オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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この顔見たら110番

この顔見たら110番

「じゃ、今からこのバリスタでアレと応戦してもらうからここに立ってくれ。」

 

サンラクが言う。

 

「いや、待て待て待て。ちょっと色々理解出来ないんだが?」

 

ヘッケランが焦ったようにサンラクを静止させる。

 

「何だ不満か?なら今すぐこの船から降りて土の藻屑となってもらおうか」

 

どうやら話は通じないようだ。

 

「いいか?お前ら!!この船の上ではキャプテンである俺の指示に従ってもらおう。出来なければ死 あるのみだ」

 

「警告:契約者は今、頭がハイになっているようです。今は大人しく従った方が賢明ですよ」

 

拡声器を使っているのかサイナの声が船内に響く。

 

サンラクはどうやらロールプレイに没頭しすぎて頭までバーバリアンになったらしい。

 

「……本当に大丈夫か?」

 

と呟くのはヘッケラン。

 

「…………こうやって使うのかしら……」

 

「いや違う……ここをこうやって」

 

「なるほど……矢がないのは魔道具の類ですか」

 

ヘッケランと違い他3人はバリスタをいじくっていた。

 

「…………もしかしてまともなの俺1人か?」

 

そんな様子をジト目で見るヘッケラン。

 

「これをこうして……あッ」

 

アルシェのその言葉と同時、突然バリスタの発射口が光り出す。

 

しばらくエネルギーを貯めるように光が段々と大きくなりそしてそれは矢の形へと変わり

 

一瞬の内に光の矢が発射される。

 

光の矢は発射され、地面へと着弾。着弾点の周りが光に覆われ明るくなり、そして耳を塞ぐほどの大きな音が鳴り響いた。

 

光が収まり周囲が暗くなっていくと共に着弾点の地面が5mほど半球形に抉られている事が分かる。

 

「…………まじ?」

 

イミーナが思わず声を漏らす。

 

場を包む数秒の沈黙。

 

「ね、ねぇロバー……魔道具って全部こんなに凄いのかしら……?」

 

「……い、いえ…少なくとも私が見てきた魔道具の中でこれ程の威力を持つような物は知りませんよ……

 アルシェさんは知っていますか?」

 

ロバーがアルシェに問う。

 

「………………」

 

しかし答えは返ってこない。

 

返事が返ってこないのを妙に思い、ロバーとイミーナはアルシェの方を見る。 

 

「…………アルシェさん……?…………

 ……アルシェさん?!」

 

「ちょ……アルシェ?!」

 

見るとアルシェは、無言のままで目を抑えながら甲板の上をのたうち回っていた。

 

2人はアルシェへと駆け寄る。

 

「どうしたのアルシェ?!」

 

そんな様子をジト目で見守るキャプテンバーバリアン。

 

何やってんだコイツら……頭おかしいんじゃねぇのか?

 

そんな特大ブーメランを投げるサンラク。

 

まるで何処かの大佐みてぇだな。

 

「目が…………目がぁ…………」

 

はい、頂きました例のセリフ。

 

てかそんな茶番をやってる時間なんて無いんだよ!敵は目前なり!!

 

「バリスタの使い方も分かったようなのでぇ!そろそろ開戦と行こうか!!

 サイナ!!面舵一杯!!」

 

サンラクは大声でサイナに指示を出す。

 

了解(あいあいさー)

 

サイナのその言葉で船体が突然右方向へと旋回。

 

船が揺れ進行方向が変わる。

 

「しゃあ!者共!!位置に着け!!今から祭りが始まるぜぇぇ!!」

 

――――――――――――――――――

 

「打てェ!!」

 

サンラクが合図をして4本のバリスタが放たれる。

 

4本の内、1本は横に並走していた幽霊船へと命中。他3本は幽霊船から外れて地面へ衝突。

 

「よっしゃー!当たりぃ!!」

 

イミーナが言う。

 

「くっ、思ったより難しいな……」

 

「ですね……」

 

「…………」

 

どうやらイミーナのバリスタだけが命中し、幽霊船の一部を削り取っている。

 

なるほど弓使いっていうのでバリスタの扱いにも補正が入るのか……

 

それにしても他3人はダメダメだな。かすりもしてねぇ……。アルシェに関しては打つ度に目を抑えてのたうち回っている。

 

あいつのタレント、魔力を可視化っていうのに関係があるのか?だとすると見えなくていいものが見えるってのも考えようだな……

 

おっと?あっちの甲板も動き出したな……

 

サンラクは幽霊船の甲板の上で指示を出している人影を見る。

 

あれは……アンデッド系のモンスターか?喋っている所を見るに知能はありそうだ……だとするとそこら辺の雑魚モンスよりは強そうか……

 

アンデッド系のモンスターと推測した幽霊船の船長。その正体はエルダーリッチ。

 

エルダーリッチはどうやら自分より下位のアンデッドを従えているらしく、それらに指示を出して船をまわしているようだ。

 

エルダーリッチは焦ったようにアンデッドへと指示。

 

打てぇ!!というかすれた声が聞こえ船体に取り付けてある大砲が放たれる。

 

バァン!という衝突音が響き大砲が当たった事が分かる。

 

おっと……流石に黙ってやられてくれる訳でもねぇよなァ!

