オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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肉を噛みちぎって骨を折る

 

下から人間の足が生えた白い布の化け物が建物と建物の屋根を経由して人を抱えながら移動していた。

 

その姿はシャンフロというゲームのマップであるサードレマで度々目撃され

 

プレイヤーからは白いお化けと呼ばれ、たまに出没するレアエネミーという噂が流れていたり……

 

まぁ、つまり、白い布の人間の正体はサンラクである。

 

ん〜、先程はアニメやゲームで出てくるような強キャラムーブを完璧にカマしてしまった★

 

こちらからは手を出してないし特にカルマ値には影響が無いと思うんだが……

 

やはり、当たりだな!

 

吸血幼女ぐらいの強さだったな……ワン(ブラザー)ぐらいの強さはある!

 

それに吸血幼女と違ってスピードとパワーはこっちの方が上だな。

 

もう少し様子を見ても良かったが……あのままやり合ってたら近くの建物が崩れかねない……実際建物の壁とか破壊してたし……

 

やるならもっと広い所が良かったな……

 

……ん?何だって?

 

何で暗殺者を誘拐したのかって?

 

人聞きの悪いな……これは誘拐じゃなくて救助さ!救助!

 

たまたま倒れていた何本指絡みの暗殺者が居たもんで、そいつを助けてるだけさ!もちろん、有料で!!

 

困った時はお互い様だからな!!

 

俺はこいつを助ける。んでもってコイツは俺に何本指の情報を吐く。

 

なんてwin-winの関係なのだろうか……。

 

実はセバスの傀儡掌の一部始終を聞いていたサンラク。八本指の情報も欲していたついでに、そのまま暗殺者をさらったのだ。 

 

まぁ、コイツはしばらく宿屋で拘束して監禁するが……大丈夫大丈夫。ちゃんと暖かい部屋と暖かい食事はやるからさ!!

 

え?拉致監禁はカルマ値に影響が出ないのかって…………

 

…………………………。

 

だ、大丈夫だろ……?……ほ、ほら、コイツって犯罪者だし……このまま外で放っておいたら何しでかすか分からんしな!!

 

よく言うだろ?私人逮捕って!

 

サンラクは誰も居ない虚空に言い訳をし始める。

 

そんなこんなで宿屋に着く。

 

……おっと、流石に姿は戻さないとな。

 

サンラクは装備を変え、聖杯を取り出し、R.I.Pを装備。

 

付けていた祭衣・打倒者の長頭巾は誘拐してきた暗殺者を隠す布として使う。

 

ふぅー……別に悪いことしてる訳じゃないんだが、まぁ一応だ。

 

そしてサンラクは宿屋に入る。

 

――――――――――――――――――

 

やっぱ最高級ホテルとなると部屋の広さも備え付けている家具もカッパー時代泊まっていた宿屋とは大違い。

 

更に壁は防音しようという至れり尽くせり。

 

サンラクは手頃な椅子を持ってきてそこに気絶している暗殺者を座らせる。

 

ついでに暗殺者が身に付けている顔や身体を隠しているローブを取り外す。

 

髪はショート気味、赤毛寄りの茶色って感じだ。顔にはそばかすがあり、顔立ちは女っぽく、童顔……童顔?

 

こいつ……ガキ?

 

見れば身体も小柄である事が分かる。

 

…………持ってた時もやけに軽いとは思っていたが……まさかガキだとはな…………

 

待てよ?

 

ガキを誘拐拉致監禁……?

 

…………………………だ、大丈夫大丈夫……文面で見れば穏やかな感じじゃねぇが……これは一時的な拘束であり、別に取って食おうって訳じゃねぇんだからよォ!

 

サンラクは気を取り直してその暗殺者をロープを使ってグルグル巻きにする。

 

…………一応防音だが、騒がれて面倒事になるのも嫌だから、口も塞いどくか…………。

 

よしッ!これでオッケーだな。

 

サンラクはパンパンっと手の埃を払う。

 

……………………気絶してしばらくは起きなさそうだな……。

 

ま、いいや。丁度あのセバスとかいう爺に挨拶して仲良くなっておきたいし、一旦あそこに戻るか。

 

本音を言えば決闘みたいな形で拳を交えたいという訳だが。

 

「じゃ、そこで大人しく待ってろよぉ」

 

サンラクは思う。今の発言は確信犯では?と。

 

――――――――――――――

 

「はい、ただいま〜!」

 

サンラクが先程出た筈の宿屋に帰ってきた。

 

実はだな……さっきの場所に戻ったはいいものの、誰も居なかったんだよなぁ……。

 

確かあの爺は問題源となってる場所を潰す……とか。んでもって娼館に行くとか……?

