オーバー×フロンティア   作:牡羊様

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ヘイト管理

 

あ……やりすぎたか………………。

 

目の前で泡を吐いて白目を向いている暗殺者。

 

驚かして情報を吐かせたかったんだが…………これ起きるか?

 

サンラクはペチンペチンと女の頬を叩く。

 

「おぉい、起きろォ!」

 

「…………?!!」

 

お、起きた。

 

「んゥ"?!!」

 

暗殺者は目が覚め、またサンラクを見て叫び声を挙げそうになる。

 

「シー……」

 

サンラクはゆっくりと顔の前に曲がった人差し指を持っていき静かにしろと促す。

 

目の前の発狂気味の暗殺者をあやす化け物という中々に珍妙な図。

 

暗殺者は目をパチクリとさせ、何が何だかといった様子だ。

 

「シツモ、ン…ココ、タエロ………ジャナキャ……」

 

なるべく掠れた声でカタコトに言う。

 

そしてサンラクは首をカクカクと小刻みに揺らし、またあの動きをしようとする。

 

暗殺者はそれを見てコクコクと激しく首を縦に振る。

 

サンラクはそれを見て動きを止める。

 

よし、じゃあ、まずは…………

 

――――――――――――――

 

黒い喪服を着た少女が建物の屋根を走る。

 

ホラー演出も中々に楽しかったが……危うく出血ダメージでリスポーンする所だったな。

 

先程のボロボロになっていた身体は既に完治しており、恐らくはポーションで治したのだろう。

 

あのガキの話によれば話に出ていた娼館は誰も寄り付かない様な裏路地にあるらしい。

 

詳しく聞けば娼館といっても表立って営業できるような場所ではなく、犯罪組織の何本指が絡んでおり、犯罪チックなあれやこれやをしてるとかなんとか…………

 

まぁ、お茶の間で見てる良い子の皆の為にオブラートに包んで言うと、つまり違法な事をしてるってこた。ご想像はお任せするぜ!

 

それで、目立たない場所でコソコソと営業しており、見つけるのは困難。

 

しかし、だ。

 

その娼館というのはお貴族様も利用するらしい。

 

お貴族様ってのはプライドが高いもんで、民衆にバレないようにその場所を利用している。

 

そしてここで重要なのがどうやってバレないように利用しているか、だ。

 

「着いたな……」

 

サンラクは屋根の上から下を見下ろす。

 

サンラクの目線の先には他の建物と比べるまでもない程に、明らかに貴族が利用する!といった感じの装飾品店。

 

一般的な木造建築が並ぶ中、一際目立つ大きな建物。その一店だけは見事な装飾が施され、店内も外も綺麗に舗装されている。

 

これが答えだ。一見ただのお高い装飾品店だと思うが、奥に入れば話してた娼館と繋がっており、路地裏に入らずとも貴族はここを経由して堂々と娼館を利用している訳だ。

 

別に知ったこっちゃないんだが、俺がこんな簡単に情報を得られたんなら既に国の公共機関が 違法娼館だ!と取り締まっててもおかしくないと思うんだよなぁ。

 

何故今までずっと咎められずにやっていけたのか……?

 

まぁ、どちらにせよ俺が知ったことではないな。何よりこれはゲームの中の設定だし、いくらか荒があってもおかしくないわな。

 

じゃ、早速行きますか……

 

――――――――――――――

 

サンラクは暗がりの階段を降りる。

 

なるほど地下に繋がっているのか……

 

地下だからかサンラクが歩く旅にコツコツと反響している。

 

んー、結構強引に入ったが警察沙汰になったりはしないだろうか……。

 

サンラクの背中には血で汚れた別離れなく死を憶ふ(メメント・モリ)が装備されていた。

 

強引に奥へ入ろうとしたらブタみたいな店の店長らしき人物が道を塞いでしつこかったからな……………しまいには力づくで止めようとしてきたので腕を斬って無理矢理通った。

 

え?カルマ値は大丈夫なのかって?

 

おいおい、俺がそんなにバカだと思うか?もちろん考慮して殺したに決まっておろう?

 

今まで存在を忘れていたのだが……俺にはこの仇討人の目があるのだよ!

