「じゃ、素材の回収と行きますか………!!…………って何だ?」
ヘッケランが倒したスケリトル・ドラゴンの素材を回収しようと振り返ると、薄暗い霧の中、何かがこちらへと向かってきていた。
「ッ…………!!」
突然アルシェが目を抑えるように、何かに悶えるようにしゃがみ込む。
「どうしたの……?!アルシェ!」
アルシェの体は震えていた。
そんな様子を見てイミーナは心配するように駆け寄り肩を貸す。
アルシェは目を手で覆いながらなんとか体を起こし、そして震える手で近付いてきている物を指差す。
「みんな……逃げて…………あんな膨大な魔力の塊…………見た事ない…………」
アルシェが弱々しく言う。
「……まさかモンスターか?」
ヘッケランはそう言って自分達に迫る謎の物体を警戒する。
「一応、警戒しておけ!もしかしたらこのまま戦闘になるかもしれねぇ!!」
ヘッケランは全員にそう呼びかけ気を引きしめる。
その間、謎の物体は確実に着実にこちらへと近付いており、先程まで暗くて見えず、霧によって隠れていたその姿が段々と顕になっていく。
それは鋭い突起のような物が正面についており、左右にはまるで翼のようなものが広がっている。
それの表面は小さな光をも反射してキラキラと輝き、自然特有の人工物とは思えない美しい装飾。それはまるで深海の王の鱗を彷彿とさせる。
「…………船?」
日々のレンジャーによる経験からか、研ぎ澄まされた感覚と暗い場所であろうと敵を捉えるその目によってイミーナがいち早くその謎の物体の正体を暴く。
しかしそれは船と呼ぶには明らかに矛盾している点があった。
それがもし船であるならばどうやって水の無い土の大地を進んできたのか。
そう、それは浮いていたのだ。
明らかに地面から数メートル浮き、空中を動いている。
「な、なぁ……一体ありゃぁ…………」
ヘッケランが口をあんぐりと開けて言う。
「…………じゅ、授業で聞いた事がある…………カッツェ平野には陸を走る幽霊船が出没すると……都市伝説と思って聞いていたけど…………」
アルシェが言う。
「ど、どうするの!逃げる?!」
「もう遅いですよ!もう目の前まで来ています!!」
その言葉と同時、ドスンッ!といった地響きが地面に響く。
「……止まった…………?」
近づいてきていた船は突然地面へと降り立ち動かなくなった。
その様子を全員が全員、意味が分からないといった表情で船を見ていると
船の右側面の一部が突然、ガタンという音と共に開く。
そしてそこから青い鳥の覆面を被った半裸の男が出てくる。
「……サンラク?」
その姿はサンラクであった。
「よォ!アンデッド退治は上手くいって…………どうしたんだお前ら……まるでUMAと遭遇したような顔しやがって?」
「……え、いや…………どうしたも何も……」
ヘッケランが言葉に詰まりながら言う。
「まぁいいや。話は後だ。早くこれに乗れ」
そう言ってサンラクは手招きをして船の中へと入っていった。
4人は終始理解不能と言った表情で、お互いの顔を見る。
「なぁ、何が起こったのか分かったか?」
「地面を浮く船から突然鳥頭のエイリアンが……」
「イミーナさん……あれはサンラクさんです……。」
「…………私はそれよりもサンラクがこちらを奇怪なものを見るような目で見たことが気に食わない……。」
先程から若干の目眩と頭痛に襲われながらも答えるアルシェ。
「…そこなのか……?」
3人は立て続けに意味不明の事が起きた事で脳がキャパオーバーしていた。
しかしアルシェは前まで臨時とはいえパーティーを組んでいたからか、この状況でも皮肉を言えるぐらいには余裕がある。
「とりあえず……入るか?」
4人は頷き、恐る恐るといったようにサンラクの指示通り中へと入っていった。
――――――――――――――――
入ったそこは恐らく船室の一室、ソファーやテーブルなどなどの家具が置いてあり、広々としたスペースがあった。
どの家具も目を奪われるような装飾が施されており、恐らく一般人では買えないような物ばかり。
しかしそれを差し置いて一際目を奪われる物があった。
3つの像。そう、そこには岩から掘られた見事な像。
1つは筋骨隆々とした身体を持ち、その背中からは邪悪の翼が生えている。角の生えた鳥のようなおぞましい顔からはこの像のモデルが邪悪な悪魔であるという事を訴えていた。
2つ目は妙にメカメカしく、所々身体の一部が欠けている部位がありこちらもおぞましい顔をしている。身体は肉体ではなく機体のように感じるが、動きとその見た目からは何処かゾンビを彷彿とさせるようなデザインだ。
3つ目は今までのおぞましい像と相対するように向かいに置かれている。その見た目は誰がどう見ても龍と分かる。雄々しくそして気高く、物語に出てくる伝説の龍と言ったところか……。しかし少し疑問に思うのは、その龍は手足が無くただ長い胴体が続いているだけだった。