 

まぁ、特に追う手がかりも無かったもんで、一番向かった場所を知ってそうな奴が居るこの場所に帰ってきたってこった。

 

お?丁度拉致った奴も目が覚めたらしいな。

 

見れば目を覚ましたようで、起きるや否や、自分の置かれている状況を把握しきれていない様子で、モゴモゴと塞がれた口で喋り、必死に動かない身体を動かしているようだ。

 

拷問?…………趣味じゃねぇ……相手がガキならば尚更だな。

 

もっと簡単に情報を出させる方法は…………

 

よし……!あれやるか……。

 

秘技!ホラーゲーにおける分かってても怖い怪物の動き四十八手!!

 

今回はレクチャーしながらやってやるから良い子の皆も是非真似してみろよ!!

 

先ずは自分の指を折ります。

 

サンラクはポキポキと指を何本か折っていく。

 

うむ、別に痛覚は無いから問題は無し! 

 

ここのポイントはなるべく色々な方向に折りましょう!

 

リアルになってくれたおかげで中々にいい感じだな!

 

ついでに怪我とかもしとくか……。

 

そしてサンラクは自分の腕の肉を噛みちぎる。

 

所々に欠損が見られれば尚良し!

 

次に関節の可動域を最大限活かして人間の形を崩しましょう。この時にあばら骨の数本を犠牲にしても大丈夫です。

 

今回はブリッジをしてエクソシスト風にします!

 

これで準備完了です。

 

あとはなるべく動きに緩急を付けて標的に近付きましょう!この時に細かい動きを入れる事を意識しましょう!

 

ここで何か物足りないと感じる方は、視覚だけでなく聴覚も意識しましょう!

 

全身の骨を利用してボキボキと音を鳴らします。それでも物足りないならば自分の傷口を抉りながらグチャグチャと音を鳴らしてみましょう!

 

これでレクチャーは終わりです!

 

みんな理解出来たかな?じゃあ、直ぐに、友達や家族に試してみてね!

 

これで明日から君もお化けの仲間入りさ!!

 

――――――――――――――

 

ここは……?何処だ?

 

女が目を覚ますとそこは薄暗く、光がほとんど入ってこない部屋の中。

 

確かあのセバスとかいう爺にやられて………………?!!

 

部屋の奥を見ればモゾモゾと何かが動いている。

 

……な、なんだ……?

 

女は目を凝らして見るが、それは薄暗い部屋の中のためかモゾモゾと動いている事と大まかな形ぐらいしか掴めない。

 

…………!!??!

 

身体が……うご……かない?

 

「ングンゴ……?!!」

 

声も出ない……?!

 

この状況が理解出来ないといった様子で困惑していると、正面で蠢いている何かが段々と近付いてきているのが分かる。

 

あれは……人なのか?

 

黒い影だけがその何かの外形を形作っている。足のような物が地面に4つ着いており、胴体と思わせる所は曲線的に曲がっている。

 

近付いてくるに連れてボキボキ、ポタポタという音が耳に入る。

 

額に汗を流し、なんの音だ?と思っていると……

 

「………………」

 

何かの声が聞こえる。声は小さくまだ聞き取れない。

 

「チ…………ニ……ヲ〜」

 

チニヲ?

 

近付いてくるに連れて声が大きくなる。

 

「血をぉォ…………肉をぉぁ゙……」

 

掠れた女の声。今にも息絶えそうであり、それで且つ活き活きとしている声。

 

先程から汗が止まらない。息がしずらくなってくる。

 

近付いてくるに連れてその影であった外見も見えてくる。

 

指は折れ、腕はひしゃげ、身体が血で染まっている。そして恐らく人間のそれではない角度で胴体が曲がっており、血で染まったような赤黒い喪服を着ていた。

 

そのような化け物が骨が折れる音と血が垂れる音と共に近付いてくる。

 

「んンゥん"!!んぅぅ"ん!!!」

 

耐えられず叫ぶ女。そしてその場から逃げようともがくがビクともしない。

 

「んンぅ゛!!んゥ"!!」

 

近付いてくるに連れて叫び声も大きくなっていく。

 

しかしシン……と突然辺りが静かになる。

 

「ん?…………」

 

見ると先程の怪物は居なくなっており、視界に入る場所を見る限り何処にも居なくなっている。

 

女はドッと息を吐いて安堵する。

 

「……?…………」

 

しかし後ろからひんやりとした物が自分の首に当たるのが分かった。

 

何だと思い後ろを振り返ると

 

カチ、カチと音を鳴らすなように首を揺らしたさっきの化け物が、ひしゃげた腕で女の首を触っていた。

 

「…………にぃ"、ィ、イ、ぐ……」

 

「」

 

女は泡を吹いて気絶した。

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