 

仇討人の目、つまりスキル仇討の観察眼(リヴェンズ・アナラアイズ)は視認した相手のヘイトパラメータを可視化するというもの。

 

つまりカルマ値が悪か善かの区別がつく!

 

この目を使えば斬っても俺のカルマ値に影響がないかを確認できるのだ!!

 

あのデブは悪!切ってもよし!

 

しかも殺しては無いし、腕2本で許してやったんだ。なんて俺は優しいんだ!

 

てか、一回自殺(リセット)したから重いんだよなぁ……

 

何本指関連の犯罪者に襲われたら容赦なく斬るか。もちろん仇討の観察眼を併用して。

 

サンラクは重い別離れなく死を憶ふを背負いながら階段を降りていく。

 

お?やっと階段が終わったか?

 

サンラクはドアを見つける。

 

…………開いてる訳がねぇよな。

 

サンラクはドアを蹴り破る。 

 

ドアを破るとそこは薄暗く長い通路が続いており、度々鉄格子で閉じられた牢屋のようなものが通路横に繋がっている。

 

ん?第一犯罪者発見か?

 

薄暗い通路の先をよく見ると、樽を椅子代わりにして話し込んでいる2人組。

 

サンラクはその2人に近付く。

 

サンラクのハイヒールから出るコツン、コツンという音が通路に響く。

 

そしてその音によりサンラクの存在に気付いた2人。

 

「なんだァ?女が逃げたのか?」

 

「へっへっ……またちゃぁんと調教してやらねぇとなぁ?」

 

「お前なぁ……一応売り物なんだからよォ、前みたく壊すなよ?」

 

「へっ、分かってるっての!…」

 

1人はどちらかというと痩せ気味の男。そしてもう1人は大柄で肥満体型の男。

 

肥満体型の男が下卑た笑いでサンラクへと近付き指を鳴らす。

 

「よォ、嬢ちゃん……俺とのスキンシップが寂しくなったのかァ?」

 

サンラクは止まり男を見据える。

 

「デェぇブぅ……」

 

サンラクはケラケラと馬鹿にするように笑いながらそう言う。

 

「…………あぁァ゙?!!」

 

男は分かりやすいように頭に血管が浮き出る。

 

「立場が分かってねぇよォだな?……すぅぐ分からせてやる、よッ!!!」

 

男は拳を振り上げ、サンラクへと殴りかかる。

 

が、しかし男の拳は当たらない。

 

男は身体が突然硬直したように止まり、そこから動かない。

 

痩せた男がそれを不可思議に思い、声を掛ける。

 

「おい?どうしたんだ?」

 

しかしその返答は血しぶきで返された。

 

「ぇ…………」

 

見れば肥満体型の男が頭から足までが綺麗に真っ二つとなっていた。

 

そして半分になったパかァと、身体が崩れ落ちる。

 

痩せた男の顔が青ざめる。

 

そして仲間が立っていた男の先を見据えると、大きな大剣を持った喪服の女が立っていた。

 

その剣は赤く染まっている。

 

「ひ、ヒィッ……?!!」

 

男はそれを見て戦慄し、足がもつれ尻餅をつく。

 

「……さぁさぁ、俺の剣の糧となってくれや……。」

 

サンラクは容赦なく痩せた男を斬った。

 

――――――――――――――

 

よぉし、カルマ値に影響なぁし!

 

サンラクは別離れなく死を憶ふに付いた血を拭う。

 

この場所はどうやら奴隷達を閉じ込めておくための牢屋らしいな。

 

牢屋を覗けばやつれた者や怪我をしている者、生気が感じられずブツブツと何かを呟いている者達と色々と訳ありそうだな。

 

まぁ、牢屋の鍵は壊しといてやる。

 

後は知らん。逃げるのも残るのも勝手だな。

 

今回の目的は何本指と爺だし、この人数を何から何まで助けるとかキリが無さそうだし、変に懐かれても困る。責任を押し付けられるのはもっとごめんだね。

 

まぁ、上で結構騒いだし、そろそろ衛兵とかそこら辺の公共機関が嗅ぎつけてくるだろ?何本指の権力がどこまで届いているのかは知らんが…………

 

まぁ、いいや。犯罪者は片っ端から殺していくか。その道中であの爺とは恐らくかち合うだろ?

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