「………………もしかしてサンラクって何処かのお貴族様のボンボンとかだったのか?」
ヘッケランがこの仰々しい船室を見て小声で3人に問う。
「あの見た目で……?貴族連中って見た目とか結構気にするタイプじゃないの?」
イミーナが言う。
「……イミーナさん…先程から失礼ですよ……。しかし貴族ですか……。
だとするとずっとサンラクさんに付き従っていたサイナさんという女性は従者?ですかね……」
ロバーが言う。
「アルシェ、なんかアイツから聞いてないのか?」
「…………遠くから来たとは聞いた……。サイナさんも従者みたいな者だって…………。しかしこんな船……普通の貴族でも絶対手に入らない代物……。
この船もそうだけどサンラクが使う武器も見た事のない物だった……。それにとてつもない魔力が篭っていたし今も……うッ!…………」
アルシェは途中で言葉が詰まり、口を抑えるような仕草をしてしゃがみ込んだ。
「だ、大丈夫か?!」
アルシェは少しの間口を抑えて無反応でいた。
そしてゆっくりと呼吸を整えるようにして
「…………私達が今、膨大な魔力の塊の中に居ることを忘れていた…………。」
落ち着いたのか喋りだした。
そんなやり取りをしていると
「おぉい、何やってんだ?早く上がってこい!」
サンラクが甲板へと繋がっているであろう梯子の上からひょっこりと顔を出して言う。
そして4人はその指示のまま恐る恐ると梯子を登った。
――――――――――――――――――
そこは甲板。この船を動かす上で大事な場所であり欠かせないもの。
4人が中で色々と話していた間に止まっていた船はまた動き出したらしく、空を飛んでいた。
「色々聞きたいことがあるんだが……まず俺達をここに呼んだ理由は?」
下から上がってきたヘッケランは早速サンラクへと問う。
どうやら突然船に連れてこられた理由を分かってないらしい。
「フッフッフ……付いてこい。」
サンラクは答えではなく不敵な笑いと指示を出す。
そして4人とも疑問符を浮かべながらもサンラクへと付いてこい。
サンラクは船の後ろの方へと歩いていき、そしてこの船が進む方向とは逆の方向を指さして言う。
「あれ、見えるか?」
4人は船の手すり部分を持って暗い霧の中を見ると
「船……?」
またもやイミーナが視認する。
「もしかしてあっちが幽霊船?」
アルシェが言う。
幽霊船?……あの船はそう呼ばれているのか?
「……そうなのか?……まぁ、言われてみればボロボロだったしそうなのかもな?」
4人が複雑そうな顔をする。
「………じゃあ、あれから助けるために俺達を…?」
ヘッケランが言う。
「……………………?……違うぞ?」
サンラクが真顔で言う。
「へ?」
思わず間抜けな声が出る。
「別にお前らを助けたって訳じゃないんだよなぁ。」
俺はあの船を見てふと思いついた事がある。それは天才的できっと楽しいものになるだろう。
「つまり……ど、どういう事で?」
サンラクはヘッケランの問いに答えず、何やら鳥面の覆面から魚の覆面へと装備を変更して
バッ!と天を指差す。
「エンジンサイナ!!これより後方の敵船を撃沈させる!!」
大きな声でサンラクが喋る。
「
それはサイナの声。サンラクの指差す空の方向。その場所にサイナは居た。
サイナは重々しい何処か和風なSFチックな装備に身を包んでいる。背中からは炎が吹き出しさながらそれは炎の翼。
「……え?あれがサイナさん……?」
アルシェが呟く。
「よォし!それじゃおっぱじめるかァ!!」
イカれたメンバーを紹介するぜ!!
まずこの船、ブリュンヒルデ・バスカヴィル3世、略してブリュバスの動力源であり!オペレーターであるサイナ!!
サイナには規格外特殊強化装甲【
さらに規格外武装:鋼線型【キープアウト】を装備!!サイナの腕に装備されたそれの円盤から黄色い非物質の帯が4つほどブリュバスへと繋がっており、なんとそれによってブリュバスを持ち上げ、陸上での帆走を実現しているのだ!
規格外武装やらなんたらかんたらという明らかにオーバーテクノロジーの物を使っていながら、なんとその使用用途は結構原始的なのだ!しょうがないだろう?ブリュバスには飛行機能が無いんだからよぉ!もしラビッツに戻れたらビィラックに改造出来るか頼んでみるか……。
そしてぇ、ブリュバスの歯車でありぃ、手足である愉快な乗組員!!
サンラクは4人に向き直り、やけに仰々しく喋る。
「ようこそ!今から君達には我が魔導推進征海船 ブリュバスの乗組員となり!一緒にあの幽霊船を落としてもらう!!」
「「「………………は?」」」
4人が全員同じ反応をする。
「さぁ、海賊ごっこの始まりだぁ!!」
アニメ2期決定おめでとう!!