 

「サイナ!船の状態は!?」

 

「報告:無傷です。」

 

サンラクは笑顔のまま固まる。

 

「………………ご冗談を……」

 

「否定:こちらの外傷はゼロです。」

 

…………なるほどなぁ………まぁ、そりゃそうだよな?ここら辺のモンスターは弱いし、必然的にポップするモンスターは全体的にも弱くなる訳だ。

 

それにこのブリュバスはラピステリア水晶体で作った所謂シャンフロでも最強クラスの装甲を誇る訳で。

 

ふぅ……………………よぉし、決めた。

 

あの船を木っ端微塵にして塵すらも残らないようにしようぞ。

 

サンラクは向かいにいるエルダーリッチへと鋭い睨みを効かせた。

 

その殺気に気付いてかそれとも気付いてないのか、はたまた攻撃が通用しなかったからかエルダーリッチが周りのアンデッドへと指示を出す。

 

指示された数体のアンデッド達は船にあるロープを掴み、マストを登る。

 

そして十分に上へと上がったアンデッドはロープを持ったままターザンの如く振り子運動でサンラク達が乗る船へと乗ってきた。

 

おぉ……映画とかでよく見るヤツだぁ…………まぁ、だからといって何が起きるという訳でも無いんだが。

 

まぁ丁度いいか。イミーナ以外は打つの下手だし、乗ってきたアンデッドの対処を頼むか。

 

そう思ってサンラクは4人に指示をだす。

 

「イミーナはそのままバリスタを撃ち続けろ!ヘッケラン、ロバーは船に乗ってきたアンデッドの処理!アルシェは魔法でアンデッドを倒しつつ、乗ってこようとしているアンデッドを撃墜しろ!!そして俺はここで高みの見物だ……」

 

「おい働け!!」

 

ヘッケランが突っ込む。

 

何か聞こえたが、まぁ空耳だろ。この世には働いたら負けっていう言葉もあるんだぜ?人間働くことが全てじゃないのさ。

 

そうしてサンラクは4人を見守る。

 

…………おっと?イミーナが結構いい所に当てたんじゃないか?

 

相手の船を見るとマストを支える柱が折れ、ボロボロだった船が更にボロボロになっていた。

 

これで動きが…………止まるわけもないか。だって陸上を走ってる時点で風が動力源ではないのは明確。

 

おっと?動きが怪しいな……

 

相手の船の中、エルダーリッチはまた何やら指示を出し、アンデッド達の動きが変わる。

 

今度は……まさか………………

 

幽霊船はブリュバスと並走していたのに対し、今では段々と速度が落ちている。

 

ブリュバスとの距離がある程度あくと突然、右へと旋回し、そのままブリュバスから逃げるように走っていく。

 

おいおいまさか敵前逃亡かぁ?そんなの俺が許すとでも?!

 

「サイナ!!面舵一杯!!敵に背を向けるなど笑止千万!あのボロ船に後ろから追突しろ!!」

 

了解(あいあいさー)

 

サンラクのその言葉で船が右へと旋回し幽霊船を追うように加速していく。

 

サイナが装備する艷羽(アデバネ)のブースターが更に燃え上がり、炎の翼を大きくしていく。

 

幽霊船と開かれていた距離がどんどん縮まっていき、そしてもうすぐそこという所まで近づく。

 

「突撃ぃ!!」

 

掛け声と同時、とてつもないスピードのままブリュバスの正面に取り付けられた一角獣のような鋭い武装衝角が幽霊船へと突き刺さった。

 

そしてその衝撃により幽霊船の船が真っ二つとなる。

 

「ひ、ヒィ……!!」

 

それは恐らくエルダーリッチの悲鳴。

 

…………よくよく考えて欲しいのだが……先に手を出して攻撃してきたのはサンラク達であって、よくよく考えるとノリノリで喧嘩を吹っかけ海賊まがいな事をしているのはサンラク達である。

 

勝手に喧嘩を売ってきた癖に相手が逃げたからとボコボコにするというのは、某青いタヌキに出てくるオレンジ色のゴリラもビックリなのである。

 

エルダーリッチ視点ではただ船で走っていただけなのにいきなり魚面を被ったバーバリアンに船を襲われ、何故か怒りを買い、船を木っ端微塵にされた、という何とも可哀想な図である。

 

それは明らかに憂さ晴らしというかとばっちりというか理不尽なのだが、まぁ……エルダーリッチがサンラクと出会ったことがそもそもの不幸だったのかもしれない。

 

きっと来世では良い人生を送って欲しい。




原作路線に早く戻したいという気持ちはあるのですが、中々に進むスピードがどうしても遅くなってしまいました……とても申し訳無いです。

重ねて申し訳ないのですが、やはり私事により、投稿が遅くなったり、もしくは出来ない週が出てくるかもしれません……。

でも実は今執筆している所は原作路線に入ったところという事だけ言っておきます!!
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